理想は完全母乳、現実はミルク併用…。それでも、良かった私の【授乳体験記】
編集者やライターの仕事をしている“ママにエール”です。心待ちにしていた第1子をおなかに授かったのは、30歳の時。当時、初めての妊娠ということもあって、育児本などを熱心に読み、出産・育児について勉強していました。
自然が一番なはず! 完全母乳目指しておっぱい体操
そんな私が目指したのは、“完全母乳による育児”。「ママが体で作り上げる母乳が、一番自然で良いもののはず」という価値観が、当時の自分の中に芽生えていました。
さらに、自宅近くで出産予約していた産院でも、母乳育児を大事にしていました。それも、完全母乳を崇拝する私の価値観に拍車をかけたように思います。
妊娠中期になると、母乳の出が良くなるように、また、赤ちゃんが飲みやすいような柔らかくしなやかな乳首・おっぱいになるための準備として、産院から“おっぱい体操”の指導を受けました。
お風呂の時などに毎日、自分の手のひらでおっぱいを挟みこんだり、持ち上げたり、乳首をつまんで指圧したりと、産院のレクチャー通りにケアをして、自分の理想への階段を登っていく気持ちで努力しました。
産後は、容赦ない授乳戦! 睡魔と疲労がピークに
予定日を2日過ぎて、無事に出産。とても安産でした。産後すぐのカンガルーケアで、赤ちゃんにおっぱいをくわえさせた時は、幸せが体に充満していくような感覚でした。
しかし、母子同室となってからの生活は過酷そのもの。2時間もしないうちに泣き出す我が子に、看護師さんに教えてもらった通りに、①オムツ替え→②赤ちゃんの体重計測→③おっぱい体操→④授乳→⑤赤ちゃんの体重計測(②との体重差で授乳量を割り出す)というルーチン作業を続ける私。
そして、もし赤ちゃんが泣き出さなくても、「2時間したらこの作業を繰り替えして行うように」と教えられ、新米ママの私は律儀にこのルールを順守しました。ずっとろくに眠れないまま、一連の流れを行うのは心身ともにきつく、心に余裕などありませんでした。
眠くてもうろうとする私の頭に浮かんだのは、「産後は授乳戦争だ…」という実感でした。
増えない授乳量。ベビーの体重減で、自分を責める
眠さと疲れをぐっとこらえながら“授乳ルーチン”をこなしても、一向に授乳量は増えていきませんでした。授乳前後で、赤ちゃんの体重にほぼ変化がない、もしくは微増という結果ばかりが続きました。
産院内の授乳室には、共用のベビー体重計の脇に、計測結果の覚え書きをしてよいメモがあり、他のママの記録メモが目に入るような状況でした。私同様にルーチンを繰り返すママ仲間の記録を垣間見て、自分との差に落ち込むばかり。
さらに追い打ちをかけたのが、記録が伸びない私に看護師さんがかけた「赤ちゃんの体重も減っている。このままじゃ良くないから、ミルクを毎回足しましょう」の一言でした。
「…赤ちゃんの体重が減っている? 私のせいで…」ダメなママだと烙印を押されたかのように感じて、悲しくて悲しくて…。おっぱいに必死にくらいつく我が子を見ながら、「ごめんね、ごめんね」とポロポロ涙をこぼしながら、あやまりました。
割りきって、ミルク混合。「愛情=母乳量」じゃない
こうして奇しくも、ミルク混合でいくことに。「足りずに赤ちゃんの成長に影響が出るよりは…」と、無念の選択でしたが、母乳を飲む赤ちゃんはもちろん、哺乳瓶の乳首をくわえる赤ちゃんもまた、とってもかわいいのです。「愛情は母乳量で決まらない」と、ハッキリ感じました。
看護師さん曰く、「母乳量が安定したら、ミルクなしにしても良い」とのことでしたが、退院後の我が家にベビー体重計の用意はなく、母乳が足りているか不安で、授乳の後に必ずミルクを足しました。そのせいもあるのか、“1ヶ月健診”では、我が子の著しい成長が判明!
私の母乳も、その頃にはちゃんと出ていたようなのですが、授乳後にもミルクをおいしそうにゴクゴク飲む我が子を見て、飲むうちはミルクも続けることにしました。
ミルクなら、パパ、おじいちゃん、おばあちゃんでもあげることができ、ママ気分で疑似“授乳”体験ができて、家族の赤ちゃんに対する愛情もより深まるという、うれしいおまけ付きでした。
妊娠40週、身長51.5cm、体重3004gで無事に生まれた我が子は、“1ヶ月健診”では、体重4635gまで成長。今でも家族からの愛情をたくさんもらって、メキメキと育っています。入院中に告げられた「赤ちゃんの体重が減っている」という、私にとって衝撃的な事実。別の看護師さんからの話や、後で調べて分かったことですが、実は、生後間もない赤ちゃんの体重が一時的に減ることは、生理現象として珍しいことではないのだとか。母乳量に愛情は関係なく、母乳でもミルクでも、授乳タイムに赤ちゃんを見つめるまなざしに、「愛しい」と思う気持ちがあれば、赤ちゃんに十分な愛情が伝わると実感しています。
[ママにエール * プロフィール]
おしゃべりな鉄男の息子と、天真爛漫な自由人の娘、2人の子を持つ母。化粧品会社・ITベンチャー・雑誌社などを経験後、フリーライターに。良いことも悪いことも全部力にできるようなエールを全てのママに!
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。