ワンオペ育児「もう限界!」 どうやって乗り切る?
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夫の単身赴任、仕事の多忙などにより、妻がひとりで育児、家事、仕事のきりもりを行う状態をさす「ワンオペ育児」。朝から晩までエンジン全開、睡眠時間もなかなか確保できない日々に振り回され、「常にイライラ、モヤモヤ…」というママも、少なくありません。ワンオペ育児がつらい! もう限界!と感じた時の乗り切り方について、育児の専門家・長島ともこさんが解説します
なぜ?ワンオペ育児がつらい理由
「ワンオペ」とは、「ワンオペレーション」の略。以前、大手飲食チェーンが、深夜など人手の足りない時間に従業員ひとりで調理、レジなどをこなしながら長時間労働させていたことが問題となりました。これを育児にたとえ、妻がひとりで育児、家事、仕事のきりもりを行う状態が「ワンオペ育児」とよばれるように。 “現代の子育てを表す言葉”のひとつとして定着しています。
ワンオペ育児のつらさ。その原因のひとつめは、文字通り、孤独感です。夫が単身赴任だったり、仕事が忙しく帰宅時間が遅い場合、妻はひとりで育児、家事、仕事をこなさなければなりません。入園前の子どもがいる場合は、一日中子どもと過ごし、授乳や食事、オムツ替えなどのお世話に加え、掃除や洗濯、料理と家事に追われ、「気づいたら今日1日、大人と一言も会話しなかった…」という日も。
原因の2つめは、義務感です。「夫がいないぶん、私ががんばらなきゃ!」、「夫は仕事が忙しいから、私がぜんぶやらなきゃ!」など、“やらされ感”が大きいと、育児、家事、仕事を“楽しむ”心の余裕がなくなりがち。うまく回っているうちは乗り切れますが、自身が体調を崩すなどリズムが崩れると、「いつも私ばかり」「つくづく私って、損な役回り…」など、イライラ、モヤモヤがつのります。
原因の3つめは、「母親である」というプレッシャーです。日本ではまだ、自分を犠牲にし、子どもや家族のために生きる母親像がクローズアップされがち。「良い母」「理想の母」のイメージにしばられ、“ワンオペ”で頑張りすぎてしまい、心身の疲労を招いてしまうこともあります。
頑張ればできてしまうところが、ワンオペ育児の落とし穴。
つらいことも多いけれど、とにかく自分が頑張る。それにより、なんとか日々を回せてしまうことも多い…。ここが、「ワンオペ育児」のやっかいなところでもあるのではないでしょうか。
育児、家事、仕事をひとりで抱え、「ワンオペ育児」に陥っていることに気づかないママも少なくないので要注意!「私、頑張ればできちゃうんだ!周りの助けを借りなくても大丈夫!」などと思ってしまうと、ますます孤立し、頑張り続け、気づいたらダウン…などということにもなりかねません。
まずは、今の自分は「ワンオペ育児」に陥っているのか、そうでもないのかを、客観的に振り返ってみることが大切です。
ワンオペ育児でつらい!と感じている場合は、
⚫どんなことがつらいのか
⚫どうしたらこの状況から抜け出せるのか
について考え、夫婦で共有することをおすすめします。
ワンオペ育児、こう乗り切る! ポイント5つ
ワンオペ育児の乗り越え方のポイントを5つ、紹介します。
1 「助けて!」と言える人を探し、話す
ひとりで抱え続けてしまうと、どんどんつらくなるワンオペ育児。家族、信頼できるママ友、子育て支援センターのスタッフさんなど、はき出せる人を探し、ざっくばらんに相談を。人に頼ったり、助けを求めたりすることは、恥ずかしいことではありません。
2 家事で「ラクをする」「手を抜く」方法を考え、実践する
すべての家事を完ぺきにこなす必要はありません。「今日は疲れているから掃除はなし」「体調がいまひとつだから、夕飯はお惣菜ですませる」など、時と場合に応じて手を抜きましょう。家事代行サービスの会社も増えてきています。費用はかかりますが、これらを利用するのも一案です。
3 一時預かりなどを利用し自分の時間をもつ
ママのリフレッシュのために、小さな子どもを預けることに引け目を感じる必要はありません。ファミリーサポートや、地域の子育て支援施設、ベビーシッターさんなどの助けを借りながら、少しでも自分の時間を持つよう意識しましょう。
4 1日を振り返り、自分をほめる
毎日時間に追われていると、つい、自分を振り返ることすら忘れてしまいます。夜寝る前、ほんの少しの時間でいいので今日1日を振り返り、自分ががんばったことや楽しかったことを必ず一つは思い出し、自分自身をほめたり認めてあげたりしましょう。
5 休日、夫に育児をまかせる
夫の休日に、育児をまかせましょう。最初は短時間から。単身赴任の夫と会う時も、同様です。育児の楽しさ、大変さを共有することで、我が子との向き合い方、家事の取り組み方について、夫婦で話し合う機会がもてるといいですね。
子どもはママがひとりで育てるのではなく、「社会全体で育てるもの」という考え方が広まってきています。ママは、育児、家事、仕事をひとりで抱えすぎず、頑張りすぎないようにしましょう。周りに主体的に助けを求めながら、「ワンオペ育児」からの脱却をめざしたいものです。