子どもの食べ物の好き嫌い、「成長にまかせて」はNG⁉ 克服したほうがいいの?管理栄養士に聞く
「たまひよ」アプリユーザーに「お子さんの食べ物の好き嫌いにどう対処していますか?」と、質問。「味覚は成長とともに変わる」「トラウマにしたくない」と、「無理強いしない」というコメントであふれました。子どもの頃は野菜全般が嫌いだったという管理栄養士のひろさんからのアドバイスです。
Q. お子さんの食べ物の好き嫌いにどう対処していますか?
工夫して、一口でも食べてもらえるようにする 58.7%
本人にまかせて残しても良しとする 31.7%
嫌いな食材は出さない 5.6%
その他 4%
日本は「残さず食べる」が美徳とされています。昭和の頃は「嫌いな物でも食べる」でしたが、昨今は「食べられない物は最初からお皿に盛らない」が一般的に。
これは無理強いされてトラウマになってますます食べられなくなる、という懸念と、成長とともに味覚が変わり食べられるようになる、という考えがあるようです。
「それでも好き嫌いはなくしたほうがいい」と、管理栄養士の資格を持ち、子どもの頃は野菜嫌いだったという料理家のひろさんの見解です。
ママたちのコメントにひろさんからのアドバイスです。
「成長とともに味覚は変わる」「他の食材で補えばOK」は、実は△
「成長とともに食の好みは変わるし、嫌なら無理に食べさせなくていいと思っています。『食べさせなきゃ』って思うだけでもストレスだし、食べられるように工夫して調理したのに残されるとイラッとするし…」(K)
「夫も私も、他の食材から取れる栄養素なら嫌いなものは無理して食べなくてOKというスタンスです。誰にでも好き嫌いはあるので」(もる)
「大きくなれば食べるであろうと思っています。無理に食べさせてトラウマにさせたくないので、小さいうちは一口だけ食べようね、が我が家のルールです」(なべべ)
「苦手なものでも少しは食べて欲しいので、一口分だけお皿に残し、あとは別皿に取り分けて、少しでも食べてみようという気持ちになってもらう」(きなこんぐ)
「家では嫌いなものは絶対食べないけれど、保育園の給食は完食する我が子。お友だちや先生パワーだと思っているので、家では無理」(じろう)
管理栄養士 ひろさんの見解は?
「一般的に味覚発達のピークは3歳で、この時期にさまざまな味を経験することで、味覚の土台が形成されると言われています。
誰にでも好き嫌いはありますし、栄養を他の食材で補うことも正解です。ただ、幼少時に『好きなものだけを食卓に並べる』ことは、ちょっと違うかなと感じます。
嫌いなものを『克服する』チャンスを提供することは大切ですし、『一口だけでも』は味覚形成に良い影響をもたらすと言えそうです。チャンスの提供では「給食」はすばらしいシステムだと思います。
ただし、これは私の実体験なのですが、『家では嫌いなものは食べないけれど、保育園の給食は完食』という、このパターンは信用度が低いです(笑) 園の先生の優しさで実現していることが多いので、家でも気遣ってあげるといいかなと感じます」(ひろさん)
ピーマン、なす、小松菜などの青菜系は調理方法で工夫すると◎
「ピーマン嫌いだけど、こっそりピーマンの肉巻きにしたら気づかずパクパク。暴露したら本人も驚いてたけど、おかわりもしました」(もも)
「わが子は気分屋。以前は好んで食べていたのに、急に食べなくなることがよくあります。今はなす。去年までパクパク食べていたのに、最近は天ぷら以外は頑なに残します。本人の『好き』『嫌い』というのは、『今食べたい』とか『今はいらない』くらいの意味合いなんだろうなと感じます」(ヘッジホッグ)
管理栄養士 ひろさんの見解は?
「子どもが嫌う野菜と言えば、ピーマン、なす、小松菜・ほうれん草などの青菜系が有名です。
ピーマンは苦み、なすは灰汁(あく)とともに皮の触感、青菜も灰汁(あく)を感じて嫌われると言われています。
子どもの味覚は大人の約3倍とかなり敏感です。これが「成長とともに味覚が変わる」と、言われる所以となっています。
ただ苦みや灰汁(あく)は、調理方法で工夫することができます。
“もも”さんの場合は、肉のうま味と味付けで上手に苦みを消すことができたのだと思います。(ちなみにピーマンは電子レンジでチンすると手軽に苦みがとれるのでおすすめ)
“ヘッジホッグ”さんも同じです。実は油で揚げることは、野菜の苦みや灰汁(あく)が抜けて、うま味や甘みが強まる調理方法として知られています。
『以前は好んで食べていたのに、急に食べなくなることがよくあります』
は、野菜は産地や季節によって当たり外れがあります。もしかしたら灰汁(アク)の強いなすに当たり、それがトラウマになって食べなくなったのかもしれませんね。
嫌いな要素は味以外でも触感、香りなどが考えられます。嫌いなのは『味』と決めつけず、『どこが嫌なの?』と、調理で工夫することがおすすめです」(ひろさん)
「私もそうでしたが、野菜嫌いは○○がやばいことも…」と、管理栄養士 ひろさん
「私は好き嫌いが激しくて、いつも母に『食べても死なない!』と怒られていました。その通りなんですが、それでも食べたくない気持ちもすごく分かるので、そこは理解してあげたい」(ココ)
「私自身小さい頃は好き嫌いがすごくて、野菜全般が食べられませんでした(今は食べられます)。息子は好き嫌いが少ない方ですが、いつか食べたくなるかな~と特に気にしてません。他の食材で補えるならそれでいいと思ってます」(かとう)
「夫はネギ類全般が苦手です。しかしカレーのトロトロ玉ねぎやロールキャベツのネギ類は平気です。それ以外のネギ類を使う料理では、代替品を考えるのが本当に面倒です。将来、子どもが同じような苦労をしないように、なるべく好き嫌いは無くす努力をするつもりです」(むーみん)
管理栄養士 ひろさんの見解は?
「私も子どもの頃は野菜全般が苦手でした。親は強制することなく、しかも母は料理があまり得意ではなかったので、タンパク質中心の食事でした。それでも立派に大人になれた…かというと実は微妙です。大人になって、母から『あなたが子どもの頃、健康診断でコルステロール値がやばかったのよ』と、告白されたからです。(今は健康です・笑)
そんな私が野菜を食べられるようになり、管理栄養士を目指したのは、“食”に対して興味を抱く環境にあったからです。祖父母が同居していたのでさまざまな料理が食卓に並び、母と一緒にスーパーへ行くことでたくさんの食材を目にしてきました。
嫌いな食材だからと避けることなく、興味を抱く環境にすることが大事と言えそうです」(ひろさん)
ひろ(五賀洋佳)
PROFILE)
料理家/管理栄養士。病院勤務時代には特定保健指導などダイエットに特化した業務を経験し、高齢者向けの料理教室なども行っていました。妊娠中に野菜ソムリエの資格をとり、子ども向け料理教室も主催しています。
プロの料理家としてサンキュ!STYLEライター、Nadia artistなどで活躍し、企業向けレシピの開発・コラム執筆なども手掛けます。Instagramのフォロワー数は約10万人。“今夜何を作ろう?”と、いうママのお悩みに応えるシンプルな材料&手順のレシピや、ホットケーキミックス研究家として、家事の合間にささっと作れる本格スイーツレシピを紹介しています。プライベートでは姉妹の母。現在は克服していますが、長女の食物アレルギー(小麦・卵・乳・大豆など)があった経験をもちます。
文/和兎 尊美
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年7月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数126人)
※記事の内容は2024年9月の情報で、現在と異なる場合があります。