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早生まれは不利!? 親ができることは「非認知能力」を伸ばす関わり方【経済学者提言】

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母と彼女の息子は、紅葉のフィールドで踊っています。
写真はイメージです
monzenmachi/gettyimages

結婚、出産、子育てなどを経済学的に研究している、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の山口慎太郎先生が、2020年7月に、早生まれに関する論文を発表し、話題になりました。最近もテレビや新聞などで紹介されたので、目にしたママやパパもいるでしょう。
山口先生がまとめられた論文を踏まえて、早生まれの子に必要なかかわり方について聞きました。

非認知能力の差は成長しても縮まらない!?

日本の学校制度では、4月2日生まれ~翌年4月1日生まれの子どもを1学年としています。4月2日~12月31日生まれを「遅生まれ」1月1日~4月1日生まれを「早生まれ」と呼ばれています。
過去に行われた調査では、30~34才の所得を比較すると、早生まれは所得が約4%低いという結果が出ています。

――幼稚園や小学校などでは、早生まれの子どもは幼さが目立つことがあるけれど、成長するにしたがって差はなくなるものだと思っていました。

山口先生(以下、敬称略) 論文では、早生まれ、遅生まれと大きく分けて検討しましたが、そもそも人には個人差があります。そのことを前提にして、以下の話を聞いていただきたいのですが、本来生物学的には、大人になったら、生まれ月による知力、体力、体格などの差はないはずです。しかし、実際には差が生じてしまっているのには、制度や社会に理由があるのだと考えらます。

最近の研究で、社会的に成功する人は非認知能力が高いことがわかっています。一方、早生まれの子どもは遅生まれの子と比べて、非認知能力が低い傾向にあるという研究結果が出ました。このあたりに理由があるのではないでしょうか。
小学校4年生から中学3年生を対象に、「ある目標を達成するために必要な行動を選び、計画通りに成し遂げることができるという自信」(自己効力感)について行った調査では、学年が進んでも早生まれのほうが低い傾向にありました。自己効力感は非認知能力の一つです。
この調査結果を見ると、非認知能力の差は、学力や体力のように成長とともに縮まっていかないようなのです。

早生まれの子は、認知能力を伸ばすために使っている時間が多い傾向に注目を

人の能力にはさまざまなものがありますが、その中でも「非認知能力」と「認知能力」は重視されています。
非認知能力とは、「目標に向かって頑張る力」「他人といい関係を築く力」「自分の感情をコントロールする力」などの能力のこと。
認知能力は、IQ(知能指数)や学力テストなどで示される能力と説明されることが多いです。

――体力や認知能力は、成長とともに生まれ月による差は小さくなっていくけれど、非認知能力の差は残るということですか。

山口 データを見るとそうなのですが、「早生まれの子は生まれつき非認知能力が低い」ということではなく、周囲の大人のかかわり方が影響しているのではないかと私は考えています。
そのことを示唆する調査結果があります。中学3年生の早生まれの子は、遅生まれの子に比べて、学校外で週に0.3時間多く勉強していて、読書時間は0.25時間多く、塾に通っている率も3.9%高かったのです。
一方、スポーツや外遊びに使う時間は最大で週に0・52時間少なく、学校外で美術・音楽・スポーツ活動に使う時間は、最大で0.19時間少ないという結果も出ています。友だちとのかかわりや、芸術・スポーツなどの活動は、非認知能力の向上に関係しているといわれています。

――早生まれの子は認知能力を高めるために使っている時間が多い分、非認知能力をはぐくむ時間が少なくなっている、というのが現状ということでしょうか。

山口 そう考えられます。認知能力の高さは、テストの点数や成績などで判断しやすいですよね。早生まれの子は、幼少期は同学年で比べれば認知能力が低い傾向にあるので、わが子が不利にならないように、親が勉強や塾通いなどを積極的に促しているのだと思います。

私も一児の父親なので、その親心はとてもよくわかります。でも、子どものためによかれと思ってしていることが、実は子どもの非認知能力を育てる機会を少なくしているかもしれません。
認知能力の差は、成長とともに自然と小さくなっていきます。だから、認知能力を高めることはあまり意識しなくていいと思います。

「できた!!」という体験を増やして、非認知能力の育ちを応援しよう

――早生まれの子こそ、小さいころから非認知能力を伸ばすかかわり方を、ママやパパが意識することが大切ということでしょうか。

山口 そう考えていいと思います。非認知能力をはぐくむには、「できた!!」という成功体験をたくさんさせてあげることが大切です。子ども自身が「やりたい」と希望したことで、達成感をたくさん味わわせてあげてください。
また、リーダーシップをとることは非認知能力を高めるのに非常に有益だと考えられますが、年齢が低いほど遅生まれの子がリーダーになりやすく、早生まれの子はリーダーシップを発揮する場面が少なくなりがちです。年齢が下の子と遊ぶ機会を作って、リーダーになる経験させるのもよさそうです。
一方、「芸術活動が非認知能力を高めるらしいから」と、子どもがまったく興味を持たない楽器を習わせても意味はないでしょうから、習い事をさせるときは、子どもの向き不向きをよく考えましょう。

とくにスポーツ好きなパパにお願いしたいことがあります。「うちの子は早生まれでおっとりしているから、厳しめのスポーツチームで鍛えてもらおう」と考えるのはやめたほうがいいかもしれません。もちろん、子どもが楽しく参加しているならOKですが、「みんなみたいにうまくできない…」と感じてしまったら逆効果です。

――子どもの「できた」を応援したいと思いつつ、つい周囲の子と比べてしまうのも親心です。

山口 人間は比べる対象がないと評価できない生き物なので、「比べない」というのは無理な話なんですよ。
ですが、比べる対象を「ほかの子」ではなく、「過去のわが子」にしましょう。過去と比べて「できるようになったこと」を見つけ、たくさんほめ、一緒に喜んであげてください。
もちろん、すべての早生まれの子が幼稚園や学校で苦戦しているわけではないし、親のかかわり方とは関係なく、社会で活躍している早生まれの人はたくさんいるでしょう。
でも、早生まれに多く見られる傾向を知り、それをはね返せるように育てることは、子どもにメリットはあってもデメリットはないと思います。
ぜひ、非認知能力を伸ばすかかわり方を意識してみてください。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・監修/山口慎太郎先生

早生まれ、遅生まれに関係なく人には個人差があり、結果が見えやすい認知能力を伸ばすことについ目が行きがちです。でも、子どもが幸せに生きるためには非認知能力がとても大切。早生まれの子どもを持つママやパパは、とくにそのことを意識したほうがいいようです。

子育て支援の経済学

1月20日刊行された山口先生の新著。多くの人が働き方や家族の在り方を模索するいま、必要なのは「子育て支援=次世代への投資」という考え方。そのエビデンスが詰まっています(日本評論社)

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