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国立成育医療研究センターの産後ケア[コアラサポート]について聞きました!

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iStock.com/Zurijeta

赤ちゃんが生まれて、ママ、パパ、家族みんなが幸せいっぱい。ですが、産後のママは心身ともにとても不安定な状態で、自宅に戻れば待ったなしで赤ちゃんのお世話が始まるというのも現実です。
国立成育医療研究センターでは2017年9月から、退院後の産後ケア「コアラサポート」に取り組んでいます。同院副院長で周産期・母性診療センター長の左合治彦先生にお話を伺いました。

「コアラサポート」を始めたきっかけは?

「妊娠・出産、そして産後の母子を少しでもいい状態にして、その先につなげていくことが周産期医療の使命です。国立成育医療研究センターの周産期・母性診療センターでは、プレコンセプショナル(受胎前)ケアから出生前診断、胎児治療、母体・新生児の救急治療、無痛分娩などに力を入れてきました。その次の段階として、社会の変化に合わせた産後の母子ケア、とくにママのメンタルケアがとても重要だと考えています」

退院しても、頼れる人が身近にいない!

「出産のあと、1週間弱の入院だけでは、ママは自分の体も回復していませんし、授乳もまだ軌道に乗りきれてないことが多く、みなさん、いろいろなことで悩みます。ところが、出産年齢が高くなって(*)、祖父母世代も高齢で頼りづらい。一方で、若くて元気な祖父母は現役で働いている。パパは仕事が忙しくて帰宅が遅い。自宅にいても里帰りしても、ママと赤ちゃん2人きり、なんていう状況が珍しくなくなっています」

*同センターで出産された方のうち、35才以上が約60%、40才以上は約20%。

退院するころはママの気持ちが落ち込みやすい

「また、退院するころは出産後のハイテンションの波が引き、気持ちが逆に落ち込みやすい時期にも重なります。普段は心身ともに健康なママでも、慣れない育児への緊張感と、身近に相談できる人のいない状況では、メンタル面にも影響が出てきます。産後うつを予防するためにも、大切にケアしてあげたい時期なのです。

出産を取り巻く社会が変われば、ケアのスタイルも変わっていかなければいけません。入院期間が終わったあとも、ママが不安を感じていたり、家に帰っても頼れる人がいない場合など、ケアの必要がある人が利用できるように『コアラサポート』を立ち上げました。

病棟11階にある眺めのいい個室に滞在し、乳房・骨盤ケアなどを受けてご自身を癒やし、赤ちゃんのお世話のおさらいをして、自信をもって自宅に帰ってもらうことが目的です」

「コアラサポート」ではどんなケアを受けられますか?

「『コアラサポート』を利用する場合は、退院時にそのままコアラサポート専用個室に移り、3泊4日を過ごします。ケアプランに基づいて、授乳や育児の支援、産後リフレッシュ体操などのプログラムを行っていきます。ママにはバランスのとれた食事(3食+補食)が用意され、個室にパパも一緒に泊まることができます」

1人ひとりにオーダーメードのケアプランを作成

「ママと赤ちゃんのコンディションに合わせて、また、滞在中にやってみたいことなどの希望を取り入れてケアプランを作り、助産師・看護師を中心にした専門のスタッフがきめこまかくサポートします。たとえば、“安全に添い乳をしたい”などママのニーズに沿った授乳の支援、自宅の間取りや家族の状況などに合わせた家具の配置やケアグッズの置き場所まで、自宅に戻ったときのお世話や生活がよりスムーズになるように、スタッフが一緒に考え、具体的、実践的なアドバイスをしていきます」

パパも一緒に自宅でのお世話をシミュレーション

「完全個室でパパも一緒に泊まることができますから、夜のお世話の大変さを一緒に体験し、うまく乗りきる方法を夫婦で探るなど、自宅での生活をシミュレーションできます。ママや赤ちゃんの健康面で心配があれば、すぐに診察を受けられますし、メンタル面にとくに問題がない場合でも、滞在中に1回は心理療法士との面談があります。漠然とした不安、家族には話しづらいようなことなど、聞いてもらうだけでも気持ちが穏やかになりますし、さらに必要があれば適切なケアへとつなげていきます」

これまでに「コアラサポート」を利用したママたちからは大変好評で、「助産師さん、看護師さんを始め、スタッフの方々とのかかわりの中で、自宅に帰ってもなんとかやっていけそう!という自信がつきました」「パパにしてほしいことを、自分からは言いづらかったのですが、看護師さんがプロ目線でパパに話してくれたおかげで、家でも張りきって育児に取り組んでくれています」といった声が寄せられています。

まだ始まったばかりの「コアラサポート」。現場でケアに当たるスタッフの方々も、ママたちとのかかわりの中で、どんなサポートが求められているのかを探り、ケアの内容を日々ブラッシュアップしているそう。

今のところは、同センターでのお産入院から引き続き利用する場合に限られ、費用も全額自己負担となっています。だれもが利用可能な支援ではありませんが、「出産した病院で、希望すればそのまま産後サポートも受けられる」という産後サポートのモデルケースとなって、ほかの病院・産院にも広がっていくことが期待されます。

産後2週間健診を始め、施設でのデイケア、ショートステイ、産後ヘルパーの自宅派遣など、さまざまなスタイルで産後サポートを行う産院や自治体が少しずつ増えてきています。身近に利用できるサービスにはどんなものがあるのか、ぜひ出産前に調べておくことがおすすめです。(取材・文/四辻深雪、ひよこクラブ編集部)

■監修/左合治彦先生
国立成育医療研究センター 副院長、周産期・母性診療センター センター長。総勢約50名の母体・胎児・新生児の専門家とともに、ママと赤ちゃんに寄り添った安全で安心な医療をめざしていらっしゃいます。
コアラサポート(産後ケア)について|国立成育医療研究センター

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