赤ちゃんの睡眠時間って、どのくらいが適切なの?
赤ちゃんは寝るのが仕事というけれど、実際に、どのくらい寝かせてあげるのがいいのでしょう? 素朴な疑問に、子どもの睡眠コンサルタントの愛波 文さんが答えてくれました。
月齢によって「理想の睡眠時間」は変わる
――ズバリ、赤ちゃんの睡眠時間はどのくらいがいいのでしょうか?
愛波さん:赤ちゃんにとっての理想的な睡眠時間は、月齢によって変わってきます。3ケ月までは約14~17時間、4ケ月から1歳2ケ月までは約12~15時間、1歳3ケ月から3歳までは約11~14時間、4~5歳は約10~13時間というのが一般的には最適な睡眠時間といわれています。ただし子どもの成長スピードやその日の活動量によって睡眠時間は変わるので、あくまで目安と思ってください。
――「最適な睡眠時間」を実現する秘訣のようなものはありますか?
愛波さん:赤ちゃんの「活動時間」を注意して見ておくことです。活動時間とは起きていられる時間。日中ずっと起きていられる大人と違って、赤ちゃんは起き続けられる時間が短く、疲れすぎると寝ぐずりや夜泣きなど睡眠トラブルにつながることがあります。たとえば1ケ月までの赤ちゃんは、40分くらいしか起きていられません(個人差あり)。活動時間の目安というのも月齢が上がっていくと長くなってきます(※以下参照)。この活動時間を超えてしまうと、疲れすぎてしまい逆にテンションが高くなってしまい、寝ぐずりや夜泣きをする可能性があります。大人は疲れたら眠くなりますが、子どもは目覚めを促すコルチゾールというホルモンが、疲れすぎている場合過剰に分泌されます。脳が活発な状態になってしまうと上手に眠れなくなってしまうので、「疲れすぎる前に寝かせる」というのがベストな睡眠時間を保つ秘訣です。
<月齢別・活動時間の目安>
月齢別の活動時間の目安とベストな睡眠時間の一覧表(画像:愛波 文さん提供 出典:『ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド』(講談社刊)より)
理想は「夜7時に寝て、朝7時に起きる」
――「何時に寝るのがベスト」という基準はありますか?
愛波さん:生まれたばかりの赤ちゃんは寝たり起きたりを頻繁に繰り返すため、何時に寝るという予定は立てにくいと思います。6ケ月くらいからは、夜7時に寝て朝7時に起きるのがベストです。
――共働き家庭だと、子どもを夜7時に寝かせるのはハードルが高いような気もしますが…。
愛波さん:あくまで理想なので、「難しければ夜9時でもいいですよ」と伝えています。6月に出版した『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)では、夜9時就寝のスケジュールも入れてみました。大事なのは毎日同じスケジュールを保つこと。30分前後のズレなら問題ありませんが、就寝と起床時刻が乱れると、赤ちゃんの体内時計も乱れます。夜の睡眠の質を上げるためには、朝日を浴びることが大切です。朝日を浴びることでセロトニンが分泌されて一日を快適に過ごせるようになり、このセロトニンのおかげで夜は睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され、ぐっすりと眠ることができます。
――夜の睡眠時間を昼寝で補っても問題ないですか?
愛波さん:昼寝で補うより、本来は夜しっかりと寝かせたほうがいいでしょう。2歳以降は昼寝を長時間してしまうと体力が余って夜寝てくれなくなる子もいるかと思います。昼寝をなくしてしまうと夕方にぐずったり、夕食時に寝てしまったりすることがあるので、昼寝はきちんとさせて、昼寝後に運動させて疲れさせることも大事。昼寝は一般的には3歳から4歳の間でなくなってきます。5歳くらいまで長時間の昼寝(2時間ぐらい)の習慣があると体内時計が乱れてしまい、小学校に入ってから苦労する子もいます。夜十分に睡眠が取れていないと授業中に眠い状態が続き、それがうつや登校拒否の原因にもなりかねないので、年齢が上がってくると昼寝のしすぎにも注意が必要です。
赤ちゃんの睡眠って、実はとっても大事。「夜7時~8時に子どもを寝かせるなんて無理!」というママ・パパもいるかもしれませんが、子どもの睡眠時間が不規則になるのは問題です。赤ちゃんの誕生をきっかけに、親子で規則正しい睡眠をとることを心がけましょう。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)