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顔色が悪い赤ちゃん、意外な原因「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより#1」

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imagepointphoto/gettyimages

赤ちゃんやママ・パパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、思い出深いできごとをつづります。
何だか元気のない赤ちゃんを前に、ドキリとする陽ちゃん先生。慎重に診察した結果は…?

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目立った所見がないのに元気がない

新しい年になりました。寒い日が続いています。寒い日になると、思い出す赤ちゃんがいます。

まだ私が新生児センターや、その外来にいたころの話です。お母さんが二人目の赤ちゃんを抱いて来院されました。10日ほど前に、ほぼ予定日通りに生まれた赤ちゃんでした。なんとなく元気が無く、おっぱいの飲みにもムラがあるということです。お母さんは、何か病気が隠れているのではないかと、とても心配な様子です。

赤ちゃんを見て、私は、一瞬どきっとしました。顔色も手足のつめの色も悪く、活気がなく、どうやら普通ではありません。診察する前から気が引き締まりました。生まれつきの心臓の病気は無いでしょうか。泣かせないように注意しながら、聴診器で心臓や呼吸の音を時間をかけて聞きました。特に異常はなさそうです。重症の感染症やそのほかの病名が頭の中をあれこれ行き来します。でもどれもしっくりきません。

――お母さん、おっぱいの飲みはいいですか。
「はい。ちゃんと飲みます。母乳とミルクと混合です。」

――最後に飲んだのはいつですか。
「1時間くらい前に、搾ったのを飲ませました。」

――母乳も、搾乳して飲ませているんですか?
「はい。赤ちゃんが飲んだ量がわかるように。でも悪くならないようにちゃんと冷蔵庫に入れてます」

診察していて、気になることがありました。なんとなく赤ちゃんが冷たい感じがしたのです。寒い外気のせいかなと思いました。しかしほかに診察上は目立った所見もなく、気になるのはこれだけです。体温を測ると36.0℃。

――冷蔵庫に保管したおっぱいは、飲ませるときどうやって温めるんですか?
「えっ?。温めないといけないんですか」

授乳量の把握に一生懸命だったお母さん

お母さんは、おっぱいは出ているのです。ちゃんと出てはいるけれど、赤ちゃんが飲むおっぱいの量をちゃんと知って、記録して、ちゃんと育てたい。おっぱいをしぼって、哺乳びんでメモリを見ながらのませると、赤ちゃんの体調もわかるし、しぼったおっぱいが多ければ、2回使ったりもできるかもしれない。

そこで、おっぱいをしぼることにしました。消毒した哺乳びんに入れ、冷蔵庫に保存します。時間が来ると冷蔵庫から出してそのまま飲ませていたようです。ミルクだって、残ると冷蔵庫に保管します。時間が来るとこのミルクもそのまま飲ませます。

――お母さん、お兄ちゃんの時にはどうしてました?
「この子の時には手抜きで、おっぱいから直接のませてました」

複雑な気持ちになりながら、私は温かいミルクを作りました。暖房の効いた部屋で、お母さんに抱っこしてもらいながら、赤ちゃんは温かいミルクをごくごく飲みました。唇から、手足の先までみるみるピンク色になりました。体温は36.4℃。

赤ちゃんの体温は環境に左右される

お母さんから直母で母乳を飲んでいれば、こんな事は起きなかったでしょう。ミルクも温かく作って、残りは捨てていればピンク色の赤ちゃんだったのです。お母さんが赤ちゃんのためによかれと思って管理していたおっぱいとミルクで、赤ちゃんは冷えてしまっていました。

授乳が終わって、青ざめていたのは、今度はお母さんでした。小さな声で赤ちゃんに謝っています。
赤ちゃんの体温は、自分の体調だけでなく、環境に影響されます。暖房や冷房は直接当たらないようにしたいものです。冷たいおっぱいやミルクも赤ちゃんの体温に影響していました。このまま続けていれば、元気が出ないだけでなく、授乳量も減って、体重が伸びなかったかもしれません。体温が35℃を下回ると呼吸がゆっくりになる事もあります。赤ちゃんにとっては大変な事です。でもこのことは、もうこのお母さんには言う必要はなさそうでした。

今年も、もうすぐこの赤ちゃんと出会った季節がやってきます。

(構成・ひよこクラブ編集部)

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■監修・文:吉永陽一郎先生
国内初の子育て専門診療科である聖マリア病院母子総合医療センターの「育児療養科」科長などを経て、現在は福岡県久留米市の吉永小児科医院・院長。

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