【医師監修】赤ちゃんの歯はいつ生える? 順番は? 歯磨きはいつから? のギモン解決!
「ほかの子は歯が生え始めているのに、うちの子はまだ…」「歯磨きっていつからするの?」など、赤ちゃんの歯に関する気がかりはかかえやすいものです。多くのママ・パパから疑問の声が届く、赤ちゃんの歯が生え始める時期や順番、適切なケアのしかたなどについて、日本小児歯科学会認定専門医で多くの保育園や小学校の歯科健診にも携わる、鈴木さち代先生に伺いました。健康で丈夫な歯を育てるためのかかわりポイントも必見です!
「生え始める時期はいつ?」「どんな順番で生えてくる?」のギモンにアンサー
赤ちゃんの歯が生え始める時期や順番、そのころの様子などを解説します。歯の成長発達は個人差があって、早い子もいればゆっくり生えてくる子もいます。目安として参考にしてくださいね。
歯が生え始めるころの赤ちゃんの様子は?
歯が生えてくるところが大きく膨らむ
歯ぐき周辺がほかのところよりも膨らみます。ママ・パパの指でやさしく触ると歯が白く見え、その感触がわかります。
手指やおもちゃなどを噛む様子がある
歯の生え始めは気になるので、自分の手指やおもちゃのラトルなどを噛んだりする子もいます。歯固めを与えてみてもいいでしょう。
歯ぐずりする
赤ちゃんによっては生え始めのころに歯ぐきがムズムズするだけでなく、痛みを感じることも。夜泣きが増える子がいたり、グズることが多くなる場合もあります。
よだれが増える
赤ちゃんのよだれが増えてきます。中にはスタイを何度も交換する子も。離乳食の受け入れができる段階に入ったサインでもあります。
歯はいつごろ、どんな順番で生えてくる?
生後6~7か月ごろ
下の真ん中の前歯2本(乳中切歯[にゅうちゅうせっし])が生え始めます。
1歳ごろ
上の真ん中の前歯2本(乳中切歯[にゅうちゅうせっし])が生えてきて、上下で4本の前歯がそろい始めます。
1歳3か月ごろ
上2本、下2本の前歯(乳中切歯[にゅうちゅうせっし])のそれぞれ両わきにさらに2本ずつ前歯(乳側切歯[にゅうそくせっし])が上→下の順で生えてきます。
1歳6か月ごろ
上4本、下4本の前歯(乳中切歯・乳側切歯)のそれぞれ両わきは空いた状態を保ちながら、そのとなりに上下で2本ずつ奥歯(第一乳臼歯[だいいちにゅうきゅうし])が上→下の順で生えてきます。
2歳ごろ
上4本、下4本の前歯(乳中切歯・乳側切歯)のそれぞれ両わきに先のとがった乳犬歯[にゅうけんし]が上下で2本ずつ上→下の順で生えてきます。
2歳6か月~3歳ごろ
初めに生えた奥歯(第一乳臼歯[だいいちにゅうきゅうし])のとなりに奥歯(第二乳臼歯[だいににゅうきゅうし])が上下で2本ずつ下→上の順で生えてきて、20本の乳歯が生えそろいます。
※歯が生え始める時期や順番は個人差があり、赤ちゃんによっては上の前歯や奥歯から生え始めるケースもあります。心配はいりませんが、気になる場合は受診しましょう。
1歳で1本も歯が生えてこない…大丈夫?
1歳を過ぎてから生えてくる子も少なくありません。歯が生えてくる場所の歯ぐきがほかと比べて膨らんでいれば心配いりませんが、気になる場合は受診します。
ほかの注意点としては、赤ちゃんが食べ物をそのまますぐに飲み込んでいないか確認しましょう。かめずに飲み込んでいる子は、つぶして食べさせたり、次から次へと口に食べ物を運ばないように注意を。それが習慣になるとかむ・すりつぶす・飲み込むといった口と歯の機能が十分に育たず、あごの成長にも影響します。むし歯や歯並びなどのトラブルもかかえやすいので気をつけましょう。
先輩ママ教えて! 赤ちゃんの歯の生え始めエピソード(ウイメンズパーク体験談)
先輩ママ&赤ちゃんの歯の生え始めの様子やかかわり方も参考になることがたくさんあります。ママ同士の交流が盛んで育児に役立つ情報満載のサイト“ウイメンズパーク”で語られた、先輩ママの体験談を抜粋して紹介します。
2本目に生えた歯が幅広でびっくり (1歳0か月の男の子ママ)
うちは5か月で下の前歯の1本目が生え始め、その後すぐに2本目の前歯も頭をのぞかせました。でも、そこから数か月進展なし。やっと生えてきたと思ったら、1本目に生えた歯よりも幅広で歯の真ん中に溝が…。心配になって受診すると2本の乳歯がくっついている「癒合歯(ゆごうし)」と言われ、しばらく様子見に。歯科医院はむし歯になったら行けばいいと思っていたけれど、これを機に定期的に診てもらおうと思いました。
歯ぐずりやよだれが増えてお世話が少々大変に… (1歳10か月の男の子ママ)
生後6か月ごろから下の前歯2本が生えてきて順調でしたが、1歳まで変化がなく病院へ。「個人差があるから様子を見よう」と言われ、ハラハラしながら見守ることに。すると、1歳6か月ごろで前歯は上下4本に。1歳7~8か月になると奥歯も生えてきました。ただ、ムズムズして気持ち悪かったようで、歯ぐずりで泣いたりよだれが増えたりと少しお世話が大変でした。今現在、歯は上下16本。子どもの成長を気長に待つことも大事だと学びました。
1歳3ヶ月で生えた歯は1本。1歳半健診で相談 (2歳の女の子ママ)
言葉も出るし、あんよもできるのに、1歳3ヶ月で1本しか歯が生えてこなくてあせりました。1歳6か月健診で先生に「問題ない」と診断され様子を見ることに。食べ物がかめずに丸飲みしたり、吐き出したりと離乳食の進み具合はゆっくりでしたが、1歳8か月になると奥歯も生えて今は上の歯5本、下の歯8本に。“歯は次々に生えてくるもの”という思い込みはよくないなと実感しました。
1歳半ごろで前歯4本のみ。でも2歳でコンプリート! (3歳6か月の女の子ママ)
10ヶ月ごろに下の前歯が生え始め、1歳6~7か月で前歯は4本に。知り合いの子は、1歳過ぎで奥歯が生えてきたと聞いてモヤモヤした気持ちが続き、しょっちゅう娘の口の中をチェックしていました。でも、1歳8~9か月ごろから奥歯がニョキニョキと生えてきて、2歳ですべて生えそろって“ホッ”。奥歯が生えるまでは、食べ物をつぶして食べさせるなど手がかかったけれど、生えてからは何でもよくかんで食べるようになりました。
赤ちゃんの歯磨きはいつから? どのように?
口は髪の毛1本でも入ると、すぐに気づくほど敏感な場所。そのため、歯磨きしようと口まわりに触れると嫌がる子や、歯ブラシをベーッと出す子などはとても多く、ヘトヘトになってケアをするママ・パパも少なくありません。歯磨き好きな赤ちゃんに育てるためには、“いつから”“どのように”進めていくのがいいでしょう。歯磨きのしかたも解説します。
赤ちゃんの歯磨きはいつから? 生え始める前からの“歯ぐきマッサージ”がおすすめ!
できれば生え始める前の授乳期から、哺乳びん乳首やママ・パパの指で、歯ぐきと唇の間をマッサージするのがおすすめです。敏感さが和らぎ口の中の感覚が育つので、歯磨きがスムーズにできるように。さらに、いろいろな食感の食べ物も受け入れられる、好き嫌いのない子に育ちやすくなるでしょう。ほっぺたやあごの下などの口のまわりも触ってあげるとより効果的です。口まわりのマッサージは、歯が生え始めてから始めても遅くはありません。いつからでもOKなので、積極的に歯磨きと並行して楽しく進めていきましょう。
赤ちゃんの歯磨き 姿勢や磨き方は?
ママやパパのひざの上にあお向けに寝かせ、赤ちゃんの頭のほうから口の中を見て磨くのが歯磨きの姿勢の基本。初めのうちはガーゼなどで汚れをとってあげます。顔や口まわりを触ってあげることが、この姿勢でもできるといいでしょう。
赤ちゃんの歯磨きは1日何回?
歯磨きに慣れるまでは、赤ちゃんの機嫌がいいときなどに1日1回行えばいいでしょう。慣れてきたら、「食べたら磨く」が習慣になるように少しずつ回数を増やし、毎食後歯磨きします。自分で磨きたがるようになったら、習慣として一緒に磨くようにするといいでしょう。さらに、1日1回就寝前などにママやパパがしっかり仕上げ磨きするようにします。
赤ちゃんの歯磨きは何を使う?
初めのころはガーゼでのお手入れが進めやすいかもしれませんが、ママ・パパが使いやすいものなら指歯ブラシ・歯磨きシートなどなんでもOKです。
健康な口と歯を育てるコツって?
むし歯にならないようにきちんと歯磨きしたり、甘いものの摂り方を注意するだけでは、健康な口と歯は保てないと言います。それはなぜなのでしょう? 赤ちゃんの口と歯がずっと健康でいられるポイントとともに紹介します。
“くう・ねる・あそぶ”が赤ちゃんの健康な口と歯を育てます!
赤ちゃんの口と歯は、体幹を養う運動や体を動かす遊びをたくさんしながら、食べさせ方などの生活習慣に注意を払うことで育ちます。その結果、“かむ・すりつぶす・飲み込む”といった口と歯の機能が上手に使えるように。それが十分できていないと、うまくかめずに好き嫌いが出たり、むし歯や歯並びなどの気がかりをかかえることがあります。
「歯が生えてくれば、うまくかんで食べられるだろう」と思ったらそれは間違い。かむ力・飲み込む力は、放っておいて上手になるわけではありません。ポイントは、赤ちゃんが “くう・ねる・あそぶ”を存分にすること。いつから始めても体だけでなく口と歯の成長も促すので、以下のポイントを確認して気になることはぜひ取り入れてみてくださいね。
健康な歯と口を育てるポイント
ポイント1*運動遊びをたくさんする
はいはいやおすわり、あんよなど、体幹を養う運動遊びがたくさんできるように環境を整えましょう。“歩く”などの運動と“かむ・すりつぶす・飲み込む”といった口と歯の動きは、ヒトが生まれ持った能力。どちらも無意識に脳が制御しています。運動遊びを思う存分すると口と歯も連動して育ちます。
ポイント2*背中が丸くなるような姿勢で授乳や抱っこをする
赤ちゃんの背中が丸くなるように脚とおしりを持ち上げて授乳や抱っこをしましょう。赤ちゃんは、全身の筋肉を使って母乳やミルクを飲みます。背中が丸くなると体に力が入りやすくなり、口まわりの筋肉も使いやすくなります。その結果、上あごと舌を上手に使って飲む習慣がつき、口とあごの発達につながります。
ポイント3 離乳食の食べさせ方に注意する
赤ちゃんの口に離乳食を運ぶときは、スプーンを下唇におき、赤ちゃんが食べ物を上唇で取りにくるのを待ちましょう。口の中に放り込んだり、上唇になすりつけるのはタブーです。上下の前歯が生えてきたら、食べ物をかじり取る練習を積極的にしましょう。自分に合った一口量を覚え、きちんとかめるようになるための準備につながります。
ポイント4*コップ→ストローの順で使う
哺乳びん以外のもので水分補給をするとき、スパウトやストローマグから使い始める赤ちゃんは多いですが、初めは上唇の感覚が育ちやすいコップを使うのがおすすめです。スプーンで食べ物を取り込めるようになったら、コップの練習を始めましょう。透明で持ち手がついていないシンプルなコップを、両手で支えて使うのがおすすめです。
ポイント5*生活リズムを整える
たくさん遊んでしっかり食べてぐっすり眠れるように、早寝早起きの生活リズムを整えましょう。朝6時ごろに起こして朝日を浴びると、夜の入眠がスムーズに。また、就寝1時間くらい前になったら、テレビやスマホなどが発する強い光を浴びないようにしましょう。日中はたくさん体を動かしておなかをすかせ、食事時間が一定になるように注意して。
ポイント6*3~6か月に一度は歯科医院で診てもらう
3~6か月に1回は歯科を受診し、定期的に歯や歯ぐきの状態を診てもらうと安心です。歯磨き指導もしてくれるので、汚れがたまりやすい場所や磨き方のコツなどもわかります。希望すれば、歯の質を強くしてむし歯になりにくくするフッ素の塗布もしてもらえます。歯科はむし歯になって治療のために行くのではなく、予防のために活用しましょう。
赤ちゃんの歯が生え始める時期と言われる月齢になって、歯が生えてくる気配がないと心配になりますよね。でも、赤ちゃん1人1人の個性があるように、口や歯の成長も個人差がつきものです。健康な口と歯に育てるために歯磨き習慣は不可欠ですが、運動遊びなども存分にできるように環境を整え、赤ちゃんの成長をサポートしていけるといいですね。(取材・文/茶畑美治子)
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初回公開日 2019/10/23
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