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ウィズコロナ世界の「家族の幸せ」を経済学的視点から考える

リビングルームでリラックス若いアジアのカップル
itakayuki/gettyimages

新型コロナの緊急事態宣言解除が進められ、少しだけ安心感が広まっていますね。でも、新型コロナとの戦いはこれからも続きます。”ウィズコロナ”という今までとは違う生活を始めるにあたり、ママ・パパが話し合っておくべきことは何でしょうか。結婚・出産・子育てについて経済学的手法で研究している、東京大学大学院経済学研究科教授の山口慎太郎先生に聞きました。

「言わなくてもわかってほしい」は無理だと心得ましょう

新型コロナの感染拡大予防のため、家族と過ごす時間がとても長くなりましたね。「家族と過ごす時間が長くなると幸福感高まる」という研究結果があります。
今の日本の状況に当てはめると、在宅勤務が増えることで仕事に片寄っていた「ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)」が改善され、家庭生活が充実。その結果、幸福感が高まっていると考えられます。
その一方、「家族が長時間一緒に過ごすことで不和が生じる」という現象も起きています。
家族と過ごす時間が長くなることで、両極端な結果になってしまうのはなぜでしょうか。
それは、夫婦、親子のコミュニケーション量の差だと私は考えます。

夫婦間では、「言わなくてもわかってほしい」は無理な希望だと考えましょう。「言葉にしてくれないとわからない」というのはお互いさま。やってほしいこと、やられたらいやなことなどは、言わなくては伝わりません。
在宅勤務と外出自粛で家にいる時間が長くなっている今は、心にためていた希望や不満などをお互い「発表」する場を持ついい機会です。
そして、どうすればよりよい家庭生活が送れるかを、しっかりと話し合うことが大切です。

コロナ禍が起こってからではありませんが、わが家では夫婦のルールを1つだけ決めています。それは「お互いのやり方には口を挟まない」こと。
妻の子どもへの接し方で「こうすればいいのにな」と思ったとしても、それは口にはしません。その代わり、私が子どもとかかわるときは、私のやり方で接しています。
「夫婦が同じ方法で子育てをしなくてもいい」というのが、わが家流。いろいろな接し方や価値観に触れることは、子どもの成長にプラスになると考えています。

前からこうしたルールがあったこともあり、家族3人で過ごす時間がかなり増えた今も、ストレスを感じることはありません。おそらく妻もそうだと思います。

パパが家事・育児に「慣れる」チャンスと考えて

ベネッセコーポレーションが行った「たまひよ」「サンキュ!」新型コロナウィルスに関する妊婦とママの意識調査」(女性4,411名、うち、現在妊娠中3,207名が回答)によると、「保育園の休園中、ママ・パパともに仕事を持つ家庭でも、6割はママが子どもの面倒を見ている」という結果が出たそうです。
この結果を見ると、ママの負担がすごく大きいと感じますね。
でも、今は変わっているじゃないかなというのが私の予想です。

このリポートは4月27日に発表されているので、アンケートを採ったのは、おそらく在宅勤務が奨励されるようになった初期の段階ではないでしょうか。
大きな変化が起きて環境がガラリと変わったとき、人はまず従来のやり方でなんとかやりくりしようとします。
「保育園に預けているときは、ママが主に面倒を見ていた」という家庭では、まずはその方法で対応したことでしょう。それが、この調査結果に表れていると思います。
ところが、在宅勤務期間が予想以上に長くなり、「そのやり方では仕事も育児も回らない」と夫婦ともに気づいたら、「お互いに仕事が支障なくでき、育児もこなすのはどうすればいいか」を、話し合ったのではないでしょうか。
だから今、同じアンケートを採ったら、違う結果が出るのではないかと思うのです。

「夫婦ともに在宅勤務だけど育児はママがやる」を今も続けているとしたら、それはママに大きな負担となり、家庭生活がうまく回りません。
コロナ禍がある程度収束を見ても、在宅勤務はなくならない、むしろ推奨されると私は考えています。
「今だけやり過ごせばいい」とはならないので、家事と育児の分担について、ここできちんと夫婦で話し合ってください。

パパが家事・育児をしない最大の理由は「慣れていないから」なんです。夫婦ともに家庭にいる時間が長い今こそ、家事・育児に慣れてもらう絶好のチャンスですよ。

衝動的な「コロナ離婚」は失うものが大きい

「コロナ離婚」という言葉をよく聞くようになりました。夫婦・家族が長い時間一緒にいることで、大きなストレスがたまり、それが離婚を決断させてしまうようです。
さまざまな理由で離婚を選ぶ人がいるし、中には離婚したことで今まで得られなかった幸せをつかめる人もいるので、すべてを否定するつもりはありません。
でも、「今のこの状況がイヤッ!」という衝動的な感情で決断するのは、避けてほしいのです。
「家族でいる幸せ」は、一度手放すと、そう簡単に取り戻せるものではないからです。

新型コロナの影響で「離婚したい」と考える人は、いろいろなことを、コロナ前と同じように完璧にしたいと考えていませんか。
何事もコロナ前と同じようにするのは無理。仕事も家事も育児も「ほどほどにできれば十分」と割りきり、頑張りすぎないことが大切です。
それくらいゆるい気持ちでいると、家族への不満やストレスも、減らすことができるのではないかと思います。

新型コロナによって、今までの価値観ややり方はひっくり返りました。
今後も在宅勤務は定番化し、いずれやって来るアフターコロナは、今よりもワーク・ライフ・バランスのいい、生きやすい時代になると私は考えています。
だから、今ネガティブな決断をするのは得策ではありません。
「話し合い&100%を求めない」で今を乗りきり、家族そろって新しい時代を迎えてください。

お話/山口慎太郎先生 聞き手/東裕美、ひよこクラブ編集部

「ウィズコロナ」「アフターコロナ」の時代を家族で健やかに過ごすには、何よりもコミュニケーションが大切。今夜子どもが寝たあとで、夫婦で「今の気持ちを発表する場」を作ってみるのはいかがでしょうか。

お話/山口慎太郎先生
(東京大学大学院経済学研究科教授)
慶應義塾大学商学部卒業。同大学大学院商学研究科修士課程修了。アメリカ・ウィスコンシン大学経済学博士取得。専門は、結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」と、労働市場を分析する「労働経済学」。初の著書である『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』がサントリー学芸賞を受賞。

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