山田ローラ、双子育児は見知らぬ人の何気ないひと言に傷つくことの連続
最近、社会問題としても取り上げられる“多胎育児”の大変さと困難さ。3才6カ月になる男女の双子を育てる山田ローラさんも、見知らぬ人の何気ないひと言に傷ついたことがあるといいます。その時の気持ちを聞きました。
双子を連れてのお出かけには覚悟が必要
2019年11月、双子ベビーカーでバスに乗ろうとしたママが乗車拒否されたニュースが話題になりました。このとき、SNSで「他人に助けを求める前提で出かけるほうが悪い」といったコメントをいくつか見つけて、かなり衝撃を受けたし、モヤモヤしました。
だって、双子を連れてのお出かけ、ましてや公共交通機関を使うようなお出かけは、それだけでもかなりの重労働。双子ママは必ず、家でいろいろな場合を想定して準備し、シミュレーションしてから出かけているはずです。それを、まるでママに非があるような言い方をされてしまうと……同じ双子ママとして、すごくモヤモヤしました。
タクシーを使えばいいという意見もありますが、そもそも双子ベビーカーはタクシーのトランクに入らないことが多いのです。たとえ入っても、ベビーカーをたたんでいる間、下ろした赤ちゃんはだれが見ているのでしょう。そもそもチャイルドシートがついていないタクシーの後部座席に赤ちゃん2人を座らせること自体、リスクがあると思うんです。そして、ただでさえお金がかかる双子育児。正直、タクシーの利用は経済的な負担も大きいです。
願いはただ一つ、冷たい目線で見ないでほしい
だからといって、決して双子育児を特別視してほしいということではないんです。強いて言うなら、冷たい目線で見ないでほしいというだけ。
私自身は、双子ベビーカーを押して歩いていたら、向こうから来た人にすれ違いざま「チッ!」って舌打ちをされた経験が何度もあります。こちらとしては、できるだけ道の端を歩いているつもりなので、「なんでこんな大きいベビーカーで来るんだよ」というような冷たい視線を注がれると、本当に心が折れます。
ただこれは、冷たい視線を浴びせる人の問題だけではなく、多胎育児に向いていない日本の環境の問題もあるかもしれません。厳しいようですが、双子ママは周囲の冷たい対応には、ある程度慣れるしかないと思います。なぜなら、アメリカのような広い道幅と、双子ベビーカーもすんなり乗れるほどの大きなバス、それらを日本に今すぐ求めるのは現実的に難しいからです。
私の場合、ときどき送られる周囲の冷たい視線にもしだいに慣れ、嫌そうな顔をされたら「は~い、すみませ~ん!」と明るく謝れるようになりましたが(笑)、冷たい視線がつらくて、外出することもままならなくなり、育児を楽しむどころか、どんどん追い込まれてしまう人もいると思います。
アメリカのほうが双子ちゃんを見かけることが多い
日本で多胎出産が100人に1人と聞いたこともあり、日本でも双子・三つ子など多胎育児に向き合っているファミリーが増えていると思います。アメリカと日本での多胎の出生率の違いはわかりませんが、街中で双子を見かけるのはアメリカのほうが断然多い印象です。
アメリカでは双子が特別視されたり、疎外されたりなどのどちらもなく、社会の中で1人子育てと同じように扱ってもらえているからではないかと思います。
たとえば「スーパーに買い物にいけばドアを開けることを手伝ってもらえるし、公共交通を利用しようとしたらベビーカーなどを運んでくれるというようなことが普通に行われています。双子だからと肩身が狭い思いをする必要はないんです。
今より少しでも、多胎育児がしやすい社会になることを願っています。(撮影/アベユキヘ 取材・文/坂井仁美、ひよこクラブ編集部)
デリケートな問題を前に、言葉を選びながら、それでも自分の言葉で素直な心の内を話してくれた山田ローラさん。双子だからということではなく、1人でも双子のように多胎でも、子育てファミリーが育児しやすい社会になってお欲しいとたまひよは考えています
■Profile
山田ローラ
1988年9月23日生まれ。アメリカ・アイオワ州出身の日米ハーフ。アメリカで大学を卒業後、日本でモデルデビュー。2015年3月に結婚、2016年9月に男女の双子を出産。タレント・コラムニストとして活躍中。