0~3カ月の赤ちゃんと初めての夏を迎える前に予習を!夏授乳のキホン4【保健師】
2022年夏、梅雨も早々にあけ、7月~8月の気温は、全国的に平年より高いと予想されているようです。そんなたくさん汗をかく夏、赤ちゃんを熱中症や脱水にさせないために意識したいのが、水分補給です。
低月齢の赤ちゃんの水分補給の基本は授乳。そこで、安心して夏を過ごすために押さえておきたい授乳・水分補給のポイントを、保健師・助産師の中村真奈美先生に聞きました。
【夏授乳のキホン①】0~3カ月は「授乳=水分補給」!こまめに授乳を
たくさん汗をかく夏は、脱水を防ぐため、ほかの季節よりも水分補給に気を使う必要があります。
「赤ちゃんは大人よりも汗をかくため、水分不足になりやすく、脱水によって熱中症になるリスクもあります。0~3カ月ごろの赤ちゃんは「授乳=水分補給」なので、ほかの季節よりもこまめな授乳で水分補給することを心がけるようにしましょう」(中村先生)
赤ちゃんの様子を見てチェック!水分不足のサイン
赤ちゃんは自分の状態を言葉で伝えることはできないので、いつもの様子と比べて体調を判断する必要があります。水分不足になっている場合、以下のようなサインが出るので気をつけましょう。
こまめな授乳で様子を見ておきたい『初期症状』とは?
□いつもよりよだれが少ない
□暑いのにいつもより汗をかいていない
□唇や口の中、肌が乾いている
□いつもよりおしっこの量・回数が少なく色が濃い
診療時間外でも要受診の『受診が必要なサイン』とは?
□いつもより元気がなく機嫌が悪い
□泣いているのに涙が出ない
□手足が冷たく、脈が速く、弱い
□目がくぼんだ感じになる
□意識がもうろうとし、名前を呼んでも反応しない
※0~3カ月ごろだと「水分を受けつけない」「唇や口の中が乾いてカサカサしている」「おしっこの色が濃い、または出ていない」「意識がもうろうとし、ぼんやりしていて眠りがち」などもサインです。
【夏授乳のキホン②】離乳食開始前に飲ませるのは母乳・ミルクだけでOK
夏は水分補給が大切だからと、母乳やミルクのほかに湯冷ましや麦茶も飲ませたほうがいいのではと考える人も多いようです。
「基本的に、離乳食が始まる前の時期の水分補給は、母乳やミルクだけで大丈夫です。母乳は欲しがるだけ飲ませ、ミルクの場合も水分不足が気になるときは1日の目安量を多少オーバーして飲ませてもOK。
0~3カ月ごろでも、麦茶や湯冷ましは飲ませられますが、この時期はまだ母乳・ミルクからほとんどの栄養をとることが大切。麦茶などを飲むことで、母乳・ミルクを飲む量が減ることがあるため、基本的には飲ませなくて大丈夫です」(中村先生)
【夏授乳のキホン③】母乳を飲ませているママ自身もしっかり水分をとる
赤ちゃんの水分補給はこまめにしているけれど、ママ自身の水分補給をおろそかにしているケースも多いと先生は言います。
「母乳を飲ませているママは、とくに授乳によって体の水分が失われがちな状態です。脱水の危険はもちろん、母乳は血液からつくられるので、ママの体が水分不足になると、母乳量の減少につながることもあります。授乳をしたあとは、ママ自身もコップ1杯の水を飲むことを習慣にするといいでしょう」(中村先生)
【夏授乳のキホン④】おっぱいまわりの肌トラブルに注意
夏の授乳まわりで意外と悩んでいる人が多いのが、ママ自身の肌トラブルなのだとか。
「暑い中、ママと赤ちゃんが体を密着させて授乳していると、汗だくになってしまいますよね。授乳のあと、ママが自分のおっぱいのまわりの汗をふかずにそのままにしてしまって、汗がむれてあせもができてしまうケースもよく聞きます。
汗をかいていたらこまめにふく、母乳パッドをこまめに交換する、綿100%のブラジャーを使うなど、ママ自身の汗対策も忘れずに行いましょう」(中村先生)
監修/中村真奈美先生 イラスト/德丸ゆう 取材・文/ひよこクラブ編集部
まだ赤ちゃんのお世話にも慣れないうちに暑い夏を迎えるとなると、元気に乗りきれるか不安になると思います。大切なことは、ママ・赤ちゃんともに水分補給を欠かさないこと。「授乳=水分補給」の意識を持って、ほかの季節よりもこまめな授乳を心がけるといいでしょう。
参考/『初めてのひよこクラブ』2022年夏号 特集「眠れない、痛い、不安…いちばん大変な産後3カ月こそ夫婦のチーム授乳で乗りきろう」
■掲載している情報は2022年5月現在のものです。
『初めてのひよこクラブ』2022年夏号には「眠れない、痛い、不安…いちばん大変な産後3カ月こそ夫婦のチーム授乳で乗りきろう」特集があります。
授乳姿勢や飲ませ方などの基本解説のほか、産後3カ月に起こりやすい授乳の悩みへの対処法を紹介しています。