【医師監修】お産の3つのサインをチェック/出産の基礎知識
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いざというときにあわてないように、お産の始まるサインを知っておきましょう。
「もうすぐお産」のサインは人それぞれ
お産は予定日どおりに始まるとは限りません。でもお産が自然に始まるときには、おしるし、前期破水(ぜんきはすい)、陣痛(前駆陣痛・ぜんくじんつう)のうち、いずれかのサインがママの体に現れます。
すべてのサインに気づくママもいれば、複数同時に始まる人もいるでしょう。また順番もそのときが来るまでわかりませんが、「もうすぐ赤ちゃんが生まれますよ」という体からのメッセージを知っておきましょう。
おしるし
なぜ起こる?
予定日近くになると、いつもより強めのおなかの張りが起こります。そのとき、赤ちゃんを包んでいる卵膜(らんまく)と子宮壁の間にずれができ、そこから少量の出血が起きます。これが「おしるし」です。
特徴は?
おしるしの量や色には個人差があり、鮮血や、ピンク色、あるいは茶色っぽかったりします。子宮頸管から出たおりものに混じり、少し粘りけがあるのが特徴です。多くの人はトイレに行ったときに気づくようです。
おしるしに気づいたら?
おしるしがあると、数日以内に陣痛が始まるといわれていますが、中には1週間後だったという人も。おしるしがあってもすぐにお産が始まるわけではないので、あわてて産院に連絡する必要はありません。ただし、大量の出血が見られたり、強い痛みが伴うようなときはすぐに産院に連絡を入れましょう。
前期破水
なぜ起こる?
赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が流れ出ることを破水といいます。通常はお産が進行し、陣痛がピークになる子宮口全開大のときに起こるのですが、陣痛が始まる前に起こることもあり、これを「前期破水」といいます。前期破水の原因は、細菌感染により卵膜が弱くなってしまった場合や、多胎妊娠や羊水過多などによる子宮内圧の上昇が考えられます。
破水と自分でわかる?
音がして破水に気づいたというママもいれば、少量ずつもれて破水なのか尿もれなのか区別がつかないことも。子宮の上のほうで卵膜の一部が破れた場合は量も少なく、継続して流れ出るわけでもないので、自分では判断しづらいようです。
産院への連絡は?
赤ちゃんへの細菌感染の恐れがあるため、すぐに産院に連絡を入れます。入浴は厳禁。破水の量が多いときは生理用ナプキンを当てて車で産院へ行きましょう。
陣痛
なぜ起こる?
赤ちゃんが生まれてくるためには、子宮が収縮して赤ちゃんを押し出さなくてはいけません。この子宮の収縮を陣痛といいますが、なぜ起こるのか、今のところメカニズムはわかっていません。
前駆陣痛って何?
本格的な陣痛の前に不規則なおなかの張りを頻繁に感じることです。痛みはそれほど強くなく、感覚もまばらで、そのうちしだいに遠のいていき、治まってしまいます。前駆陣痛は陣痛の予行演習のようなものです。
産院への連絡は?
子宮収縮が10分間隔で繰り返し起こるようになれば、本格的な陣痛の始まり。この時点で産院に連絡を。経産婦さんの場合は少し早目に。
こんなときは迷わず産院へ!!
□さかごと言われている
□月経より量の多い出血があった
□おなかに強い痛みがある
おなかの赤ちゃんが酸素不足になったり、危険な状態になり、早急に医療の助けが必要になるケースもあります。このような場合はすぐに連絡し、産院に向かうようにします。
入院までの段取り
サインが現れたら、いよいよお産。でもまずは落ち着くこと。自分の状況や状態を把握して、自分で産院に連絡を入れましょう。
1.産院へ連絡する
電話では、声の調子も大事な判断材料になります。自分で産院に連絡しましょう。体調や状況、心配事や不安が大きいときはそれも伝えるようにしましょう。
2.パパや家族へ知らせる
パパや家族が一緒にいないときはすぐに連絡をとりましょう。予定日が近づいたら、だれにどのタイミングで連絡するのか確認をしておくようにします。
3.移動手段の確認
電車なのか、車なのか、運転するのはだれか、タクシーの手配は…など、どんな手段で産院へ行くのか確認を。予定日が近づいたら運転者はアルコールを控えて。
4.入院グッズの確認
はずした眼鏡なども忘れずにバッグに。1人で入院というケースに備え、必要最小限のものだけ小さいバッグに分けておいて、残りはあとから家族に届けてもらっても。
5.身だしなみチェック
破水や出血でそのままの格好で入院というケースも考えられるので、汚れなどが目立たない服装を。内診のことも頭に入れて。つめは短くし、ネイルは落としておきましょう。
お産を進める3つの要素
陣痛が始まり、ママの体の準備と同時に、赤ちゃんも生まれようとしています。いわばお産はママと赤ちゃんの共同作業。それには大切な3つの要素があります。
1.陣痛力
赤ちゃんがスムーズに生まれてくるためには、子宮が収縮して赤ちゃんを押し出す必要があります。この子宮収縮とは陣痛のこと。陣痛があるからこそ、赤ちゃんは子宮内から外へ出ることができるのです。
2.産道の広さとやわらかさ
産道には、軟産道と骨産道あります。軟産道は子宮頸管、腟、骨盤底筋の部分で、お産が近づくとやわらかく伸びます。骨産道とは骨盤の部分で、お産のときはこの骨産道全体が少し広がります。軟産道の開きやすさ、伸びのよさでお産の進行は変わります。
3.赤ちゃんの大きさと回旋
分娩時、赤ちゃんは最も小さな直径で軟産道を通過できるように、あごをグッと胸に近づけ、産道や骨盤の形に合わせて頭や体を回旋させていきます。また頭の骨の継ぎ目を互いに重ね合わせて、頭を小さくします(児頭応形機能)。
初回公開日 2017/8/1
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