休校で不安増。子どもをゲーム依存症しないために親ができること
オンラインゲームやゲームアプリがやめられず、勉強や睡眠など日常生活に支障をきたす依存症が問題になっています。子どもとゲームは身近な存在となった今、家庭ではどのように対処すればいいのでしょう。ゲーム依存に詳しい千葉大学教育学部特命教授三宅健次さんにアドバイスをもらいました。
これってゲーム依存症? ゲームに熱中する子どもの現状
口コミサイト「ウィメンズパーク」に寄せられたゲームに熱中する子どもたちの現状です。のめり混んでしまう子どもたちの姿に、ママたちの心配は尽きないようです。
ゲームを取り上げ水没させたことも
「小3の時にゲームで時間を守らない、暴言を吐くなど、さんざんもめたことが…。何回言っても約束を守らない息子にとうとう私がプツンときれてしまい、ゲーム機を水没させたことがあります。その日は泣き叫んで大騒ぎしましたが、その後、本気の話し合いをしました」
ゲーム依存状態ですが、制限を守っているので見守り中
「息子は小学生の頃から ある程度ゲームは自由。学童を辞めた小学3年の終わりから友だちとゲームしていたようです。ただ夕食後は禁止、就寝は21時、学校は嫌がらず行っていたので問題とは思っていませんでした。中学生になってからゲーム依存状態。土日は外にも出ず、ゲーム三昧。反抗期なので言うだけ無駄だと思い、学校には行っているし、成績も悪くはない、22時までの制限は守っているため、今は黙っています」
オンラインゲームに夢中
「学校から帰ると、待ってましたとばかりに『フォートナイト』を始める小3の息子。会ったこともない、顔も知らない子たちとマイクで繋がってゲームをすることもしばしば。個人情報が漏れるのを防ぐため、ゲーム中は名前で呼びかけないでほしいと息子に言われました。実際、ゲーム中に話しかけるととても嫌がられます」
親も真剣! 我が家のゲーム依存予防対策
ほおっておくと時間を忘れて、子どもたちはゲームに熱中しがち。依存しすぎないように対策を立てているママたちの奮闘エピソードをご紹介します。
親も絶対に折れない!
「パスワードと『使いすぎストップ』というアプリを入れてゲームを使える時間帯を設定。最初は文句言われ、勝手に設定を変えられたりしました。でも、『これが我慢できないようなら病気だよ!どんなに文句を言われようと、お母さんはあなたたちが大事だからこれだけは譲れない!』と訴えて、何を言われようと絶対折れませんでした」
約束を破ったら、親の強制管理
「夕方18時以降のゲームはNG。朝早く起きて、最低限の勉強とピアノの練習が終わったら、学校に行くまでのゲームは許可しています。私が在宅している時間なので、ここはしっかり管理できます。習い事に遅れたり、時間を管理できない場合は、ゲームはやらせない、と強制的に親が管理しています」
ゲーム依存症にしないために親子でルールづくりを
学業や生活習慣に支障が出ないようママたちも工夫をしているようですね。依存症にさせないために親がやるべきことについて、千葉大学特任教授、三宅健次さんにアドバイスいただきました。
「ゲーム依存にならにようにするには、まず幼少の頃からルールを守らせること、また、節度・節制のある生活習慣を身につけさせることが大切です。
それらが身についていないまま、ゲームに関してだけルールを守らせようとしても、それはなかなか難しいものです。
まだゲームができる機器を与えていない場合は、まず、しっかりとした生活習慣を身につけさせておきましょう。そして、すでにゲームができる機器を与えている家庭は、依存にならないようにするためのルールづくりが必要です。
ルールを決める時は保護者からの一方的なものではなく、子どもとよく相談し、子どもも納得済みのものにしておくことが重要です。口約束ではなく、必ず紙に書いて記録しておきましょう。
また、ルールだけではなく、子どもの利用を制御できるペアレンタルコントロール機能を活用したり、利用制限できるアプリなどを導入したりして、保護者の方からしっかり設定しておくことも重要です。
それでもいざゲームを始めると、子どもはなかなかやめられなくなってしまうことがあります。ルールを守らずに夜遅くまでするようになったり、保護者の注意を聞かなくなったり、ゲーム中心の生活になってきたりしたら危険な兆候です。
ただその際、親がしてはいけないことは、強引に機器を取り上げたり、今まで以上にルールを厳しくしたり、一方的にルールを押しつけたりすることです。このような力業は逆効果になります。ある程度は譲歩し、学年の進級時や何かのきっかけの折りに、子どもと一緒に改めてルールの見直しをしていくとよいでしょう。
できればスポーツをする時間を設けるなど、ゲーム以外のものに関心がいくように仕向けると依存を防ぐことができます。
ただし、ゲーム依存の兆候が少しでも見られたら早めに対応を。その場合は、ルールだけでは心許ないので、子どもをうまく乗せて、利用制限機能を利用していくことをオススメします。
自分の子どもを信じて、よりよい落としどころを見つけていきましょう」(三宅健次さん)
時間を忘れて熱中する子どもやオンラインゲームをする子どもの姿を見ると、依存症にならないかと親としては不安になりますね。強制的にゲームを終わらせるのもひとつの方法ですが、やはり子ども自身でコントロールできるようになって欲しいもの。頭ごなしに叱るのをぐっと我慢して、親子で話し合うことが大切なようです。(文・酒井範子)
三宅 健次さん
千葉大学教育学部特命教授。千葉大学教育学部附属中学校副校長。「情報モラル研修教材2005」「ネット社会の歩き方」などの教材開発やテキスト作成及び、文部科学省主催「メディア教育指導者講座」「情報モラル指導者養成研修」など、情報モラル教育に関する講演等を行っている。