理解したい!『嫌なのだけれど伝えられない』子どもの気持ち【夫婦のじかん大貫さんの「ママ芸人日記」#24】
2018年3月に男の子を出産した、お笑いコンビ「夫婦のじかん」の大貫さん。イラストレーター兼漫画家としても活躍中です。よしもと芸人・イラスト業・ママと毎日大忙しの大貫さんによるのコラム連載「ママ芸人日記」第24回です。
理解したい!『嫌なのだけれど伝えられない』子どもの気持ち
1歳5ヶ月になる息子は、最近『イヤイヤ』と何かを嫌がったりすることが増えてきました。
好きな食べ物なのに、今は食べたくない。
上半身は着替えたけど、下半身は着替えたくない。
お風呂に入りたいと訴えていたのに、いざお風呂の準備ができるともう嫌だ。
どこでどんな『イヤイヤ』が発動するのかわからないので、大人は振り回されて結構大変です。
しかし、自分の子どもの頃を考えてみると、『嫌なのだけれど伝えられない』ということがあったなと思い出されます。
まだ3、4歳の頃、私は祖母と耳鼻科へ行ってから幼稚園へ向かっていたのですが、その日の耳鼻科はとても込んでいて、登園するのがいつもよりもかなり遅れてしまいました。
みんな水着に着替えてプールに入る準備が整っていたのですが、私はみんなが着替え終わっている中、水着に着替えなくてはならなかったのです。
「早く着替えてね」
と先生に言われるのですが、みんなが着替え終わっている中、一人で着替えるのがとても恥ずかしく、中々着替えられずに躊躇していました。
その頃、周りの友だちは『着替える』ということに対して特に恥ずかしい気持ちは持っていなかったように思うのですが、私は以前からずっと恥ずかしかったのです。
「みんな平気でパンツ一枚になって着替えているけど、恥ずかしくないのかな?」と思いながら、みんなが自分の着替えに気を取られている隙を狙って、いつも着替えていました。
「なんで着替えないの?いつも上手に着替えてるじゃない」
と先生に言われても、『着替えるということが恥ずかしい』ということを伝えるのも恥ずかしく、みんな恥ずかしがってないことなのに、先生もまさか私が恥ずかしいなんて思っていないだろうなと想像すると、説明するのも難しく、ただただ着替えられないでいました。
だんだん先生も「早く着替えなさい」の声が大きくなってくるので、これはまずいと思い、私は束ねられたカーテンの中でそそくさと着替えたのです。
「え?なんでそんな狭いところで着替えるの?こっちで着替えな!」
という先生のもっともな意見にも耳を傾けず、『カーテンの中で着替えたがる変な子ども』という立ち位置を演じ、その日を終えたのでした。
自分の経験から、『嫌なのだけれど、子どもの自分には説明することが難しい』ということは、結構あるのではないかと思っています。
理由はあるのにはあるのですが、自分でもはっきり原因がわからない、大人から見ると『気分』ということで片付けてしまう様々なことの背景に、意外と子どもの成長が見え隠れしているのかなと思います。
息子がこれからどんなことを感じて成長するのか、大変なこともたくさんあるかと思いますが、一緒に楽しんでいければと思っています。
夫婦のじかん大貫さん プロフィール
吉本興業所属/夫婦お笑いコンビ「夫婦のじかん」の嫁担当。イラストレーターとしても活動中。相方は元・トンファー山西章博。息子(2018.3生)と夫との3人暮らし。2019年3月にコミックエッセイ「母ハハハ!」(PARCO出版)を発売。