赤ちゃんがコテンと寝るために 「セロトニン」と「メラトニン」の2つのホルモン
赤ちゃんの睡眠に悩むママやパパは多いですが、実は赤ちゃんの睡眠には2つのホルモンが大きく影響しているんです。
その2つのホルモンの働きを知って上手につき合えば、今よりもきっと寝かしつけがスムーズにいくはず。
そこで今回は、赤ちゃんの寝かしつけについて、小児専門医で乳幼児の脳の発達や睡眠の研究をしている、成田奈緒子先生に話を聞きました。
ねんねのカギを握る2つのホルモン
赤ちゃんのねんねに影響をし、早起き・早寝の生活習慣づけのカギを握るのが2つのホルモン。このはたらきが違う2つのホルモンをそれぞれ味方につけるには、朝は7時ごろまでに起こして日光を浴びさせ、夜は暗めの照明にすることが大切です。
赤ちゃんの目を覚まし、体内時計をリセットする「セロトニン」
「セロトニン」は、朝日を浴びる、起床時に体をくすぐるなど触れ合ったり体を動かしたりすることで、脳からたくさん分泌されます。
3ヶ月ごろからは、朝7時ごろまでには起こして日光を浴びせ、体を動かすといいでしょう。
「セロトニン」は、体内時計をリセットさせるだけでなく、イライラを抑えて心を安定させてくれることから、幸せ物質とも呼ばれています。
眠りを促すホルモン「メラトニン」
目覚めを促す「セロトニン」とは対照的なホルモンがこの「メラトニン」です。
目が暗闇を認識すると分泌されるので、就寝時間の30分〜1時間前にはテレビを消し、部屋の照明を暗めに変えましょう。
ちなみに、スマートフォンなどの青い光(ブルーライト)は、脳を刺激し「メラトニン」の分泌を抑える働きがあります。就寝前にスマホをチェックしながら授乳すると、赤ちゃんを目覚めさせてしまうので避けるのがベターです。もちろん、ママやパパ自身が眠るときにもスマホのブルーライトは安眠の妨げになります。
<成田先生が答えます!>寝かしつけのギモンを解決
ひと口に「寝かしつけ」といっても、月齢や環境によってママやパパたちのお悩みもさまざま。そこで今回は、寝かしつけに関するいろいろなギモンを成田先生が解決します。
Q1.昼と夜が逆転していて、夜起きています。自然になおるの?(生後1ヶ月)
A.赤ちゃんが昼間寝ている時間が長くて夜起きていることが多い、昼夜逆転状態だとしても、日中は陽の光を浴びせ、就寝前になったら部屋を暗くするようにしましょう。
大人が昼夜のメリハリを意識すると2ヶ月ごろには徐々になおっていきます。3ヶ月ごろからはお散歩を日課にするといいでしょう。
Q2.入眠儀式で興奮してしまう場合は?(生後7ヶ月)
A.入眠儀式は落ち着かせて眠りを促す行動がいいので、違う方法にしてみましょう。
就寝時の少し前からテレビを消して静かな音楽を流したり、部屋を薄暗くするなど、落ち着く環境を整えてから、絵本などの読み聞かせをしてみて。
Q3.寝かしつけに時間がかかって大変です…(生後9ヶ月)
A.周囲が暗くなり、体温が下がるタイミングで眠たくなるので、直前までテレビがついていて明るかったり、体温が上がっている状態だとなかなか眠くなりません。
就寝30分〜1時間前くらいからは部屋を暗くして、薄着で静かに過ごしましょう。
Q4遊びたがってなかなか寝ません…(生後11ヶ月)
A.相手をすると余計に遊びたがってしまうので、部屋を暗くしたまま寝たフリをして、赤ちゃんの周囲が危なくないかということだけを気をつけながら静かに見守りましょう。
そのうち「夜は暗くてつまらない。みんな寝る時間」と理解できるようになり、遊ばなくなります。
Q5.添い乳で寝かせるのはいつまでOK ?(1歳)
A.1歳過ぎたらなるべく、寝かしつけは絵本の読み聞かせなどに変えるといいでしょう。遅くとも2歳ごろまでを目安に、添い乳以外の方法で入眠できるよう工夫してみて。
夕食後に満足感がある牛乳などを飲ませるのもおすすめです。
成田先生によると、ねんね初心者の赤ちゃんは、浅い眠りと深い眠りを繰り返す睡眠のサイクルが小刻みで、浅い眠りが頻繁に訪れるため目を覚ましやすいんだそうです。
目を覚まさせる「セロトニン」と眠りに誘う「メラトニン」、この2つのホルモンの特徴を知ってうまく利用することで、赤ちゃんの睡眠と上手につき合っていけるかもしれません。
(取材・文/大月真衣子、ひよこクラブ編集部)
監修/成田奈緒子先生
「子育て科学アクシス」代表・文教大学教育学部教授・医学博士・小児科専門医。神戸大学医学部卒業後、米国セントルイス・ワシントン大学医学部留学を経て現職。専門は乳幼児の脳の発達や睡眠。一児のママ。ワークショップ「子育て科学アクシス」を主宰。