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11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間。2022年に亡くなった乳幼児は47名。SIDSは冬に起こりやすい!?睡眠環境の見直しを【小児科医】

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●写真はイメージです
Ryuichi Sato/gettyimages

元気だった赤ちゃんが睡眠中に突然、亡くなる乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気があります。SIDSの原因はいまだに不明です。
こども家庭庁は、毎年11月を乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間と定めて予防の啓発活動を行っています。子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に、最新のSIDS情報と予防について聞きました。

うつぶせ寝の危険性を啓発してから、SIDSで亡くなる乳幼児は大幅に減少

こども家庭庁では、毎年11月1日~30日を乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間と定めて、ポスターやリーフレットを作成して、SIDSの予防を呼びかけています。

SIDSは兆候や既往歴がないのに、元気だった乳幼児が突然、寝ている間に亡くなる原因不明の病気です。窒息などの事故とは異なります。またSIDSで亡くなる子は、生後2~6カ月ごろに多く、まれに1歳以上で発症することもあります。
こども家庭庁の発表では、2022年にSIDSで亡くなった乳幼児は47名にのぼっていて、乳児期の死亡原因では第4位となっています。

「SIDSで亡くなった乳幼児は、
2017年 77名
2018年 61名
2019年 78名
2020年 95名
2021年 81名
2022年 47名
の推移となっています。

1996年、1997年には、SIDSで年間500名以上の乳幼児が亡くなっていました。SIDSで亡くなる乳幼児が減った背景には、1990年代初めから諸外国で、うつぶせ寝禁止キャンペーンが始まり、日本も後を追うようにして“乳幼児のうつぶせ寝は危険”と啓発活動を行ったためです。
それを機に日本でも、SIDSで亡くなる乳幼児は減少して、2002年からは年間200人台、2005年からは年間100人台に減っています。うつぶせ寝は、SIDSの大きな危険因子です。そのため1歳になるまでは、どの子もあお向けで寝かせましょう」(山中先生)

うつぶせ寝は危険というと「寝ている間、ずっと横で見守っていないとダメなの?」と思うママやパパもいるかもしれませんが、山中先生は過度に心配する必要はないと言います。

「SIDS のリスクを減らすために大切なのは、寝つくときにあお向け寝で寝かせてあげることです。ずっとそばで見守るのは無理なので、その必要はありません。ただし寝返りをしたときに窒息しないような就寝環境作りは必要です」(山中先生)

またSIDSは冬に発症しやすい傾向があるといわれています。

「寒くなると、赤ちゃんに厚着をさせたり、布団をかけてあたため過ぎたりするのが、SIDSと関係があるのではないかともいわれています。しかし何度以上になることが危険なのかなどを裏づける、エビデンス(科学的根拠)はありません。
SIDSは前述の通り、うつぶせで寝かせるなどいくつかの危険因子はわかっています。海外でも研究が進んでおり、ノルウェーやデンマーク、スウェーデンでは2500g未満で生まれた低出生体重児、早産、子宮内発育遅延も危険因子であり、これらとうつぶせ寝が組み合わさると危険率が高まるという報告もあります。しかし、はっきりした原因はわかっていません」(山中先生)

SIDSを含む乳幼児の突然死“SUID”の予防に注目が

日本でSIDSに関する診断ガイドラインができたのは2005年です。2012年には、第2版が発表されています。

「SIDS診断ガイドラインでは“乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断は剖検および死亡状況調査に基づいて行う。やむをえず解剖がなされない場合および死亡状況調査が実施されない場合は、診断が不可能である。従って、 死亡診断書(死体検案書)の死因分類は「12.不詳」とする”と記されています。

そのため解剖がされない場合などは「不詳」に分類されます。「不詳」の中にはSIDSが死因とされないけれど、SIDSで亡くなった乳幼児も含まれていると考えられます。
最近ではSIDS、窒息、不詳のすべてをまとめて、予期せぬ乳幼児の突然死SUID(スーイド/Sudden Unexpected Infant Death)と呼び、世界的には赤ちゃんの命を守るためにはSUID全体の予防が必要と考えられています」(山中先生)

就寝中の窒息事故などを防ぐために、安全対策の見直しを

SUIDの中には、睡眠時の窒息も含まれます。また厚生労働省は、SIDSの予防に際し、睡眠中の窒息事故の予防も呼びかけています。
山中先生は、子どもが寝ている間の事故は後を絶たないので、とくに次のことには注意してほしいと言います。

1.ベッドと壁の間にすき間を作らない

ベッドと壁の間に挟まる事故の再現。寝ているときにすき間に落ちてしまっても、ママやパパがすぐに気づかないと窒息の危険が。

ベッドと壁の間に挟まると窒息する危険があるので、すき間は絶対に作らないようにしましょう。わずかなすき間でも窒息の危険性があります。

2.敷布団やマットレスはかためのものを選ぶ

うつぶせになったとき、寝具がやわらかいと顔が埋もれ窒息することもあるので、敷布団やマットレスは乳幼児用のかためのものを選んでください。
掛け布団は赤ちゃんが払いのけられる軽いものを使用し、顔にかぶらないようにしましょう。

3.ベッドの中には何も置かない

ベッドの中に置いた着替え、タオル、ぬいぐるみなどが顔にかかって窒息することもあるので、ベッドの中に物は置かないで!

4.垂れ下がったひもに注意する

ベッドの近くにブラインドなどのひもが垂れ下がっていると、赤ちゃんが寝返りをした拍子に首にひもが絡まる危険性も。ひもは垂れ下がらないようにしてください。

5.1歳6カ月未満の乳幼児には、ベッドガードを使用しない

大人用のベッドに取り付けた幼児用のベッドガードのすき間に、挟まって死亡した乳児もいます。すき間はわずか5cmでした。そのため1歳6カ月未満の乳幼児には、大人用のベッドに取り付ける幼児用ベッドガードは使用しないこと。

6.収納扉付きのベビーベッドはしっかりロックをする

写真は事故の再現。体の一部がすき間に挟まると、重みで腰まで容易にすり抜ける。すき間に後頭部が挟まって動けなくなり、口と鼻が敷布団に押し付けられて窒息死したと推定されている赤ちゃんもいる。

ベビーベッドの収納扉が開き、すき間に首が挟まり窒息死した事故も起きているので、収納扉がしっかりロックされているか確認しましょう。
ロックが不完全なため、ベビーベッドの収納扉が赤ちゃんの接触によって開き事故も起きているので、収納扉がしっかりロックされているか確認しましょう。

「SIDSの原因は不明ですが、就寝中の窒息事故は原因が明らかで、就寝環境を見直すことで事故は防げます。大切な赤ちゃんの命を守るためにも、まずは赤ちゃんが寝ている場所が安全か確認してください」(山中先生)

お話・監修/山中龍宏先生 協力・写真提供/消費者庁、独立行政法人国民生活センター 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

こども家庭庁では、SIDSの発症率を低くするポイントとして、前述のあお向けで寝かせるほかに、「できるだけ母乳で育てる」「妊婦さんや赤ちゃんのそばで喫煙をしない」ことも上げています。

●記事の内容は2023年10月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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