片付けのプロが語る「片付けるためにはとにかく全部出す」を徹底するメリット3
今回のテーマは、お片付けで「全部出す」ことの重要性について。さかもとりえの「誰でもできる暮らしを彩るお片付けメソッド」入門編 第4回。
■教えてくれたのは…さかもとりえさん。
日本収納検定協会、収育指導士、整理収納アドバイザー、ホームステジャーなど。ときめき片づけインストラクター(旧名称)資格取得後、様々な片付けの手法を学び、講演・セミナーで講師として活躍。日々の現場で、片付けの悩みに寄り添いながら「一人一人に応じた暮らしを彩るためのお片付け方法」を伝えている。ブログ『暮らしを彩るお片付け』が好評。
”全部出す”はお片付けの基本
こんにちは。さかもとりえです。
前回は『カテゴリー分け』の重要性についてお伝えしました。
次にすることは、カテゴリー毎に、お片付けの基本である”全部出す”を実践することです。
では詳しく説明していきましょう。
まずはカテゴリー毎に片付けていく順番を決めてください。
衣類、書籍、書類、小物類、キッチン、思い出の品など家の中にはあらゆるカテゴリーがあります。
片付けやすい順番としては、お洋服や書籍など、ご自身の好みで判断がしやすく、かつクローゼットやタンス、本棚のように、専用の収納場所があるモノから片付け始めてみてください。
書類や細々とした小物類などは、見極めする際も判断が難しく、収納も定まりにくいため、最初に取り掛かるのはおすすめしません。
お洋服や本などで、見極める判断力を十分にあげてから、他のモノに取り掛かってください。
また、各カテゴリーで思い出がこもっていて判断が難しいモノは、最後にまとめて判断してください。
順番が決まったら、早速、見極めを始めていきましょう!
「とにかく全部出す」メリット1 一気に判断ができる
お片付けの基本は、収納から”全部出す”ということです。
カテゴリー毎に、家中のあらゆるところに分散している一つのカテゴリーのモノを全て一箇所に集めます。
お洋服ならクローゼット、引き出し、玄関、洗濯干し場、部屋の片隅、ありそうなところ全てをチェックし、一つ残らず集めてください。
前回のコラムでもお伝えしたように、判断基準が同じモノを集めることで、一気に判断がしやすくなります。
とはいえぎゅーぎゅーに詰まった収納から『全部出す』には勇気が必要ですよね。
お片付けのサポート現場で、なんの躊躇もなく片っ端から出し始める私を見て、本当に出すの?嘘でしょ?と驚かれることもしばしば。
けれど、片付けを終わらせるために、『全部出す』が一番確実な方法なのです。ためらわずに出してくださいね。
一度に出すことが難しい場合は、靴下や下着といった小さなカテゴリーや、トップス・ボトムスなどのように、カテゴリーをさらに細分化してもOKです。
「とにかく全部出す」メリット2 モノとの付き合い方がわかるようになる。
多くの場合、全て出したモノたちで大きな山ができるはずです。
『こんなに持っていたのか〜?』『この収納にこれだけの量がはいるのか!!』など想像以上のモノの多さに驚かれると思います。
山にすることで、持っているモノの総量を視覚的にとらえ、衝撃を受けてほしいのです。
そして、その山から、ひとつひとつ手に取り『気に入って買ったのに一度も使っていない』『以前は使っていたのになぜ使わなくなったのだろう?』など、しっかりとそのモノと向き合ってみてください。
中には同じものが何個も出てきたり、何十年も前に買って存在を忘れていたモノや封も切らずに放置していたモノもあるでしょう。
見極め、判断した結果、一度も使わずに手放さなければいけないモノも出てくるはずです。
その時に「もったいないことをした」「なぜこれを買ったのだろう」そういった後悔の気持ちを存分に感じてほしいのです。
一度も使わず手放さなければいけないモノは、”二度と買わなくてもいい、私には必要ないモノ”ということを身を以て教えてくれたのです。
その教えを決して無駄にしないよう、次からは絶対にこんな辛い思いはしないでおこうと心に深く刻んでください。
そうすることで次から買い物する時には、なんとなくではなく、本当に必要なモノしか買わなくなるはずです。
片づけの間中、家の中にあるモノを何百個、何千個と見極め、判断を繰り返すことで、モノと自分の傾向が認識でき、これからのモノの買い方や扱い方がしっかりとわかるようになってくるのです。
手放す時には捨てるだけでなくフリマアプリやリサイクル、寄付などを利用するのもおすすめです。
「とにかく全部出す」メリット3 美しい収納に変わる
全部出すことで、これまでモノがいっぱい入っていた収納が空っぽに!
それを機に一度きれいに掃除機をかけて、拭き掃除をしてみてください。
それまで淀んでいた空気がスッキリと変わる感覚を味わってもらえると思います。
お片付けと掃除は切っても切れない仲。
きれいになった場所にはきれいに入れたくなるのが人の心理です。
私たちの暮らしを支えてくれるモノたち。ホコリや汚れがない場所に収納してあげると、なんだかモノも喜んでいるように見えてくるのが不思議です。
お片づけが終わっても、モノとのつきあいは一生続きます。
暮らしを彩るお片付けは、家にあるモノを使って、判断力を磨くための練習をするのだと思ってください。
お片づけを通じて得た判断力は、モノだけではなく、人生の様々な場面で生かされ、お片付けが終わった後の暮らしを彩ってくれるのです。
”全部出す”ためらわずに挑戦してみてください。
文/さかもとりえ