【医師監修】赤ちゃんの目やに 受診のタイミングと気になる病気、ホームケアで必要なことをチェック
赤ちゃんは大人よりも目やにが多いものです。こまめにケアしてあげれば、それほど心配する必要はありません。
ただし、目やにの量がひどく多いなど、中には病気のサインであることも。気になる受診の目安や考えられる病気、ホームケアについて「かたおか小児科クリニック」の片岡正先生に教えていただきました。
目やにが出るのはどういうとき?
目やには涙などの目から出る分泌物に、老廃物や空気中のホコリが混ざったものです。乳幼児は涙を鼻のほうへ流す鼻涙管(びるいかん)が狭いため、涙が鼻へ抜けにくく、目頭に「白い目やに」がつくことがよくあります。片目だけのことも、両目一緒に出ることもあります。
寝起きのときには目やにが出るのに、日中に目やにがたまらないのは、まばたきをするときに涙と一緒に流れていくからです。
いずれの場合も量が多くなければ心配ありません。体が大きくなるとともに、生後6ヶ月くらいまでには治るケースがほとんどです。当面は出たらふき取る、を繰り返しましょう。湯で絞ったガーゼや滅菌ガーゼなど清潔なもので、目頭から目じりに向かってやさしくふき取ってあげます。
「黄色くてねばりのある目やに」の場合は感染症にかかったり、ウイルスや細菌による炎症を起こしている疑いがあります。
目やにが気になるときに確認すること&受診のタイミング
赤ちゃんは目やにが出やすいとわかっていても、何日も続くと心配になりますよね。目やにが気になったときは、まず以下の点をチェックしましょう。
充血があるかチェック
目にまつげが入ると、違和感を覚えてしきりに目に手をやったり、目やにがたくさん出ます。また、風邪など感染性の病気で目が充血することもあります。
ほかに気になる症状がないか確認
全身性の感染症で白目の充血や目やにが見られたり、肝臓の病気では白目が黄色っぽくなったりと、目の充血、目やになどから、ほかの部位の病気が発見されることがあります。
症状別 受診のタイミング
赤ちゃんの様子をよくチェックした上で、以下を目安に受診しましょう。
小児科でも小児眼科でもどちらでも大丈夫ですが、目の位置や物を見るときの様子が気になるときは小児眼科を受診しましょう。
■急ぐ必要はなく診察時間内に受診すればいいケース
・目やにが多く、痛みやかゆみがある
・白目の充血がひどい
・黒目が寄っているなど、目の位置が気になる
■時間外でも緊急に受診したほうがいいケース
・目に異物が入り、痛みやかゆみがある
・まぶたが赤く腫(は)れている
目やにから考えられる病気
目やにが出る病気で、とくに赤ちゃんがかかりやすいものについてご説明します。
結膜炎(けつまくえん)
結膜(白目とまぶたの内側を覆う部分)の炎症です。ウイルスや細菌などの微生物や、目をこするなどの刺激が原因で起こり、白目が充血したり目やにが出たりします。
「ウイルス性結膜炎」と「細菌性結膜炎」とがあり、「ウイルス性結膜炎」は高熱やのどの炎症を伴う「流行性角結膜炎」や「アデノウイルス感染症」(咽頭(いんとう)結膜熱、プール熱とも言います)、 白目が充血する「急性出血性結膜炎」が代表的です。「流行性角結膜炎」は角膜に白い膜(偽膜 ぎまく)ができる場合があり、人に感染します。
「細菌性結膜炎」は汚れた手などで目をこすることで起こり、黄色っぽい目やにがたくさん出るのが特徴です。菌の種類によって重症度はさまざまです。
先天性鼻涙管閉塞症(せんてんせいびるいかんへいそくしょう)
鼻涙管とは、涙が鼻を通って鼻腔(びくう)へ流れる通路のことです。通常はママのおなかの中にいる妊娠6〜7ヶ月ごろに開通しますが、生後も鼻涙管が詰まったままの病気が「先天性鼻涙管閉塞症」です。涙が鼻のほうへ流れないので常に涙があふれ、目やにも出ます。また、生後にひどい鼻炎や、重症の結膜炎などが原因で「鼻涙管閉塞症」が起こることもあります。
1歳ごろまでに先天性の90%前後が自然に治ります。自然治癒しない場合は小児眼科でブジーという細いワイヤーを通して鼻涙管を開通させます。
ただし小児眼科は混んでいる場合が多く、診察までに数ヶ月待つことが少なくありません。そのため、6ヶ月を過ぎて自然治癒しない場合には、その時点で小児眼科を受診することをおすすめします。
目やにが続く場合のホームケア
受診したあとや、受診するほどではないけれど目やにが続く場合は、以下の点に気をつけてホームケアをしてあげましょう。
目を清潔に保ちます
手は常に清潔にして、目にばい菌が入らないようにしましょう。 目やには、湯で絞ったガーゼでやさしくふき取ります。
かゆがるときは冷やします
かゆみが強くて目をこすってしまうと、症状が悪化しがちです。冷やした清潔なタオルをまぶたにあてると、かゆみが和らぎます。
つめは切って滑らかにします
かゆみや違和感から赤ちゃんが手を目に持っていった際に、つめで目を傷つけないように、つめは切って滑らかにしておきます。
タオルは別々にしましょう
結膜炎など感染性が高い病気の可能性がある場合は、受診する際にそのことを伝えましょう。
受診して感染する病気だった場合は、家族への感染を防ぐために顔や手をふくタオルは家族と分け、できたら洗濯も別にします。目やには湿ったティッシュでやさしくふき、ふき取ったティッシュはその都度捨ててください。赤ちゃんの目に触ったら、手洗い後に消毒用エタノール入りウエットティッシュで手をふきましょう。
こんな目やにはどうするのが正解? 先輩ママの目やに困った体験
目やにといっても、様子や気になる点は赤ちゃんによっていろいろ。先輩ママの体験談から、どんなケースがあるのか知っておきましょう。
Q 左目に目やに。1ヶ月健診まで待って大丈夫?
生まれて3週間の女の子です。ここ4、5日、毎日左目に目やにが出ます。1ヶ月健診まで様子を見て大丈夫でしょうか。
A
しばらく様子を見て大丈夫です。1ヶ月健診のときも目やにが出ているようなら相談しましょう。健診で鼻涙管の閉塞が疑われるようなら小児眼科を紹介してもらいましょう。健診の前に、目やにをきれいにふき取らないようにしてくださいね。
Q 生まれてすぐから目やにが多い
2ヶ月の女の子のママです。生まれてすぐからよく目やにが出ていたのですが、大丈夫だろうと思い、病院にも行きませんでした。でも、最近少し気になっています。目やにが多い場合は病院に行くべきでしょうか? 行くとしたら小児科と小児眼科、どちらに行けばいいですか?
A
赤ちゃんの目をよく見てあげていますね。生まれて1~2ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、目やにが多く出ます。お湯で絞ったガーゼなどでそっとふき取り、様子を見ていいでしょう。それでもよくならない場合や、極端に目やにが多い場合は、鼻涙管閉塞かもしれません。その場合は小児眼科を受診してください。とくに片方の目だけ目やにが多いなら、この病気の疑いが強くなります。
Q 最近、両目から目やにが出るようになった
生後もうすぐ3ヶ月の男の子です。少しずつですが、短時間だけ外出もしています。最近、両目から目やにが出るようになりました。眼科をすぐ受診したほうがいいでしょうか? 何か菌が目に入ったのでしょうか?
A
もともと赤ちゃんは目やにが出やすく、ある日急に目やにが増えることもあります。目やにをふいたらあと、しばらく普通に過ごせるなら問題はありません。ただし、朝、目が開かないくらい大量の目やにが出る場合は、目のトラブルが考えられますので小児眼科を受診しましょう。
Q 目をこするので目やにがひどくなった!
7ヶ月の息子の母親です。3ヶ月ごろから目やにが気になり、小児科や小児眼科で相談しながら目薬で症状を抑えてきました。目薬をすると数日で目やにが出なくなり、またしばらくすると目やにが出だして目薬をするという状態です。
月齢が進むにつれ、手も器用になり、目をゴシゴシこするようになりました。そのせいで目やにがひどくなり、医師からはこすらせないようにと言われました。目をこすりそうになったら、手をつないで遊んでみたりしているのですが、少し目を離すとすぐ目をこすっています。何かこの行動を抑える方法があれば、教えてください。
A
赤ちゃんの行動を抑えるのは難しいですね。目をこする理由はなんでしょうか。目玉がかゆい、さかさまつげ、まぶたに湿疹(しっしん)などいろいろ考えられます。まずは目をこする原因を明らかにして、それに対する治療をして原因を解決するのがいちばんの方法です。原因の解明や治療がうまくいっていないのに、こすらせるなというのは無理な話です。もう一度小児科によく相談し、小児専門の小児眼科医を紹介してもらいましょう。あるいはまぶた、つまり皮膚に原因があるのなら皮膚科を紹介してもらいましょう。
Q 黄緑色のドロッとした目やにが!
もうすぐ8ヶ月になる女の子がいます。3日前に発熱し、現在は下がりました。が、黄緑色のドロッとした目やにが目の中に入っています。次に私も熱が出て、同じ目やにが出ます。とても心配です。
A
赤ちゃんと同じ症状が出ているということは、赤ちゃんからママに病気がうつったのでしょう。アデノウイルスの感染によって起こる咽頭結膜熱の可能性があります。これは夏に多い病気ですが、一年中流行し、高熱やのどの痛みのほか、目の充血、涙目、目やになどの結膜炎の症状が出ます。
結膜炎の症状があるうちは、タオルや洗面器などは別にして、家族にうつさないようにしましょう。特効薬はないので水分補給をしながら自然に治るのを待ちます。高熱が出たり、結膜炎の症状が強かったりするときは受診が必要です。
赤ちゃんはママの免疫をもらっているため、6ヶ月ころまで比較的病気をしにくいですが、まったくかからないわけではありません。結膜炎などの感染症は、家族など身近な人からうつる場合もあります。家族がかかった場合はとくに注意したいですね。
(取材・文/かきの木のりみ)
初回公開日 2019/03/23
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