女優・加藤貴子 大好きな女優仲間からもらった親としてのアドバイス
連載19回目となる女優・加藤貴子さんのお話は、女優仲間であり、お互い子育て中のママ同士でもある、奥山佳恵さんとのエピソードです。この連載は、44才で第一子、46才で第二子を出産した、加藤さんの赤裸々な育児話と、育児に影響を与えた言葉を紹介しています。
先輩ママとして頼りになる佳恵ちゃん
私は同じ事務所の奥山佳恵ちゃんのブログを読んで、ちょいちょい元気を充電しています。先輩ママなので、子育ての参考にもさせてもらっています。でも、佳恵ちゃんの絵日記のようなブログは、手描きのイラストも秀逸で、その時々の様子が一目で想像できちゃうので、読む場所を選ばないと、たとえば電車の中などでは声出して笑ってしまうから困りものです。
そんな佳恵ちゃんと仕事場で会える時は、じかに佳恵パワーをちょうだいできる機会を逃してなるものか!と、いつも必ず私から会いに行くのですが、先日は佳恵ちゃんがひょっこり顔を出してくれました。
佳恵ちゃんが中空き(収録と収録の間に時間ができること)で外に出てしまうため、すれ違いにならないようにと、親切にメイク部屋まで伝えに来てくれたのです。なんと、私への差し入れとして、今日のおすすめ弁当を持って!
本当にあの笑顔に偽りなく、サラリとやさしい方なんです。そこで判明したのが、長いおつき合いなのにラインを交換していなかったということ。ということで、佳恵ちゃんが外出先から戻ってきたタイミングで、また、私の楽屋に寄ってもらうことになったんです。
思いやりのある温かいアドバイスに感動
その日は、マネジャーと一緒ではなかったので、自由気ままにくつろいでいると、戻ってきた佳恵ちゃんのノックが。佳恵ちゃん、入ってくるなり笑いながらひと言、「くつした~(ケラケラ~笑)」。
「え?」と振り向くと、そこには、私に脱ぎっぱなしにされた靴、その向こうの座敷には、脱ぎ捨てられたままの形で湯気まで出ていそうな靴下が、点々と転がっていました。あちゃー。
そのとき、佳恵ちゃんからちょうだいした金言。
「お互い、こういう自分を忘れないでいようね(ケラケラ~笑)」
「子どもをしかるとき、そんな自分を思い出せるといいね(ケラケラ~笑)」
あまりのドンピシャに、私は「家では…脱ぎっぱなしにはしてないと思う…」と思わず悪あがきが出ちゃったものの…
本当に…
佳恵ちゃんの言うとおりでございます。
小学1年生の長男は、毎日靴下をソファの下に脱ぎっぱなしにして私にしかられています。「なんでいつもおんなじこと言われてるのにやらないかな~」「一事が万事なんだよ」などなど。まるで毎日毎日小言を繰り出す私をモニターで見ているかのような、佳恵ちゃんのアドバイスに、脱帽。
そして、そのアドバイスには、さりげなく「お互い」という、思いやりと謙虚さが挟まれていました。
だからなのかな~。気持ちいいほどに、その言葉がすんなり入ってきました。本来なら反省しなくてはいけないのかもしれないけど、「まずは自分のことを棚に上げずに、子どもたちと向き合おう!」と、本当に素直に、落ち込むことなく、モチベーションを上げることができました。
そして、1年前に母にニヤリと言われた「親が思うようには育たないけど、親のようにはなるのよ」という言葉を思い出しました。いつも気をつけるよう心がけていたはずなのですが、のど元過ぎればなんとやら…です。
ポジティブな人生を送るために、今、感じていること
私も、もう51歳。珍しくあらためて自分の歩みを振り返ってみて気づいたのですが、私には『反省』って役に立たないな~ってこと。反省して終わっちゃうんです。そして、いつの間にか忘れちゃうんです。で、なんかの拍子に痛い目を見て、思い出して落ち込むんです。私の場合。
これからは、あ~残念な私…ダメな私…と、ネガティブに自分を裁いて役に立たない反省を繰り返すよりも、「いま気づいてよかった~」「忘れないで覚えていよう!」って、ポジティブに次につなげていけたらいいな~って思います。
文/加藤貴子 構成/ひよこクラブ編集部
「ごはんの前は、『いただきます』でしょ」「出したら、しまってね」など、子どもに対して口酸っぱく言っていることも、自分を見つめ直すとできていない場面が多々あるもの。今回のお話を含め、連載1回目に登場した『育自』という言葉についても、共感できるはず。ぜひ、これまでの連載も読んでみてください! 次回も、加藤さんの育児の対するリアルな思いを紹介します。お楽しみに!
加藤貴子さん(かとうたかこ)
PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。