0カ月からできる!赤ちゃんの非認知能力を伸ばすためにできる関わり方
物事に熱中したり、友だちと仲よくしたり、自分のことを大事に思ったりする、数値では測りにくい人間の能力を「非認知能力」といいます。生きていくうえで不可欠な非認知能力の重要性が見直されている昨今、幼児期からこの能力を伸ばしていくことも育児の重要なテーマとなりつつあります。
非認知能力は主に、遊びの中で培われると言われますが、具体的にどのような遊びが効果的なのでしょうか? たまひよONLINEでは0~6カ月ごろの赤ちゃんの非認知能力を伸ばす遊びについて、非認知能力を高める育児に詳しい、玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)の大豆生田千夏先生にお話を聞きました。
五感で感じていることすべてが遊びに
――0~6カ月ごろはまだ生まれたばかりで、遊びという遊びはまだできないと思いますが、非認知能力をはぐくむことは可能でしょうか?
大豆生田千夏先生:もちろん可能です。というのも、生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、生活すべてが遊びだからです。目に見えるもの、耳で聞こえるもの、肌で感じるもの、すべてが新鮮で、生活の中に多くの刺激があります。たとえば、風に揺れるカーテンを見ているのも、赤ちゃんにはとても楽しいこと。守られた安全な環境の中で五感を働かせることで、赤ちゃんの非認知能力は高まります。
――赤ちゃんとの遊びで押さえておくべきポイントはありますか?
大豆生田先生:遊びには安全な環境が必要です。その中で、基本的信頼感がはぐくまれます。生まれてきたばかりの赤ちゃんが、「この世の中は安全で、自分は愛されていて、おもしろいことがいろいろある」、そんなことを学ぶ時期です。赤ちゃんの様子をよく見てください。この時期の赤ちゃんは、まだ思うように動けない中で、手足を動かしてみたり、じっと手を見たり、何かをつかもうとしたり、寝返りをしようとしたりして、自分のテーマに熱心に取り組んでいます。子どもというのは、自分で自分のテーマがわかって、だれに言われたわけでもなく熱心に努力をするものです。それを大人が知っていれば、のちの子育てでもじっくりと見守れるようになります。
0~6カ月ごろの子の非認知能力を伸ばす遊び具体例
大豆生田千夏先生に、0~6カ月の子の非認知能力を伸ばす遊びの具体例を教えてもらいました。
見える場所で洗濯物を干す
赤ちゃんから、家事をしている姿が見えるようにしましょう。時々赤ちゃんのいる場所を移動してあげるのもいいでしょう。ママ・パパが洗濯物を干すときには赤ちゃんから見えないところではなく、見えるところで洗濯を干してみましょう。
赤ちゃんが「あー」と声を出したら、「はーい」と返事をして、「お洗濯干しているんだよ」と教えてあげてもいいですね。「非認知能力を伸ばそう」とか、「遊びの相手をしなければならない」と構える必要はありません。
「わらべ歌」「手遊び歌」
聞こえてくる音にも興味津々の赤ちゃんは、ママやパパのわらべ歌も心地よく楽しんでくれます。顔拭きなどのお世話の歌を口ずさみながら顔を拭いてあげたりるのもよいでしょう。手歌に合わせて手や体を動かす手遊び歌などは、いつも定番のものを歌っていると、赤ちゃんもそれを覚えます。
いつも同じ歌でもいいし、即興のでたらめ歌でもいいんです。
環境を整える
赤ちゃんのベッドには、音の出るガラガラや、メリーなどがあるといいでしょう。メリーは見ているだけでも楽しめますが、赤ちゃんが自分から手を伸ばそうとすることもあります。それは自分から主体的に、何か物に働きかけようとしているということ。危険がないように、刺激が多すぎないようにして、赤ちゃんの動きをゆっくり待ってみましょう。
メリーがない場合は、赤いミニタオルやハンカチなど、わかりやすい色のものを洗濯物と一緒にぶらさげておくと、赤ちゃんはそれをずっと見ているようです。身のまわりのあるものだけでも、赤ちゃんは五感を使っていろいろと楽しんだり、考えたりしているということ。一日のほとんどを過ごすベッドから、いろいろなものが見えるようにしてみましょう。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/大豆生田千夏先生
玉川大学教育学部非常勤講師(乳幼児発達学科)、子どもと家族支援研究センター副代表。臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士として、長年子育て相談にかかわる
参考/『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める』(大豆生田啓友・大豆生田千夏著、講談社)