つめがはがれてきた…原因は手足口病!? 発疹が治ったあとにも症状が「陽ちゃん先生の診察室だより」
![ゼーゼーと苦しそうな赤ちゃんのせき。原因はヒトメタニューモウイルス[小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより]](https://img.benesse-cms.jp/tamahiyo/item/image/normal/resized/resized_8131ad34-ccac-409a-8df8-d33ff40063e2.jpg)
![8歳の男の子、おたふくかぜではなかった耳の下の腫れ[小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより]](https://img.benesse-cms.jp/tamahiyo/item/image/normal/resized/resized_e37baeb0-94d1-47e3-bac4-162e625d953c.jpg)

夏場に流行する手足口病。その名のとおり、手・足・口に発疹ができる感染症です。今年も地域によっては、警報レベルの流行となっています。そんな手足口病は、発疹が治ったあとにも症状が出ることがあります。
赤ちゃんやママ・パパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、思い出深いできごとをつづります。育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#7
関連:繰り返し目やにの出る赤ちゃん。解決方法は…?~[小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより]
1歳の女の子。つめがはがれてきたのは水虫?
診察室にやってきたのは、1歳の女の子とお母さんです。手足のつめがはがれてきたといいます。
診察すると、手の指のつめが1か所、横に裂けてきています。足の指にも1か所、同じように割れているところがあります。
「とくにぶつけた記憶はないんですよねえ。痛がりもしないし。」とお母さん。
―本当に裂けてきていますね。急なことで心配したでしょう。
「この子の父親が水虫なんです。それがうつったんでしょうか?」
実はつめの様子を見て、すぐに気づいたことがありました。かかとや手首あたりに発疹の跡がぽつぽつとあります。のどを見ると、今はあまり強い所見はないようです。
―お母さん、最近手足口病にかかりませんでしたか?
「はい、先月かかりました。帰省していたのでその近所の小児科に行きました」
―その手足口病のせいですね。
「え?」とお母さんは驚きました。
手足口病に効く薬はない
手足口病は、英語でもHand-Foot-Mouth病といいます。その言葉のとおり、手足に発疹が出て、口の中には口内炎ができる病気です。発疹はおしりや陰部にもできやすく、口の周囲にも発疹が出ることもあります。手のひらや足の裏の水疱だけのときもあれば、ひじやひざまで、びっしりとできて、ひどいとかさぶたになることもあります。これは、原因になるウイルスのタイプによるのだろうと考えられています。一度かかってもまた次の年にかかることもあります。特効薬があるわけではなく、自然に口内炎が治っていくのを待たないといけません。この子も大変だったようです。
「口内炎がひどくて、口の中が痛いようでなにも食べられませんでした。熱も高かったし…」
―味が濃いものとか、熱いものはしみますよね。アイスクリームとかシャーベットなら食べられる子もいるようだから、具合が悪い時にはそれでもいいのですよ。
「ああ、そういうものをあげればよかったんですね。」
手足口病が子どもにはやるのはしかたない…?
この女の子が通う保育園でも、手足口病ははやっていて、もれなく感染したそうです。
「もう、ほかの子にうつさないでしょうか?」
―実は1ケ月くらいはほかの子にうつすんですよ。だからはやるのはしかたない部分もありますね。それに、手足口病をもらって、本人は症状がないのに、ほかの子にうつす子もいます
「それじゃあどうしようもないですね」
―――だから、本人の安静が必要なとき。熱が高いときやよく食べられないときを過ぎたら、登園していいことが決められているんです。
手足口病は、夏風邪の一種だといわれていて、今年もすでにたくさんの手足口病のお子さんを診察しました。手足口病にかかったあと、1ケ月位してから、足の皮がむけてきたり、つめがはがれてくる子がたくさんいます。これは、つめの根元にも皮膚病変があって、その後、つめがはがれてくるのだと考えられています。とくに治療は要りません。つめが何かに引っかからないようにだけ注意して、新しいつめが出てくるのを待ちます。
関連:ゼーゼーと苦しそうな赤ちゃんのせき。原因はヒトメタニューモウイルス[小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより]
さて、お母さんにはこのままほうっておいていいですよと説明しました。
それから、お父さんのせいではないことも言い添えました。
■監修・文:吉永陽一郎先生
国内初の子育て専門診療科である聖マリア病院母子総合医療センターの「育児療養科」科長などを経て、現在は福岡県久留米市の吉永小児科医院・院長。
■おすすめ記事
・赤ちゃんの風邪 予防とケア5つのギモン
更新