子どもの“考える力”“問題解決力”をはぐくむ! 失敗を恐れない育児
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子どもとお友だちのように何でも話したり、親子で下の名前で呼び合ったりするなどフレンドリーな“お友だち親子”にあこがれるママ・パパが増えているようです。
しかし“お友だち親子”には問題点も。たとえばママ・パパならだれでも「子どもにつらい思いをさせたくない!」「失敗させたくない!」という思いがあるでしょうが、“お友だち親子”の場合はその気持ちがより強いために、子どもが失敗する前にママ・パパが先回りして防ぐ傾向が。そうしたかかわり方を続けると、自分で考える力が育たないなど、子どもの成長にいい影響を及ぼさないといいます。
お友だち親子の問題点と、乳幼児期に必要なかかわり方について、親子関係に詳しい日本女子大学人間社会学部心理学科教授 塩崎尚美先生に教えていただきました。
自立を促すベースをつくる★年齢別かかわり方のポイント
子育ての最終目標は、子どもを自立させることです。“自立”のためには、乳幼児期から“自分で考えて行動する力”“問題を解決する力”が身につくように、ママ・パパがサポートすることが必要です。けれど“お友だち親子”の場合は、ママ・パパが先回りして何でもやってあげたりするため、子ども自身に“考える力”や“問題解決力”が育ちにくい一面があります。これらの力を育てるための、年齢別のポイントを紹介します。
0歳代のかかわり方
愛着関係をしっかり築き、親子関係の土台づくりを!
0歳代は親子関係のベースをつくるために、しっかり愛着関係(親子の絆)を築くことが大切な時期。抱っこや授乳などのお世話をしながら、アイコンタクトをとったり、「おっぱいおいしいね~」など言葉をかけたりして、子どもとのコミュニケーションを深めましょう。子どもの気持ちに寄り添う言葉かけをすることで、子どもは「ママ(パパ)が気持ちをわかってくれる!」と信頼を寄せます。
1歳代のかかわり方
子どもを1人の人間としてとらえ、意思や個性を尊重して
自我が芽生え始める1歳ごろになったら徐々に、子どもを1人の人間としてとらえ意思や個性を尊重することが大切です。少しずつ子どもが自分でやることを見守り、手助けを減らしていきましょう。
2歳代のかかわり方
イヤイヤ期は、自立と甘えを意識したかかわり方をしましょう
イヤイヤ期なので、自立と甘えの揺れ動きが大きい時期。甘えたいのか自立したいのか、そのときどきの子どもの気持ちに合ったかかわり方をすることが、その後の自立の助けになります。甘えたいときは手助けをしてあげて、自分でやりたいときには離れて見守るというようにかかわり方を変化させることが大切です。
3~4歳代のかかわり方
親子で意見を言い合える関係づくりを
言葉の発達とともにコミュニケーションの力を育てることを意識して、まずは子どもの意見をしっかり聞いて耳を傾けてあげましょう。そのうえでママ・パパも自分の意見を言い、それぞれが意見を伝え合える関係を築くことができるといいですね。
また考える力や問題解決力を育てるには、お手伝いを日課にするのもおすすめ! 家庭内で役割ができると責任感を覚え、ママやパパと適度な距離を保ち、いい関係が築きやすくなります。お手伝いは、食事の前にテーブルをふいたり、お花に水をあげたりするなど、子どもが無理なくできるものにトライを。
「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがありますが、旅とは苦労や困難のこと。幼児期の苦労や困難とは、まさに失敗経験です。子どもは失敗を重ねて、いろいろなことを学んでいきます。失敗をすることで「なんで失敗したんだろう?」「今度は○○してみよう!」と自分で考えて行動し、しだいに問題を解決する力を養います。子育ての大きな目標は、子どもを自立させることですが、自立には乳幼児期の失敗経験が不可欠! そのため危険でない限りは、失敗経験をしっかりさせて、自分で考える機会を与えてみませんか。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/塩崎尚美先生(日本女子大学人間社会学部心理学科 教授)
臨床心理士。専門は発達臨床心理学、乳幼児からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。