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3日連日の子どもの鼻血。血液の病気かもと心配する母親に…【小児科医が解説】

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きれいな手と子供の鼻出血
写真はイメージです
Srisakorn/gettyimages

「3日連続で鼻血が出た」と来院した、保育園に通う男の子とそのお母さん。お母さんに詳しく話を聞いていると、鼻血が出たときの対処法が気になった陽ちゃん先生。鼻血が出たときの正しい止血方法について説明します。
赤ちゃん、ママやパパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、印象深いできごとをつづります。先生は育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中です。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#28

3日連続の鼻血、その原因は?

この春から保育園に行き始めた男の子とお母さんが来院したときの話です。男の子は、いつ見ても元気いっぱい。医院に来ても、新幹線のオモチャを離さずに遊んでいます。

「鼻血が出たんです。一昨日から出ていて、これで3日連続です」

――そうですか。診察してみましょうね。

確かに、鼻の穴のまわりには血の跡がありますし、鼻の中にも血がついて固まっています。

「鼻血がこんなに続けて出るのは、なにか悪い病気があるんじゃないでしょうか」お母さんは心配そうです。

――季節のせいもあって、鼻の粘膜がむくんだり乾燥したりすると、傷つきやすいかもしれませんね。春は鼻がかゆくていじる子も多いようですし。

「それだけなんですか?血液検査とかしなくて大丈夫でしょうか?」

――3日連続ということでしたが、血が止まるまでの時間はどのくらいですか。

「それは、そんなに長くないです。ティッシュを詰めていたら止まります」

――ティッシュを詰めているんですね。

「はい。そして、鼻の根元を押さえて寝ているように言いました」

――ん?ちょっと勘違いもあるかもしれませんね。

「え?」

鼻血は多くの場合、鼻の穴の入り口から1cmくらい入ったところの内側の場所から出てきます(専門用語で、キーゼルバッハと呼ばれる場所です)。

ここは毛細血管が網目状になって表面に浮き出ているため、血管が傷つきやすくなっています。お友だちとぶつかって鼻を打っても、指で鼻をほじっても、場合によっては後ろ向きに転んだときにも、この場所から出血することはよくあるのです。

「夫と話していて、血液の病気とかないかと心配になったのですが…」

――確かに、血液の病気で鼻血が出ることはありますが、そんなときにはもっと頻回で多量の鼻血が出ます。歯ぐきなど、ほかのところからも出血することがあります。それに、身体のさまざまな場所に出血斑が出たりもします。

「そんな様子はないですし、鼻血は数分で止まっています」

――それでは、今のところは特別な検査は必要ないようですね。今後ひどくなるようなら、また検討しますが。

「じゃあ、普通の鼻血なんですね。ほうっておけば治るんですね」

――そうだと思います。でも、鼻血の処置のしかたがちょっと気になりました。

「ティッシュを長めにかためて、鼻のできるだけ奥まで詰めて、止まるまで何度か入れ替えましたけど…」

――そのティッシュの入れ替えが要注意ですね。

「え、普通そうしませんか?」

鼻血のとき、ティッシュの入れ替えはNG!

幼児の場合は、ティッシュなどを詰めなくても、小鼻をつまんで10分ほど待っていると、止まることが多いものです。じっとしていられるときはもっと長い間押さえていたほうがいいかもしれません。

もっと大きい子で、どうしても詰めたくなったら、一般的な鼻血の出血部位は鼻の穴から1cmくらいですから、そこにぎゅっと詰まる程度にかためた脱脂綿やティッシュをゆっくり入れます。それ以上奥まで詰める必要はありません。

そして、このティッシュを交換しないことが大切です。多少血がしみてきても、10分ほどは変えずにがまんします。血が止まったかどうか見たくて、何度も入れ替えていると交換するたびに傷をこすってしまい、止血しにくくなります。

鼻を外から圧迫することも有効です。そのときには小鼻をつまみます。鼻の根元には骨があり、圧迫は効きませんし、出血しているのはもっと鼻の入り口の近くです。

「なるほど。上を向かせたり、首の根っこをトントンたたくようにと習ったこともありますが、これはやってもいいんですか?」

――上を向くと、鼻血がのどにたれてきてむせたり、たくさん飲み込むと吐くことにつながります。首の後ろをたたいても何の効果もありませんよ。

ゆっくり座らせて、心臓より鼻を高くしておきます。そして鼻を圧迫したままうつむいて、のどに降りてきた血は吐き出すようにします。

「じゃあ、寝かさないほうがよかったんですね」

――そうですね。どうしても体がきつくて横になりたいときには、何かに寄りかかります。万が一横になるときにも、上を向かず、血を飲み込まないようにしてくださいね。

「わかりました。今度鼻血が出たら、そのとおりにやってみます」

――もちろん、いつもより血の量が多くて止まりにくかったり、ほかの症状もあるようでしたら受診してくださいね。

帰りがけに走りだした男の子は、待合室で転んだらしく、診察室まで泣き声が聞こえていました。

監修/【小児科医】吉永陽一郎 先生

文・監修/吉永陽一郎先生 構成/ひよこクラブ編集部

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