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1歳10カ月で染色体検査を受け、やっと診断が…!1万5000人に1人の難病アンジェルマン症候群と判明。難病のわが子と生きる家族のかたち【体験談】

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写真は、最近のリッキーくん。療育でHALというロボット歩行器を使ってリハビリをしているところ。

アンジェルマン症候群は、1万5000人に1人の割合で見られるという難病で、重度の発達の遅れや知的障害などが特徴です。日本に住む5歳のアップルビー・リッキーくんも、1歳11カ月のときにアンジェルマン症候群と診断されました。ママの沙織さんに、診断がつくまでの経緯について話を聞きました。
(写真は、最近のリッキーくん。HALというロボット歩行器を使ってリハビリをしているところ。)

アンジェルマン症候群を疑い、染色体検査を。遺伝科ですぐに診断がつく

リッキーくんの発達の遅れに悩んでいた沙織さん。1歳を過ぎてもママ、まんまなどの言葉が出ず、はいはいやつかまり立ちをする様子もありません。いくら一般的な血液検査などをしても「異常なし」と言われ、もんもんとした日々を過ごしていました。そんなある日、パパがYouTubeで見つけたのがアンジェルマン症候群のアメリカの女の子・Everちゃんの成長を追った動画です。
Everちゃんの様子が、リッキーくんと似ていて、沙織さんとパパは「リッキーの病気は、アンジェルマン症候群ではないか?」と疑い始めます。そこで神奈川県立こども医療センターで検査を希望しました。アンジェルマン症候群は、遺伝子の問題で起こる難病です。

「検査は、すぐには受けられず半年ぐらい待つとのことでした。しかし検査を希望したとき、リッキーの発達を診てくれている担当医からは“よく考えてから検査を受けたほうがいいよ”と言われました。検査を受ければ、夫婦どちらの遺伝子が原因でリッキーの病気が発症したのかがわかります。もしかしたら私(パパ)が原因とわかり、自分を責めて苦しみ続けるかもしれません。しかし私もパパも、どちらが原因かなんてことよりも、とにかくリッキーの病名を知りたい!という一心でした」(沙織さん)

染色体検査が受けられたのは、リッキーくんが1歳10カ月のときです。

「初めて遺伝科を受診したのですが、担当医と会って2~3分で“申し上げにくいことですが、リッキーくんはアンジェルマン症候群です。染色体検査しましょうね”と言われました。すぐに笑ったりするリッキーの様子や発語がないこと、水が大好きなこと、寝ないことなど、これまでの経過を少し話しただけでわかったようです。医師からアンジェルマン症候群と診断されて“やっと病名がわかった”と思いました。0カ月から“何か大きな病気ある!”と疑っていたので、ここまでの道のりが本当に長く感じました」(沙織さん)

染色体検査の結果は、1カ月後に出ました。

「アンジェルマン症候群にはいくつかタイプがあるのですが、最も多いと言われる、突然変異で起こる“欠失”のタイプでした。染色体は通常、お父さん由来とお母さん由来が1セットになって機能しますが、お母さん由来のたった1つの遺伝子が欠けることで発症するそうです。遺伝性ではないそうです。たった1つの欠損や機能停止なのに…このような状態になるんだと思いました」(沙織さん)

アンジェルマン症候群は、今のところ手術や薬などで治る病気ではありません。海外では治験も進んでいますが、さらなる研究が必要です。

「私もパパも、アンジェルマン症候群を疑ってから、インターネットでこの病気のことを調べていて、遺伝科受診の段階ではかなり詳しい知識を得ていました。そのため検査結果が出ても自然と受け入れられました。

パパは、オーストラリア出身で根っからポジティブな人です。リッキーがアンジェルマン症候群と確定したとき、“遺伝子研究の最先端の病気だなんてCOOLだよ! リッキー”と言っていました」(沙織さん)

1歳11カ月で2時間半もけいれんが!  2歳でてんかんと診断される

写真は、リッキーくんの4歳の誕生日。つかまり立ちはできるけど、ひとりで歩くことはまだできません。

アンジェルマン症候群には、いくつか症状に特徴がありますが、その1つがてんかんです。リッキーくんも1歳11カ月のとき、2時間半もけいれんがおさまらず救急搬送されました。

「2歳になってからも、けいれんが始まると1~2分おきに発作が起きるようになってしまい、神奈川県立こども医療センター 神経内科の露崎先生に診てもらいました。検査の結果、てんかんと診断され、薬でのコントロールが必要なので3カ月に1回受診しています。
またリッキーは、生まれてすぐから眠りが浅くて、昼夜問わず寝ないのですが、こうした睡眠障害もアンジェルマン症候群の特徴の1つだそうです。睡眠薬も処方してもらっています」(沙織さん)

前述のとおり、アンジェルマン症候群は手術や薬で治る病気ではありません。そのため薬でてんかんや睡眠をコントロールするなど対症療法が中心になります。また発達を促すためにリハビリも必要です。

「療育には毎日、午前中通っていて、リハビリも週1回通っています。5歳の今は、歩行のリハビリをしています。手をつなぐと数メートル歩けるようになりました。保育園は、午後から通っていますが通常のクラスです」(沙織さん)

てんかん発作などを見続けてきた長男。3人目を授かり兄弟関係が新たに

1年前に撮った兄弟の記念写真。右がリッキーくん。

沙織さんには、3人の男の子がいます。長男は7歳、リッキーくんは二男で5歳、三男は2歳です。リッキーくんがアンジェルマン症候群と診断されてから、下の子を授かりました。

「3人目を考えたのは、子どもは2人以上ほしいというのもあったのですが、長男のメンタルのことを考えました。
長男は3〜4歳のときからリッキーがてんかんを起こし救急搬送される姿を何度も見ています。そのたびに私はリッキーにつきっきりです。3〜4歳では、怖いでしょうし、寂しいとも思います。たくさんガマンもしていることでしょう。幼心に葛藤(かっとう)していたと思います。長男への心への影響は測り知れません。

長男のお友だちにも弟や妹が生まれて、リッキーだけずっと赤ちゃんのままな不思議に気づくんです。“ママ、リッキーはいつになったら話せるの?”“ママ、リッキーはいつになったら歩けるの?”と聞かれて、診断がついてからは病気のことをその都度、正直に話していますが、診断がつくまでは言葉に詰まりましたし、長男の葛藤(かっとう)がわかり、胸が苦しくなりました。
下の子を授かったときは、念のため染色体検査をしました。下の子が生まれて、兄弟関係に新しい風が吹き込みました。

リッキーは食事の介助も必要です。下の子がフォークにさしたハンバーグをリッキーがパクッと食べると、下の子が“good boy”と言ってリッキーをほめたりしています。私たち親のことをよく見て、マネをしているのでしょうね。思わずうれしくなるシーンです。
でもリッキーは言葉が出ないもどかしさから手を出すこともあるので、兄弟げんかも増えました。言葉は出ないけれど、相手の言っていることはわかることも多いようです」(沙織さん)

夫婦でよく話すのは、リッキーくんの将来です。アンジェルマン症候群は、内臓の病気は合併しにくいため、幼いころに余命宣告を受けることはありません。そして大人になっても介助、介護が必要です。

「私は、一生リッキーの介護をするつもりでしたが、オーストラリア出身のパパからすると、リッキーも専門家のサポートを受けながら自立が必要と言います。日本の福祉の現状を受け入れがたいようです。まだリッキーは5歳ですが、この先、夫婦でリッキーにとって最善の道を探って行こうと思っています。アンジェルマン症候群の治験は、海外では進んでいるということなので、早くいい結果が出ることを願っています」(沙織さん)

【露崎先生から】
アンジェルマン症候群は、リッキーくんのようにてんかんや睡眠障害を伴うことが多いですが、いずれも内服薬が有効なことが多く、すてきな笑顔で、元気に過ごせることが多いです。発達の遅れがあり、似ている症状があった際は、小児科の先生に、専門医の受診が必要ないか相談しましょう。

お話・写真提供/アップルビー・沙織さん、監修/露崎悠先生、取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

2022年4月からリッキーくんは年長さんです。そろそろ就学を考える時期でもあります。今、沙織さんがトライしているのがリッキーくんとツールを使って意思疎通をはかることです。絵カードは折り曲げたり、口に入れたりして不向きでしたが、iPadが使えるので、何かいいアプリはないか探しているそうです。
またリッキーくんにも、「できるだけ兄弟と同じような経験をたくさんさせたり、お友だちと遊んで刺激を受けたりしながら育てていきたい」と言います。

露崎 悠(つゆさき ゆう)先生

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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