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ママはレジリエンス(心の回復力)が低い傾向に、高めるためには「Me Time」が重要【臨床心理士/公認心理師】

日本の母と子
kazoka30/gettyimages

最近、注目されている「レジリエンス」は、落ち込んだり傷ついたりしても、そこから立ち直ることができる力のこと。でも、「小さな子どもを育てるママは、レジリエンスを発揮しにくい傾向にある」という調査結果があります。レジリエンスの研究をされていて、この調査にも参加された東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科講師の平野真理先生に、ママのレジリエンスについて聞きました。

小さな子どもを育てるママはさまざまな困難に直面し、自分に自信を持ちにくい

「心の回復力」ともいえるレジリエンスは人間が生まれながらに持っている力。でも「周囲に助けてくれる人がいないと人はレジリエンスを発揮することはできない」と平野先生は言います。
大人になると、周囲に助けを求めたり、周囲の人が手を差し伸べてくれたりする機会は減ってしまうように感じます。つまりそれは、大人になるとレジリエンスが低くなってしまうということなのでしょうか。

「研究によると、レジリエンスなどのポジティブな特性は、子どもより大人のほうが高くなるといわれています。年齢を重ねればそれだけ生きるための経験値も上がりますよね。でも、周囲からのプレッシャーを感じていたり、助けてほしいと思っても言い出せないような状況に置かれたりしていると、本来持っているはずのレジリエンスを発揮できなくなってしまいます。そういう大人はたくさんいると私は考えています」(平野先生)

平野先生も参加された、子育て中のママのレジリエンスと自尊感情の調査・研究(※)では、産休・育休中のママはレジリエンスや人生への満足度が比較的高いものの、復職後にはそれらが低下しやすい傾向にあるという結果が出たとのことです。

「産休・育休中はとてもしんどい時期ではありますが、同時に、子どもが生まれたことへの幸せを感じたり、生活がいい意味でリセットした気持ちになったりと、前向きな気持ちになることも少なくないようです。将来に希望を持つことは、レジリエンスの重要な要素ですから、これからの生活への期待がレジリエンスを発揮しやすくしている面があるのでしょう。
さらに、産後すぐは子育て支援が充実してる自治体が多いので、ママが「周囲からサポートされている」と感じやすいということもあると思います。

ところが、自治体からの支援が減ってママが一人で頑張らなければいけなくなる、子育てのあり方が多様になる中で正解がわからなくなる、育児と仕事の両立で余裕がなくなるなど、さまざまな困難に直面します。昼夜を問わずの子育てによって、不眠をはじめ疲れも相当蓄積され、心身共に不安定にもなりやすいです。その結果『こんなはずじゃなかった。自分はダメだ…』と感じ、自信を失うことで、本来持っているレジリエンスを発揮できなくなくなってしまうのではないかと思います」(平野先生)

また、今回の調査では「母親はこうあるべき」という「性役割」のプレッシャーを感じている人ほど、レジリエンスが低くなる傾向にあることもわかったそうです。でもこのプレッシャーは、パパや両親など身近な人から直接言われることで生じるものだけではないそう。

「今回の調査が行われた東京では、旧来的な『母親はこうあるべき』という性役割をおおっぴらに口にする人は少なくなっています。にもかかわらず、ママたちの多くは性役割のプレッシャーを感じていたというのは注目すべき結果でした。
おそらくこれは、暗黙の了解として社会に根づいている価値観によるプレッシャーによるものでしょう。
令和の世の中になっても、古い価値観が残っていて、それに悩まされるママが少なくないこと、これは今の日本の大きな課題といえるでしょう」(平野先生)

いつも“元気で明るいママ”でいなくちゃと気負いすぎる必要はない

さまざまな事情から、育児中のママのレジリエンスは低くなりやすいとのこと。ママのレジリエンスが低くなりやすい産後2~3年は、子どもの心がぐんぐん発達する時期と重なります。ママのレジリエンスが低いと、子どもに何か影響はあるでしょうか。

「ママがいつもくよくよしていると子どももくよくよしやすくなる…というような、単純な関係性はないと思います。『子どもに悪い影響を与えないように、いつも明るくポジティブでいなくちゃ!』と気負わなくて大丈夫です。

落ち込んだり、悩んだりしたときは、無理して元気そうにしなくてかまいません。頑張る姿勢を示すことも大事かもしれません。でも、落ち込みながらも立ち直る、そんなふうに回復する姿も見せることも、子どもにレジリエンスの模範を見せるという意味で、とても意義があると思います。

ママだって落ち込むこともある。でも、またそこから元気になって、いつもの明るいママになる。そのように、傷ついた心が回復する様子を見せることは、子どもの中にレジリエンスのモデルをはぐくみます」(平野先生)

“Me Time”で、ママではない自分を癒やしてあげよう

「ママのレジリエンスが発揮できない=子どものレジリエンスを発揮できなくなる」と考えなくていいというのは、ママの心を軽くしてくれると思います。とはいえ、ママがレジリエンスをフル活用できているほうが、ママも子どもも日々を楽しく充実したものにできるでしょう。
ママのレジリエンスを高めるには、“ママ”という役割から離れる時間を持つことが大切だと平野先生。

「心に余裕がないと、レジリエンスを発揮することはできません。ママは日々フル回転で育児をしていて、自分のことは二の次になっていると思います。ぜひ自分のためだけの時間、“Me Time”を作りましょう。そしてMe Timeでは、“ママではない自分が好きなこと”をして、自分を楽しませてあげてください。それは、心に余裕を持つためにとても大切なことです。

『何をしたらいいのかわからない』という人は、ママになる前の自分を思い出してみたり、もし時間があったらしてみたいことをリストアップしてみるといいかもしれません。Me Timeは“隠れている自分”を探す時間でもあるのです。そうした時間を過ごす中で、自分の本来のレジリエンスを取り戻せるとよいと思います」(平野先生)

“Me Time”を持つには、その間、子どもを誰かに見てもらわなくてはなりません。パパやばあば・じいじなどにお願いしづらい…というママもいそうです。

「それがまさに“性役割のプレッシャー”です。『少しだけ自分の時間がほしいから協力して』と周囲の人にお願いするのは、わがままでも勝手でもありませんよ。思いきって相談してみましょう。
とはいえ、周囲に助けを求めること自体がプレッシャーになってしまうこともあるので、一時預かりの保育園や自治体の子育て支援などを利用するのも手だと思います。
また、子どもが寝ている間など、すき間時間をMe Timeにするだけでも、気持ちの持ち方が変わるはず。ぜひ『ママ』の役割から離れる時間を持ってください」平野先生)


(※)特別区長会調査研究機構による「自尊感情とレジリエンスに着目した、育児期女性に対する支援体制構築に向けての基礎研究」。2019年に東京都板橋区と北区在住で、5歳までの第一子がいる女性3,000人にアンケートを実施し、育児女性のワーク・ライフ・バランスの実態を調査しました。

お話・監修/平野真理先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

「ママ」であることは人生を豊かにしてくれますが、「ママだけの自分」では知らないうちに心が元気を失ってしまいます。「ママではない自分」を楽しませてあげる時間を持つことは、ママも子どもも健やかに生きていために必要なことのようです。
なお、東京家政⼤学⼥性未来研究所では、ママが⾃分の未来を考える時間をサポートする『⼦育てママの未来計画』を開講しています。


平野真理先生(ひらのまり)

Profile
東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科講師。東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース博士課程修了。博士(教育学)。著書に「レジリエンスは身につけられるか 個人差に応じた心のサポートのために」(東京大学出版会)など。

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