産後の初トイレ、会陰の痛み、後陣痛、悪露…産婦人科医に聞くトラブル対策
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だれにでもある産後の体の変化。時には症状が重く新米ママの最初の試練に。トラブルの内容とともに対策・対処法について、産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。
【会陰の傷の痛み】清潔を心がけ、感染予防を!
「傷の痛みは、1日1日軽くなっていきますが、つらい場合は痛み止めを処方してもらえるので、医師に相談を。会陰(えいん)の傷は、ばい菌に感染すると回復が遅くなるので清潔を心がけて」(小川先生・以下同)
会陰の傷の痛み対策グッズ:円座クッション
「中央部のホールに傷口が入るように腰を下ろすと楽に座れます。2枚重ねの使用もOK。バスタオルをこの形にたたんで代用することも可能です」
【後陣痛&悪露】子宮が回復するためのプロセス
「子宮の戻りと悪露(おろ)の状態には、密接な関係があります。お産が終わると、子宮は風船がしぼむように収縮を始めます。悪露と呼ばれる子宮や産道から排出される血性の分泌物の量や色、状態が子宮の回復具合の目安に。順調に収縮して回復が進むと、悪露も少なくなっていきます」
後陣痛&悪露のPoint 1:後陣痛はポジティブに受けとめて
「後陣痛(こうじんつう)は、子宮が元の状態に戻ろうと収縮を繰り返し、胎盤剝離(たいばんはくり)後の出血を止めるという重要な役割もあります。子宮収縮に伴う必要な痛みと前向きに受けとめて」
後陣痛&悪露のPoint 2:シャワーの水流でやさしく洗い流して
「シャワーの許可が下りたら、ばい菌を除去するために洗うことも大切です。ただし、陰部はこすらずに泡でそっと洗い、シャワーの水流も直接当てずにやさしく流しましょう」
後陣痛&悪露のPoint 3:産褥パッドやナプキンは毎回交換
「量は違いますが、基本は生理の重い日のケアと同じです。腟(ちつ)からばい菌が入らないように陰部をふき、清浄綿で清浄します。産褥(さんじょく)パッドやナプキンは毎回交換しましょう」
【産後“初トイレ”のお作法】出産2~4時間後、助産師さんと一緒に初トイレへ
「産後2~4時間は分娩台で休み、異常がなければ助産師さんと一緒にトイレに行きます。膀胱(ぼうこう)が尿でいっぱいになると子宮の戻りに支障が出るため、必ず排尿します」
産後“初トイレ”のPoint!:前から後ろに「トントン」と
「排尿をしたあとは、産院で支給される清浄綿で陰部をやさしく押さえます。必ず前側から後ろの方向に『トントン』と軽く押さえるようにするのがコツ。方向に注意を」
初トイレこれはNG!
×温水洗浄便座
×後ろから前にふく
×排便の我慢
会陰切開の傷の痛みが強い場合には、医師に相談すると痛み止めを処方してくれます。円座クッションを利用するのもおすすめです。産褥パッドやナプキンはこまめに交換し、腟の清潔を心がけましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)
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