新妻聖子 息子2才代 終わりのないトンネルにいた0才代育児を脱出、過去の自分に教えてあげたい!
ミュージカル女優の新妻聖子さんが、2018年7月に生まれた息子さんの初めて育児に奮闘する様子をユーモラスにつづる月1連載「新米母と息子の備忘録」。残念ながら、第20回目の今回が最終回となります。今回は、2才半になる息子さんが0~1才代だったときの大変な子育てを振り返りながら、現在、赤ちゃんの子育てに奮闘中のママたちへのメッセージをお届けします。
過去の自分の連載記事を読み返し、息子の成長に感動!
産後5カ月ごろに始めさせていただいたこの連載も、今回でちょうど20回目になりました。息子もあっという間に2才半!もうそんなに月日が流れたのかと驚きを隠せません。過去の記事を読み返しながら、忘れていたあんなことやこんなことを思い出して、じんわり感動しています。
熟睡する手前で小刻みに起こされる…0才代育児は必死だった!
連載初回では離乳食を始めたばかりで、「早く息子と一緒に食卓を囲んだり、外においしいものを食べに行きたいなぁ」と書いていましたが、今では「今日はちゅるちゅるパスタを食べに行こうか!」と外食もできますし、自宅でも勢いよくごはんを頬張る姿は頼もしい限りです。
第2回では「子どもって、鼻水を取るとなんであんなに泣き叫ぶんでしょう」と書いていたけれど、今では「ママお鼻ふいてー」と自分から言いに来ますし、初めての風邪や体調不良にてんやわんやだった連載第3回を読みながら、あのときは本当に必死だったなぁと回顧。
今では大抵のことを笑ってやり過ごせますが、やはり寝不足だけはしんどいものです。熟睡する手前で何度も小刻みに起こされるつらさ…。今なら「風邪のときだけだから」と思えるけど、あのころは終わりのないトンネルにいるようでした。
初めてのママ用サンバイザーつきレインコートにはしゃいでいた第4回。今では雨だとすぐにあきらめてタクシーに乗るので、レインコートはめっきり使わなくなりました(笑)。つかまり立ちに感動して、幾度となく風邪やウイルスを乗り越えて、100均グッズのありがたみを知って…。喜びもあれど、まだまだ手探りでしんどかった最初の1年。
息子1才6カ月で育児の負のループ脱出!過去の自分に教えてあげたい!
それが、息子が1才6カ月ごろになって「ママ」としゃべりだしたころから、グッと子育てがラクになりました。ちょうどその時期に私も喉の不調を乗り越えて心が安定してきたこともあり、それ以前とそれ以降では見える世界が変わったといっても過言ではないほど。
私のような高年出産の場合はとくに、今まで20年近く社会で「自分のやり方」で闘ってきて身についた「こうあるべき」というルールや美学があると思うんです。だから最初は切り替えが難しくて、育児で初めてルーティンを崩されると、すごく動揺する。不安と不満が募れば体調も崩しがちになって、健康でなくなるとさらに余裕がなくなり、負のループにハマっていく…そんな時期がありました。
ちょっと風邪をひいたって、ほがらかに笑っていたら2週間で元気になるのに。勝手に絶望して、勝手に「不幸モード」に突入していたんですね。「そんなに思い詰めなくて大丈夫だよ」と、過去の自分に教えてあげたいです。
とはいえ、理想どおりにはいかないのが現実…
今は「イヤイヤ」と泣き叫ばれても、私が心を乱されなければいいんだなと腹をくくります。「あぁ元気に泣いてる。生きていてくれてありがたいなぁ。かわいいなぁ」と思うことができたら、穏やかに抱きしめてあげられますよね。
ぐずられて遅刻しそうでイライラしそうなときは、早く準備を始めなかった自分が悪いのに子どもに責任転嫁してイラつくなんて、そんなのおかしいよねと冷静になってみる。そうするほうが私自身もうんとラクなんだよなぁと、息子が2才を過ぎたあたりからは思えるようになりました。
もちろんこれは理想論で、そんなに穏やかな瞬間だけではありません(笑)。「ありがとう」「どういたしまして」「ごめんなさい」などが言えるようになった息子ですが、ちょっと気に入らないことがあると意固地になって反抗してきます。
きちんと言ってきかせても、プイっと無視してコップを投げたりされると、やはりイラっとします。そこでこっちがカッとなると本当の意味でのしつけにはならないのですが…さっきは「もう知らないよ!そんな言うこと聞かない子は!」と怒ってしまって。一旦、子ども部屋に一人にさせてみたら、「ママー!」と泣き叫んでいました。ママにしかられたのに、なぜかママのことを呼んで泣く。ドアを開けると必死でしがみついてくる。このいとおしい生き物は一体…。
親の“とるにたらないこだわり”を手放せば“いとおしい”毎日
第1子の育児は未知との遭遇。最初はたくさん戸惑うしグッタリするし眠いし落ち込むしイラつくしキャパオーバーになることもあるけれど、だんだんラクにはなるものです(今のところ、ですが)。それよりなにより、「ママ」と呼ばれたときの幸福感、小さな体でいろいろな感情を表現するけなげなかわいさ。とるにたらないこだわりを手放せば、いとしさだけが残るそんな毎日です。
そういえば、連載第13回で息子が発していた謎の言葉「ロレッチ」!先日、そのときの動画を息子に見せて「これなんて言ってるの?」と聞いたら、「オレンジだよ」と答えてくれました!意外と普通でしたね…(笑)。でも、連載が終了する前に答え合わせができてよかったです!!
育児の悩みはあるけれど、コロナ禍の今、息子が生きていてくれることに感謝!
うちの息子はまだ2才半。私もこれから親として、新たな悩みや苦しみにたくさん直面することでしょう。でも基本はやっぱりこれです。生きていてくれてありがとう。一生懸命に成長する姿を近くで見守らせてくれてありがとう。ママにこんな愛を教えてくれてありがとう。息子を生かしてくれる、社会のすべてに今日も感謝して。
今は世の中にコロナウイルスというものが蔓延していて、人類が共通の目標を持ってじっと用心しながら生活をしていますよね。引き続き可能な限りの対策を講じながら、笑顔や楽しむ心まで「自粛」してしまわないように、「ありがとう」の心でたくさんの喜びを感じていきたいです。
全20回の連載におつき合いいただき誠にありがとうございました!毎回、ていねいに原稿と向き合ってくださった編集部の皆さま、支えてくれた所属事務所のスタッフ、育児という果てない旅の相棒である夫に、心からの感謝を。皆さまどうかお元気で、またどこかでお会い致しましょう!!
今月のとっておき♪
息子が最近描いた絵です!ブラシと自分の指を使って自由にペインティング。とっても素敵な絵だったので額に入れました!
文/新妻聖子さん 構成/ひよこクラブ編集部
好評だった、ミュージカル女優の新妻聖子さんの子育て連載、残念ながら、今回が最終回になります。0才代から今まで、息子さんの子育ての様子をつづってくださったエピソードは、今、新妻聖子さんと同じ2才代のお子さんを持つママ・パパはもちろん、0~1才代のお子さんのママが読んでも元気がもらえるはず! ぜひ、バックナンバーもチェックしてみてくださいね!
新妻聖子さん(にいづませいこ)
Profile
1980年生まれ。2003年に5000倍のオーディションを突破して、「レ・ミゼラブル」で初舞台に立つ。その後、数多くのミュージカルに出演。2021年1月18日よりMUSICAL『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM®に出演決定。