子どもの幸福度を高める4つの因子「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」、最後のひとつは?
撮影/小山志麻
かわいいわが子の幸せは、親ならだれでも願うものですよね。しかし“幸せ”とは一体、何でしょう。子どもを幸せにするためには、どうしたらいいのでしょうか!? 幸福学・認知心理学・脳科学などを研究する慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生に、本当の幸せについて話を聞きました。
親が幸せだと、子どもも幸せになります
「子どもが転んだときに、ママ・パパが「大丈夫? ひざ、すりむいているよ! 痛くない?」と心配そうに言葉をかけると、子どもは不安になって泣き出しますよね。このようにママ・パパの気持ちは、子どもに伝染するのです」(前野先生)
マイナスの感情だけでなく、プラスの感情も同様に伝染するといいます。
「ママ・パパが幸せを感じて生き生きと、ワクワクしながら毎日を過ごしていると、子どもも自然と幸せになります。幸せは連鎖して広がっていくものです」
とはいっても、そもそも“幸せ”とは一体何なのでしょうか?
「『お金があれば幸せ』『地位があれば…』『高い学歴があれば…』と考える人がいるかもしれませんが、モノやお金、地位のように他人と比較できる幸せは、長続きしないことが研究でわかっています。いつまでも続く幸せとは、健康、自由、愛情をベースに築かれる幸せで、ちょっと意識を変えるだけで、だれもが手に入れられます」
心が豊かになる! 幸せに導く4つの因子とは!?
前野隆司先生は、「因子分析」という手法を使って、幸福度を高める4つの因子を導き出しました。4つの因子は、実は乳幼児は生まれつき持っているものなのだそう。前野先生いわく、「あえて子どもに働きかけなくても大丈夫!」とのこと。
「ポイントは、ママ・パパ自身が4つの因子を意識して幸せになることです。そうすることで、やがて子どもも幸せへと導かれます」(前野先生)
幸福度を高める4つの因子
1.「やってみよう!」の因子
夢や目標を持ち、それに向かって学び、成長しようする時間が幸せを呼びます。夢や目標は、大きなものでなくてOK。「子育て中だからとあきらめていた…」というものに、無理のない範囲でチャレンジしてもいいですね!
2.「ありがとう!」の因子
家族やまわりの人を喜ばせたり、感謝の気持ちを伝えたり、親切にしたいという思いが幸せの扉を開けます。まずは子どもや家族に「ありがとう!」と素直に伝えてみましょう。
3.「なんとかなる!」の因子
日本人は諸外国人に比べて、不安を感じやすい民族と言われています。そのため意識して「なんとかなる!」と楽観的に構えることがおすすめ! そうすることで自己受容(自分の長所・短所を含めて、自分を認めること)が高まり、万一、落ち込んだり、不安になったりしても気持ちの切り替えが早くできます。
4.「ありのままに!」の因子
他人と比較せずに、自分らしく生きられる人は、幸せを感じやすい傾向が。確固たる“自分”がしっかりあれば、他人に惑わされるというストレスも減るはずです。
「心が豊かになる! 幸せに導く4つの因子とは!?」参考になりましたか。「早速、チャレンジ!」と思うママ・パパは“「ありがとう!」の因子”が始めやすいのでは!? 子どもや家族が手伝ってくれたら、「ありがとう!」と伝えたり、「いつもありがとう」とねぎらいの言葉をかけたり…。そんなちょっとした心づかいがあるだけで、家族みんなが幸せになれるのではないでしょうか。(文・麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
前野隆司先生
「幸福学」研究の第一人者。著書『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/1500円)が話題に。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、研究科委員長。ロボット、教育、地域社会、ビジネス、幸福な人生など、さまざまなデザイン・マネジメント研究を行う。