「活発でいい!」女の子の育て方 パパの心得
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女の子って、どう育てたらいいんだろう? そう悩むパパは多いかもしれません。自分と同性の男の子の育児でもわからないことが多いのに、異性である女の子であればなおさら。これから女の子が生まれてくるプレパパ、現在女の子を子育て中のパパは、どのような心構えを持っておけばいいのでしょうか。保育士のキャリアも持つ大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に聞きました。
遠慮しがちな子には、やりたいことができるようにサポート
――女の子の育児でパパが気をつけるポイントはありますか?
小﨑先生:男性と女性は、脳の構造が異なるなど、生物学的にも明らかな違いがあります。また、社会的にジェンダーフリーが進んでいるとはいえ、実際には男女の違いを認識する場面が数多くあります。そういった違いをわかっておくことも大切ですし、親が「こう育てたい」という思いを子どもにぶつけるのは悪いことでありません。ただ、「性別の前に個性がある」と考えたほうが、その子の個性がより伸びやすいと思います。
――「性別の前に個性がある」とは、どういうことですか?
小﨑先生:たとえば小さな男の子があぐらをかいて座っていても、気にする親はあまりいないと思います。でも女の子が同じことをしていたらどうでしょうか? 個性の前に性別があると、親は注意するでしょう。この場面で注意するかどうかは親の価値観なのでどっちがいい、悪いではありませんが、それが極端になって、「おとなしい男の子はダメ」、「活発な女の子はダメ」と決めつけてしまうと、その子の個性が奪われてしまうことにもなりかねません。それよりも、性別も個性の一つとしてとらえてあげたほうが、その子にとってはいいことが多いでしょうね。
――では、男の子と女の子の育て方は、まるっきり同じでも問題ないのでしょうか?
小﨑先生:性別の前に個性があるといっても、男女ともに全く同じ育て方がいいのかというと、そういうことではありません。男女それぞれ、特性の違いはあるので、それを理解してあげたほうが、スムーズなことが多いと思います。たとえば、一般的に男の子は序列や競争にこだわる特性があります。それに対して女の子は、共感を大切にするという特性があります。みんなと仲よく共感し合いながら生活することはいいことなのですが、共感性を大事にしすぎて必要以上に自分を抑えてしまうと、自分のやりたいことができないということも起こりえます。それではよくないので、「自分はどう思うのか」ということを意識させながら、個性を大切にしてあげると伸びていくと思います。
――女の子と遊ぶときにはどんなことを意識すればいいですか?
小﨑先生:「男の子だから、女の子だから」という視点で親が遊びを制限するのではなく、性別に関係なく多様な遊びを経験させて、好きなものを本人に選ばせるのがいちばんです。ただ、ここでも男女の特性というものがあります。一般的に男の子は一点集中型。狭いところで深くのめり込んでいく傾向があります。一方、女の子は広く浅くという傾向があります。女の子はしばしば、親や周囲の反応を気にして遠慮していることがあるので、「まわりを気にせずに好きなことをじっくりやっていいんだよ」というメッセージを送ってあげるといいと思います。
パパにとって、女の子の特性は、男の子のそれよりも理解が難しいところです。しかし「共感を大事にしている」、「広く見ている」という特性を押さえておけば、「今はこうなのかな」とおおよその当たりをつけることはできるでしょう。ママや周囲の反応を気にして自分を出せなくなっているときには、パパと娘で一緒に過ごす時間をつくり、パパの考えを話してあげるとよさそうです。「女の子だからママにお任せ!」ではなく、きちんとパパなりのメッセージを伝えていきたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。