【1~4歳】モンテッソーリ流 子どもの“こだわり”対処法
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モンテッソーリ教育をご存じですか。モンテッソーリ教育とは、1870年にイタリアで生まれた女医 マリア・モンテッソーリが確立した教育法で、「すべての子どもは、自ら伸ばす力(自己教育力)を備えていて、子どもたちは、その力を伸ばすために自ら行動をする。大人はその力を信じて、伸ばすために環境を整え見守る」ことを教育理念に掲げています。
とくに1~4歳で多く見られるこだわりの時期【秩序の敏感期】は、子ども自ら力を伸ばす絶好の機会だそうです。【秩序の敏感期】を迎えた子どもとのかかわり方について、モンテッソーリ教育を実践している保育園で園長を務め、モンテッソーリ教師の資格を持つ神成美輝先生に聞きました。
順序・習慣・所有へのこだわりが、将来、必要な力を伸ばします!
モンテッソーリ教育では、1~4歳に多くみられるこだわりの時期を“秩序の敏感期”と呼んでいます。こだわりとは、着替えの順番やスーパーから家まで、毎回、同じ道を通って帰るといった子どもの中のマイルールで、それが崩されると激しくかんしゃくを起こす場合も。そのため、かかわり方に悩むママ・パパは多いのではないでしょうか。
しかし“秩序の敏感期”を経て、子どもは将来に必要な力を伸ばしていきます! “順序”“習慣”“所有”へのこだわりから身につく力と、ママ・パパのかかわり方のポイントを紹介します。
順序へのこだわりは、段取りする力を養う原点
着替えの手順などにこだわるのは、これまでの生活で身につけてきた“物事を行う順序を守る”という気持ちが強い証し。順序にこだわることで、目標や目的達成のために、今、何をするべきか、どのように進めればよいのか考える練習になり、①自分で考えて段取りをする力、②目標に向かって自ら行動する力が育ちます。
【かかわり方のpoint】
着替えなどは、なるべく子どもの順序を認めて時間がかかっても見守りましょう。急いでいるときは、せかさずに「お手伝いしていい?」と聞いて、子どもの気持ちを尊重しつつサポートを。
習慣へのこだわりは、勉強などを習慣にする力につながります!
なかには「いつもと同じ道を通らないとイヤ!」「エレベーターのボタンは、いつも自分で押す!」など、毎回、同じことを同じようにしないと気が済まない子がいます。それがかなわないと、イヤイヤが激しくなる場合もありますが、こうした習慣へのこだわりは、①物事を習慣的に続ける力、②勉強などを習慣にする力を伸ばします。
【かかわり方のpoint】
まずは子どもがもつ習慣へのこだわりを把握し、受け入れてあげましょう。習慣どおりにできないときは、「○○したいよね」と子どもの気持ちを受け入れてから、「でも、これから××に行くから、今はできないよ」など、できない理由を優しく伝えて。また習慣にして欲しくないことは、初めからさせないことも大切です。
所有へのこだわりを経て、共有する力が身につきます
とくに1・2歳児は自分中心で、おもちゃを独り占めしたりして、お友だちとトラブルになることも。しかし、これは“所有”の概念が育っている証拠。“○○は自分のもの!”と独占する経験を通して、子どもは①自分のものと他人のものを区別する力、②ものを共有する力、③コミュニケーション能力を養います。
【かかわり方のpoint】
所有へのこだわりが強いときは“今はそういう時期”と受け入れてあげて。お友だちとトラブルになりそうなときは「どれなら貸してあげられる?」「3つもあるから1つ貸してあげる?」と、子どもに決定権を持たせるように促すのがコツ。「10数えたら、貸してあげようね」と区切りをつけるのもいいでしょう。
順序・習慣・所有へのこだわりは、とくにイヤイヤ期に多く見られがちですが、子どもはさまざまなこだわりを通して、将来につながる大切な力を養っていきます。そのため、こだわりが見られたら温かい目で見守ってあげて。こだわりが強すぎて対処に困るというママ・パパもいますが「○○していい?」と聞くなど子どもの意思を尊重しながらかかわると“秩序の敏感期”は比較的、スムーズに乗り切れるようです。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/神成美輝先生
子育てアドバイザー、保育士、幼稚園教諭2種。モンテッソーリ教育を実践している保育園で保育士、園長として勤務し、2012年モンテッソーリ教師の資格を取得。2人の男の子のママでもあります。著書に『モンテッソーリ流“自分でできる子”の育て方』『才能がぐんぐん伸びる男の子の育て方』(ともに日本実業出版社)など。
参考/1才2才のひよこクラブ2018年夏秋号「モンテッソーリ流“イヤイヤ期”乗りきりテク」より