キャラ好き台湾のコロナ封じ込め要因は的確な対策と「かわいすぎる柴犬」現地の日本人ママ
今回のテーマは台湾のコロナ事情。夫の転勤に伴い台湾に転居、在住5年目になる日本人ママののんこにしさん。2歳の女の子を育児中、日台の違いに驚いたことをリポートします。「台湾育児日記」第1回
■教えてくれたのはのんこにしさん
夫の転勤により2016年から台湾在住。初めての妊娠出産を台湾で経験。現在は毎日学校に通い中国語を学ぶかたわら2歳になるわんぱく女児の子育てに奮闘中。
素早い!的確!可愛い?台湾のコロナ対策
2020年もあっという間に半分終わりましたね。台湾はもうすっかり夏本番!6月に入って以降はほとんど毎日最高気温37度、体感気温48度という暑さの日々です。
私は軽い夏バテで中医(漢方医)に駆け込み、鍼灸とカッピング(血行を改善する吸玉療法)をしてもらいましたが、これももはや夏の始まりの恒例行事。台湾で迎える五度目の夏になります。
最近、日本の友人達から「台湾のコロナ対策すごいね!」とたびたび連絡をもらいますが、台湾は現在のところコロナの封じ込めに成功しており、4月12日以降国内の新規感染者はゼロ、三ヶ月経った今もその記録を更新中です。もうほとんど普段通りの生活を送ることができています。
街は多くの人で賑わい、お店は混雑しており、行列もよく見かけます。(台湾人は行列が大好き!)外ではマスクをしない方も増えてきました。と、こんな風に一見コロナ以前と変わらない姿を取り戻しているように見えますがそんな台湾でも当然コロナの影響は小さくはありません。
春以降、長く続いてきた人気の飲食店や宿泊施設閉業のニュースを本当にたくさん見聞きしています。現在外国人は原則入境できないため、元々観光客の多いお店は特に大変な状況です。収束後を見据えて、この期間に休業して改修工事をしているお店も多いです。
日常生活の面でも変化がありました。地下鉄は改札入場時にマスク着用が義務付けられており、いくつかの駅では検温のための赤外線サーモグラフィーが設置されています。6月初旬に対策が大幅に緩和されて以降は、車内で他の乗客と社交距離(中国語でソーシャルディスタンスのこと)を確保できる場合はマスクを外してもO Kということになりましたが、昼間のガラガラの車内でも100%の着用率です。
飲食店や屋内施設に入る際のアルコールでの手指消毒及び検温は、入店の際の「お作法」として定着した感がありますが、最近では入口にアルコールが設置してあるのみで「各自でどうぞ」というスタイルのお店もだんだん増えてきました。
日常生活を普通に送りつつ経済を回す段階に
安定した状況が続いている台湾では、基本的な防疫対策は続けつつも普通に日常生活を送って経済を回していこう!という段階に入っており、7月15日からは「振興三倍券」の発行が開始しました。1000元支払うと3000元分の振興券が購入でき12月末まで様々なところで使用できるというものです。
台湾国籍保持者とその配偶者が対象のため私自身は対象外ですが、経済対策の内容やタイミングにも納得感がありますし、何よりも安心して買い物が楽しめる状況にまで持ってきてくれた台湾政府のこれまでの対応に非常に信頼感を持っています。
台湾では国内初感染者が出た直後の1月20日時点でコロナ対策本部が設置され、そこから毎日定例の記者会見とLINE配信が始まりました。これが6月7日まで140日間続き、現在でも毎週一回は行われています。最新の確実な情報を政府側からダイレクトに入手できる上、最新状況は表に簡潔にまとめられていてわれわれ外国人でも容易に理解できるものとなっています。
柴犬からのメッセージがかわいすぎる
またLINE配信ではマスコットキャラクターとして柴犬を起用しており、正しい手洗いからマスク着用&検温義務を無視した場合の罰金制度まで、わかりやすく可愛らしい画像で示しています。人々の気が緩みやすい連休前など「柴犬の連休の予定:家で休憩」という画像が配信されてきたこともありました。お堅い機関がこんなにゆるい配信をするということに初めは驚きましたが、台湾人のキャラもの&カワイイもの好きな傾向を踏まえて、読んでもらうことと伝わることを目的として工夫されているんだなと感心します。
世界中で不足していたマスクも、2月頭に既に台湾政府は人々に公平に行き渡るシステムを作っており、お陰で大きな混乱もなく7月現在までずっと安定した供給があります。購入システムはどんどん改良され、現在は二週間ごとのコンビニでの予約&受け取りが当たり前の日常となりました。
外国人の入境を原則禁止とした3月下旬、台湾のトップである蔡総統はS N Sで「感染症の前では台湾人も台湾に住む外国人も同じ船に乗っている」という投稿をしていました。その言葉通り台湾にいるいち外国人である私や私の家族も守ってもらっており、本当に有難いと思うとともに政府と国民の間の信頼関係やそれによる好循環を目の当たりにして、なんだかちょっと羨ましいと感じています。今2歳の娘が大人になる頃には日本はどんな国になっているのでしょうか?
私たち家族は数年後にまた日本に戻る予定なので、台湾で経験することを目を見開いて耳の穴かっぽじってよく観察しておかなくては! と今はただ漠然と思っています。
文/のんこにし