コロナ離婚を考える前に…夫婦を強くする3つのルール
コロナウイルスの影響で、離婚の危機に陥る夫婦が増えているといいます。「コロナ離婚」という言葉も登場しています。最悪の事態を避けるために気をつけたい、夫婦の絆を深める「ルール」とは?夫婦カウンセラーの木村泰之さんに聞きました。
木村泰之
夫婦カウンセラー
一般社団法人夫婦問題レスキュー隊 代表理事。3万人以上のカウンセリング、夫婦カウンセラー養成、セミナー、相談者交流会等、さまざまな形で日々アドバイスを行う。
「夫婦カウンセラー木村泰之ブログ」は毎日更新中。
夫婦という関係は思い込みから始まっている
まずは改めて、自分たち夫婦の始まりを思い出してみましょう。学生時代のクラスメート、会社の同僚や先輩、友人の紹介、マッチングアプリなどきっかけはさまざまでしょうが、その道のりにはいくつかの偶然が重なっていたはずです。その偶然が「これは運命の出会いだった」「結婚するのは決まっていた」という思い込みにつながり、結婚への後押しとなったはずです。
夫婦関係が愛情から過信に変わっていく
思い込みは、良くも悪くも夫婦の関係に影響します。なぜなら、夫婦仲が悪いときには「こんなはずではなかった」という失望に変わるからです。
結婚後まもない頃は相手を尊重する気持ちが強くあるので、一方的に責めたり、責められたりという関係は少ないのです。先ほどの思い込みも良い影響を及ぼし、初期の夫婦は「相手を許容できる関係」であります。
しかし結婚してから年数も経つと、愛情もありますが、安心・安定・安泰を優先させるようになります。空気のような当たり前の存在です。そうなると愛情から信用を越えて、「過信」が生まれてくるのです。お互いに相手を過信している夫婦は、往々にしてトラブルが起こりやすくなります。
夫婦を勘違いしてはいけない
コロナウイルスの影響に限らず、夫婦にトラブルが起こったときは、結婚したときの思い込みが邪魔をしています。「このまま一生問題なく暮らしていく」「平々凡々な毎日が続く」と思っていた生活から一変して、相手の事を非難し、思いやりに欠ける関係性に陥ってしまいがちです。本来であればこういう苦しいときこそ助け合うはずの夫婦が、真逆になってしまいます。夫婦はオートマチックには進まないことにようやく気付くのです。
長い人生ではさまざまな苦難が起こります。そこに「諦めたら所詮それまでの夫婦、これを乗り越えていく」という気概が必要です。苦難を乗り越えるために夫婦になったくらいに、考えを変えるべきです。
夫婦のトラブルを乗り越える3つのルール
では、人生に起こるさまざまなトラブルを乗り越えるためには、どういう夫婦を目指すべきでしょうか。いがみ合ってしまう夫婦を、助け合う関係に変えるにはどうすればいいのか。それを3つのルールにしてお話しします。
夫婦は権利より先に義務が重要
最初のルールは、権利と義務の話です。夫婦もそれなりに年月が経過すると、自分の権利を先に主張することが多くなりがちです。「私はこれがいいって言っているのに」「オレが決めたことだからいいだろう」と言うように。しかし、恋人の時には「気に入ってくれるかな」「受け入れてくれるだろうか」と、相手の事を先に考えていたはずです。主張をする前に、すべきことをしているかを振り返ってみることが大事です。
夫婦は安心より不安が成長させる
次に、安心を前提に夫婦を考えないということです。人生は何十年もありますから、先行きが見えないものです。しかし、夫婦というだけで安心を担保できていると思いがちです。実際は、夫も妻も一人一人は弱いのです。お互いに助け合って解決するのが夫婦。そう考えると、不安を怖がらずに、不安が自分たちを成長させていると考えることが大事です。
夫婦は最初より最後に意味がある
最後に、夫婦という関係は人生の最後に意味があるということです。結婚したときには勢いで「この人と結婚してよかった」と思っていても、それはいい会社に入ったと喜んでいる新入社員のようなもの。苦しいことや辛いことをがんばって乗り越えることで、自分自身が社会人として成長したと思えるはずです。夫婦も同じで、さまざまなトラブルを乗り越えた二人だからこそ「この人と夫婦になって本当に良かった」と思えるでしょう。
先の見えない状況だからこそ、夫婦にはルールが必要です。それは日常生活のルールという意味ではなく、夫婦の意味を作るためのルールです。大変なときこそ強くなれる、という意識を持って臨むことが大事です。