平成は働く主婦にとって「良い時代ではなかった」26.5% ~『令和』に託された課題
主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』の調査機関しゅふJOB総研は『働く女性と平成』をテーマに働く主婦層にアンケート調査を実施、結果を発表しました。
*有効回答数:1000件
*調査期間:2019年3月13日(水)~2019年3月15日(金)
*調査対象:ビースタイル登録者/求人媒体『しゅふJOBパート』登録者)。
働く女性にとって、平成とは「よい時代だった」のか?
「良い時代だった」と感じている人は43.6%、「良い時代ではなかった」と感じている人は26.5%と、「良い時代だった」と考える主婦層のほうが多い結果に。
約3割を占める「わからない」の回答者からは
・子育てと仕事との両立が難しい点は昭和から変わっていない気がする
・以前に比べれば変わったが、もっと大きな変化を期待していたので現状には物足りなさがある
などといった声が寄せられたとのこと。
働く女性にとって「良かった」と思うこと
働く女性にとって「良かった」と思うこととして、以下などが挙げられています。
・働き方の選択肢が多くなった …47.3%
・女性が働きやすくなった …26.6%
・女性活躍が推進された …22.1%
しゅふJOB総研 川上敬太郎所長はこの結果に対し、
「昭和の終わりに制定された男女雇用機会均等法や労働者派遣法から始まり、現在の働き方改革につながる一連の取り組みが評価につながっているのではないかと思います。」
と分析しています。
働く女性にとって「平成の良くなかったところ」とは
一方、前述の質問に対して”良かったことは何もない”と回答した人も24.6%にのぼっています。
働く女性にとって”良くなかった”と思うことは次の通り。
・法制度が整備されなかった …31.5%
・女性活躍が推進されなかった …24.6%
・女性が働きづらくなった …12.0%
・女性への差別が増えた …11.7%
・働き方の選択肢が少なくなった …11.3%
・その他 …35.0%
【”その他”と回答した人のフリーコメント抜粋】
・非正規から正規への変更は厳しい(40代:契約社員)
・女性の活躍という名のもと女性の負担が増えた(30代:フリー/自営業)
・女性が働かないと家計が成り立たなくなった家庭が多くなった(30代:パート/アルバイト)
しゅふJOB総研 川上敬太郎所長は、
「”その他”の内容を具体的に記述してもらったところ、中には『良くなかったと感じていない』や『わからない』という回答もありましたが、その多くは『保育園に入りにくくなった』『総合的には改善されていない』『専業主婦が肩身が狭くなった』など、多岐にわたりつつも個人の力だけでは改善することが難しい内容でした。」
と分析しています。
働く女性の平成「良い時代・良い時代ではない」理由
同総研では前述のアンケート設問「働く女性にとって、平成とはどんな時代だったと思いますか」の回答の理由として寄せられたコメントを抜粋して紹介しています。
「良い時代だった」「どちらかといえば良い時代だった」と回答した人の理由
・昭和よりは確実に進歩していると思うため(40代:正社員)
・女性の管理者も増えた(50代:派遣社員)
・時短が増え、幼稚園などで延長保育などが増えたので(40代:パート/アルバイト)
・主婦派遣に登録でき、子育て中でも働く機会が与えられたから(40代:派遣社員)
・少なくとも育休や育休手当は整備された(40代:正社員)
・昔に比べて、はるかに働きやすくなっている(60代:派遣社員)
・女性は家事でと言う固定概念がなくなり男のひとも以前より家事をしてくれるようになった(40代:パート/アルバイト)
・結婚にしろ仕事にしろ、女性が我慢しなくても良くなった(40代:パート/アルバイト)
「良い時代ではなかった」「どちらかといえば良い時代ではなかった」と回答した人の理由
・バブルがはじけ経済的に滞っている時間が多かった。最近景気が良くなったというが全く実感がない(50代:パート/アルバイト)
・まだまだ働きづらい、生きづらい。性別、年齢などの差別、偏見がある(40代:今は働いていない)
・腰掛けなど揶揄された時代の方がある意味良かったのではと感じるため。仕事も家庭もと負担だけが増えたよう(40代:派遣社員)
・女性の管理職は世界と比べて少ないし、まだまだ女性が働き安い環境になるには課題が山積みだから(40代:SOHO/在宅ワーク)
・一長一短。物価上昇率に比べると時給が上がっていない(40代:派遣社員)
「わからない」と回答した人の理由
・人によって、生活状況や、やりたいお仕事も違い、感じ方が違うから(50代:今は働いていない)
・女性の社会進出がはたしてよいのかどうか?と思ってるから(40代:パート/アルバイト)
・時給は上がっているが、日雇い派遣や派遣業務は色々な決まりごとが増えて働きにくくなっているから(40代:今は働いていない)
・子育てと仕事との両立が難しい点は昭和から変わっていない気がするから(50代:パート/アルバイト)
・働き方改革など、前進部分もあるが、セクハラなどの問題もたくさんあったので、どちらとも言えない(50代:今は働いていない)
・以前に比べれば変わったが、もっと大きな変化を期待していたので現状には物足りなさがある(60代:パート/アルバイト)
・会社で働く女性にとっては、よいこともあったでしょうが、専業主婦の立場はむしろ落とされてしまったのでは(50代:契約社員)
これらの結果について、しゅふJOB総研 川上敬太郎所長は
「”働き方の選択肢が多くなった”のは歓迎されるべきことですが、この項目を選んだ人の数はまだ半数に届きません。一方、平成の間に男女雇用機会均等法や働き方改革関連法8本などが改正され、女性活躍推進法も制定されたにもかかわらず、”法制度が整備されなかった”と答えた人が3割を超えています。これを裏返せば、働き方の選択肢を増やし続けつつ、必要な法制度を実効性のある形で整備することが平成から令和に託された宿題だと言えるのではないでしょうか。そしてさらに、平成の良かったところをもっと伸ばし、良くなかったところを改善すること。それらの課題への取り組みはすべて、平成から令和に託された宿題なのだと考えます。」
とコメントしています。(文・たまひよONLINE編集部)
●川上敬太郎さんプロフィール
しゅふJOB総研所長 兼 ヒトラボ編集長
1997年愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(現パーソルホールディングス)に入社し新規事業責任者等を歴任。転職後、執行役員としてキャリアカウンセリングやマーケティング部門を統括するなど、営業・経営企画・人事といった人材サービス事業のほぼ全てのセクションに携わる。業界専門誌『月刊人材ビジネス』では営業推進部部長 兼 編集委員を務め、人材ビジネス企業の経営者に向けた勉強会を企画運営。2010年株式会社ビースタイル入社。2011年より現職。これまでに、のべ20000件以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。