背中スイッチの原因&改善法「乳幼児睡眠コンサルタント・愛波文さんのぐっすりねんねROOM#1」
日本人初の米国IMPI公認・乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文さんが、赤ちゃんや子どもの睡眠について、米国NYから情報を発信! 赤ちゃんをベッドに寝かせようとすると起きてしまう“背中スイッチ”に、愛波さんもずいぶん悩まされたそうです。科学的根拠に基づいた改善方法を教えていただきました。
背中スイッチが起こる原因
みなさん、こんにちは! 乳幼児睡眠コンサルタントの愛波文です。
この連載では、赤ちゃんや子どものねんねトラブルについて、科学的根拠に基づいた改善方法をみなさんにお伝えしていきます。少しでも悩みが改善し、ママ・パパたちがいままで以上にハッピーで子育てができるようになることを心から願っております。
今回は多くのママ・パパ(保育者)が悩む「背中スイッチ」の原因と改善方法について詳しくお伝えしていきたいと思います。
抱っこや授乳で寝かしつけをして、寝たと思いベビーベッドや布団に置くと「背中スイッチ」が入り、大泣き!という経験は私もしてきました。
長男が5ケ月のとき、寝不足で意識もうろうとしたまま、3時間バランスボールに乗りながら寝かしつけをしていて、ベビーベッドに置いてみようと試した瞬間にびくっと動き泣き出したときには、私もどうしていいかわからず一緒に泣いたこともありました…。その後は背中スイッチが怖くて、8ケ月ぐらいまで昼寝はずっと抱っこして寝かしていました。
背中スイッチはなぜ起きるのでしょうか?
背中スイッチが起こる原因には2つあります。
①環境の変化
ママ・パパ(保育者)の温かい腕の中から、ひんやりとしたマットレスや布団に置かれると背中スイッチが入り、不安になり起きてしまいます。
②セルフねんね(自力で寝る)の力がついていない
セルフねんねの力がついていない赤ちゃんは、背中スイッチが入り起きてしまう確率が高くなります。寝るときにおっぱい、ミルク、おしゃぶり、抱っこなど寝るためのツールが必要な子は、セルフねんねの力がついていないため、置いた瞬間に背中スイッチが入り、目を開けてその「ツール」がないことに気づき、不安になって泣いてしまいます。
背中スイッチの改善方法
背中スイッチの改善方法を紹介します。以下の5つを意識してみましょう。
①おくるみ(スワドル)
新生児から2~3ケ月の赤ちゃんで、まだモロー反射(びくつき)がある場合は、おくるみ(スワドル)を巻くといいでしょう。寝かしつけのときからおくるみで巻いて、目があいている状態で寝床に置いてみましょう。寝床においた瞬間にモロー反射で起きることを防げます。
②ねんねルーティンを確立
ねんねルーティンがあると、赤ちゃんは次に何が起こるかが予測できるようになるため安心します。毎日同じねんねルーティンを行うことがなにより大切。たとえば、おふろ→ベビーマッサージ→着替え→(歯が生えている場合は歯ブラシ)→授乳→絵本→寝る、など簡単なねんねルーティンでいいのですが、一貫性を持って毎日続けられるものにしましょう。
また、完全に寝落ちをした後にベビーベッドや布団に置いてしまうと、起きてしまったときに寝ていた場所と環境が違うため、不安になって泣いて起きてしまうことがあります。目が開いている状態で寝床に置き、少し一人の時間を与え、泣いている場合は「大丈夫だよ、ママ・パパはここにいるからね」と声かけをします。それでも泣き続ける場合は、手のひらをしっかり使って胸やおなかをトントンしてあげたりしましょう。それでも泣いている場合は、抱っこして落ち着かせましょう。泣きが落ち着いたらまたベビーベッド・布団におろしてみましょう。完全に寝落ちしてしまう前に寝床に置くことで、背中スイッチが入らずスムーズに寝入る確率が上がります。
③活動時間を意識する
月齢にあった活動時間(起きていられる時間)を超えてしまうと、疲れすぎてしまいストレスホルモンのコルチゾールが過剰に分泌してしまい、興奮状態になってしまいます。その興奮状態を見て、ママ・パパはうちの子まだまだ元気だわ! と思ってしまい、もっと活動をさせてしまいます。そうすると、どんどん疲れてしまい、寝ぐずりや夜泣きなどのねんねトラブルの原因につながることがあります。お子さんの月齢にあった活動時間内に、起きている状態で寝床に置いてみることで、自然と寝てくれるようになることがあります。
★月齢別の活動時間の目安&ベストな睡眠時間
出典:ママと赤ちゃんのぐっすり本 画像提供:愛波 文さん
④20分待つ
抱っこで完全に寝落ちした後に寝床に置いている場合、タイミングが合わないと背中スイッチが入る確率が上がります。もし、起きている間に寝床に置けない場合は(私もよくありましたので気持ちはわかります!)、お子さんの睡眠が深くなる15~20分は待ってから置いてみましょう。ただし、これはどうしても起きているときに置けない場合のみ活用してください。寝ついた場所と起きた場所が違うので、ワンサイクルの睡眠(45分~60分)で起きてしまうかもしれませんが、「あ・・・寝ちゃった・・・」というときには20分ほど待ってから置いてみましょう。
⑤最初から寝床においてみる
背中スイッチはセルフねんねの力がついていない可能性が高いため、この際に思いきってセルフねんねのしかたを教えてあげるといいかもしれません。これはママ・パパ(保育者)が一貫性を持って4~5日続ける覚悟が必要ですが、睡眠の土台が整っていたら成功率も高くなっていきます。一貫性を持って続けることで、背中スイッチから解放させる日がくるかもしれません。睡眠の土台に関しては、またの機会に詳しく説明しますね。
長男の背中スイッチは8ケ月ぐらいまで続き、怖くてなかなかうまく寝かしつけができませんでした。その後、乳幼児の睡眠について猛勉強をし、睡眠環境を整え、ねんねルーティンを確立し、活動時間内に布団に置き、隣で座りながら見守りましたところ、なんとそのまま寝るようになったんです。昼寝は布団で添い寝をする日もありました。そして、10ケ月のときに夜のセルフねんねトレーニングを行い、完全に背中スイッチから卒業することができました!
愛波さんが教えてくれた、背中スイッチの5つの改善方法。ぜひ、ためしてみてください。(構成・ひよこクラブ編集部)