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「悩み」「不安」「ためらい」2人目の壁、突破するために必要なこと3【専門家】

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妊娠中の女性少年と花と遊ぶ
Milatas/gettyimages

1人目の子育てに慣れ始めるころ、考えるのは2人目の子どもをどうするかではないでしょうか。
「きょうだいで助け合ってほしい」と考える反面、経済面・仕事面・体力面で「2人目の壁」を感じる夫婦は多いでしょう。夫婦の出産意識について毎年調査を行っている「1 more Baby応援団」の秋山開さんは、2人目を迷うとき、決断するためのポイントは【1:経済面】【2:サポート体制】【3:ポジティブ思考】の3つだと言います。それぞれのポイントについて話を聞きました。

【1:経済面】経済的な不安には、夫婦で多面的な備えを

2人目の壁を感じるいちばんの理由として81.1%の人が「経済的な理由」をあげています(※A)。不安を解消するには家計の収支の見直しも必要です。

「各家庭でできる経済面の対策は、単純に言えば収入を増やすか、支出を減らすか、ということです。
収入を増やすという面では、まず1つは夫婦ともに働くこと。ばあばやじいじ、周囲のサポートを得ながら、幼保無償化などの補助制度がどのくらい利用できるかなども、調べて準備しましょう。

支出を減らすことについては、第3者であるファイナンシャルプランナーなどの専門家にマネープランを立ててもらう、という人も多いです。第3者に相談すると、長期的アドバイスを具体的に得られ、公平な視点で意見をもらえることがメリット。お金の話題は夫婦間でも感情的になりやすいので、専門家に相談するのは有効です。

また、個人的におすすめなのは電力会社の切り替えです。夫婦参加の子育て世帯向けのイベントで聞いてみると、意外とやっている人は少ないようですが、けっこう大きく節約できるし手続きも簡単なので、ぜひ試してみてください」(秋山さん)

【2:サポート体制】育休制度を利用しよう

共働き家庭が2人目を決断するには、子どもに手がかかる時期に、夫婦の育休取得がしやすいかどうかも重要なポイントです。

日本の男性育休制度は世界一。でも、取得率は最低

多くの共働き夫婦は、男性の育休がなかなか取れない、という現状から、2人目をためらってしまう気がします。

「2019年にユニセフが 『日本の男性の育休制度は世界一だけれど取得率が非常に低い』と発表しました(※B)。実は、日本における男性の育休制度は、取得日数や金銭補助の面で北欧諸国と比べても遜色ない制度なんです。ただ、実際の取得率が非常に低いのが問題だと思います。

1つは、日本企業の評価制度に要因があります。たとえば、生産性を基準にした北欧の評価制度では、1日6時間勤務であっても生産性が高ければ評価されます。
それに対し日本では、時短勤務にすると評価が下がったり、昇進できなかったりする風土が根強くあります。そこを改善すれば、もっと男性が育休が取得しやすくなるはずです」(秋山さん)

だれもが柔軟な働き方を選べる、意識の変革が必要

育休制度、評価制度などのハード面が整っても、それを利用できなければ、2人目をためらう状況は変わりません。

「女性や時短勤務の管理職が少ないという職場環境や、子育て中の社員に同僚が『しわ寄せ』を感じるといった問題も、子育てのしにくさにつながります。

政府も企業も子育て支援策を打ち出してはいますが、子育て世代の特権のようになると、かえって対象者が使いづらいという面が否めません。

だれもが、妊娠・出産・学び直し・介護などのさまざまな目的で時短や有休を使え、フォローしあえる制度にすれば、柔軟な働き方が可能になります。そうすることで、男女問わず育休を取得するハードルが低くなるでしょう。
個人個人の、働き方に対する意識を変えることが非常に大事です」(秋山さん)

【3:ポジティブ思考】最終的に決め手となるのは強い気持ち

1人目を出産したあと、経済面・仕事・年齢などを考えると、2人目を迷う人が多い現状で、結局決め手となるのは「欲しいからなんとかしよう!」という強い気持ちなのだそうです。

「どんなに計画を立てて、準備をしたとしても、やっぱりなかなか不安はなくならならないものです。
1 more Baby応援団では、2人目の壁を乗り越えたご夫婦にインタビューをしているのですが、多くのご夫婦の決め手になったのは『欲しいんだからなんとかするしかない!』というポジティブな気持ちです。

ではなぜそこまで欲しいのか、と聞くと多くの人が『子どもにきょうだいを作ってあげたい』と答えました。『将来に不安があるからこそ、子どもが一緒に助け合って生きていけるきょうだいを作ってあげたい』のだという人も。とても前向きだと感じましたね。

一方で忘れてはならないのは、妊娠する力には年齢という、自分の気持ちだけでは乗り越えられない壁があるという事実です。
平均寿命は延びても、人間が妊娠できる期間は変わっていません。その認識を持ちながら、夫婦でお互いの働き方も考えていく必要があると思います」(秋山さん)


お話・監修/秋山開さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

だれもがライフスタイルによってフレキシブルな働き方を選べる制度を整えることが、子を産み育てやすい社会を作る一歩になるようです。年齢や性差にかかわらず、助け合える社会にするには、個人の意識や価値観も柔軟に変化させることが必要でしょう。

秋山開さん(あきやまかい)

Profile
1973年生まれ。外資系企業を経て、一般財団法人1 more Baby 応援団 専務理事となる。日本の社会課題である少子化問題について、子育て環境や働き方等の観点から調査、啓蒙活動を推進。執筆、セミナー等を積極的に行う。近著の
『18時に帰る-世界一「子どもが幸せな国」オランダの家族から学ぶ幸せになる働き方』(プレジデント社)は、第6回オフィス関連書籍審査で優秀賞に選ばれている。


(※A)1 more Baby応援団が実施した調査結果より
https://www.1morebaby.jp/report-shussan.html

(※B)日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/news/2019/0087.html

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