どうして子どもは歯磨きを嫌がるの? 嫌がらないコツを小児歯科医に聞いてみた
「歯磨きするよ!」と言っても、子どもはなかなか歯磨きに協力してくれませんよね。あの手この手でなんとか歯磨きに誘導しようとしても、子どもは逃げ回るばかり。ついには強硬手段で強引に仕上げ磨き…。こんなことが続くと、親も疲れるし、子どもも歯磨きが嫌いなままです。
子どもが歯磨きを嫌がる原因は何なのか。それを取り除くにはどうすればいいのか。幼児のむし歯予防にも詳しい、ほりぐち歯科(東京都大田区)の堀口尚司先生に、子どもの「歯磨き嫌い」を解消して、歯磨きをスムーズに進める秘訣を教えてもらいました。
子どもが歯磨きを嫌がる理由
多くの子どもにとって、歯磨きは不快なこと。口の中に歯ブラシを入れられることも、同じ姿勢で固定されることも、実は嫌なことなのです。なぜ嫌なのか。いくつかある理由のうちよくあるものを、嫌がらないコツと併せて堀口先生に聞きました。
【理由1:気分が乗らない!】
子どもは気分屋さんなところがあるので、歯磨きの気分でない時には歯磨きをとても嫌がります。そんな時は無理に歯磨きをせず、機嫌がよくなるタイミングでおこないましょう。
【理由2:興味がない!】
遊びと違って、歯磨きには面白い要素がありません。そのため子どもは、歯磨きをすることに興味を持てないのです。ぬいぐるみを相手に歯磨きをするなど、歯磨きに興味を持ってもらう工夫をしましょう。
【理由3:痛い!】
しっかり磨こう意識しすぎて、親の仕上げ磨きの力が強くなってしまうと、子どもは痛がります。歯磨きに「痛い」というイメージがついてしまうと、子どもは歯磨きを嫌がるようになります。力加減には注意しましょう。
【理由4:姿勢がイヤ!】
仕上げ磨きの時に、あお向けなど一定の姿勢で固定されるのが嫌だという子どももいます。固定する時間を短く区切るなどして、自由に動けないことへのストレスを減らすようにしましょう。
年齢別・歯磨きをスムーズに行うコツ
子どもの成長段階によって歯磨きが嫌な理由が異なることもあります。堀口先生に、年齢別のコツを教えてもらいました。
【1歳代前半】歯ブラシに慣れさせる
1歳代前半はまだ、子どもが歯磨きの意味をわかっていません。そのため、いきなり歯磨きをするのではなく、「これから歯磨きをしようね」と伝えて、心の準備をする時間をつくってあげましょう。最初はしっかりと歯を磨くことよりも、歯ブラシを歯に当てるなど、歯ブラシに慣れることから始めてみてください。
【1歳代後半】子どもの気持ちに寄り添う
自己主張が始まるこの時期。歯を磨こうとしても、抵抗されることがあるでしょう。強引に磨こうとすると、激しく抵抗されて逆効果なので要注意。この時期は子どもの気持ちに寄り添って、「嫌なのはわかるけど、ちょっとだけお願いね」と語りかけるなどしてください。
【2歳代】楽しいことを提案してみる
子どもは「遊びたいからイヤ」などと、はっきりと嫌な理由を言うようになります。親子の間で押し問答が続くこともあるでしょう。こんな時は、「歯磨きが終わったら一緒に遊ぼうよ」「歯磨きすればもっと遊べるよ」と提案してみましょう。自分の気持ちを尊重してもらえたと感じられれば、子どもは素直に歯磨きをしてくれるようになります。
子どもが歯みがきを嫌がらずにしてくれるようになった! そうなれば安心かと思いきや、実は歯みがきをしているだけでむし歯を防げるわけではないようです。歯みがきをしていてもむし歯になる子ども(大人も同様です)は、食習慣にも問題があるかもしれません。食べ物を口の中に入れると、むし歯菌が食べ物を分解することで口の中が酸性に傾き、歯のエナメル質が溶けだしてむし歯になるリスクが高まってしまうそうです。食べることは生きるうえで不可欠なことなので、それをやめるわけにはいきませんが、ダラダラ食べ、ちょい食べなどは意識して減らしていきたいところです。いくら歯磨きをしてもむし歯になる人は、食習慣が影響していると考えられるので、歯磨き習慣と食習慣、同時に考えながらむし歯予防に取り組みたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/堀口尚司先生
東京医科歯科大学歯学部卒業、同大学院保存修復科修了。虎の門病院勤務を経て2004年に「ほりぐち歯科」を開業。モットーは「子どもの気持ちに寄り添った治療」。
参考/「1才2才のひよこクラブ」2015年冬春号「むし歯にさせない歯磨き習慣ガイド」