モンテッソーリ教育で、数・図形・文字への関心・感覚を磨く
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モンテッソーリ教育を確立したマリア・モンテッソーリは、ローマ大学を卒業したのち、知的障がいを持つ幼児の治療教育に当たりながら「子どもの世界には、大人とは違った感覚、学びがある」ということを発見し、それを広く子どもの教育に生かすようになりました。これは数量、図形、文字への関心・感覚を磨くときにも共通していえるのだそうです。
モンテッソーリ教育では、どのようにして乳幼児期から数量、図形、文字を学んでいくのでしょうか。モンテッソーリ教育を実践している保育園で園長を務め、モンテッソーリ教師の資格を持つ神成美輝先生に聞きました。
家庭でもカンタンにできる! 数量・図形・文字の教え方のコツ
数量、図形、文字の関心・感覚を磨くには、教え方が大切!
モンテッソーリ流の遊びを通して、楽しく学ぶコツを紹介します。
子どもの関心・感覚を磨くには、教え方はもちろんですが、できたときに“認める言葉かけ”も忘れないでください。認めるとは“すごいね!”とほめることではなく、子どもが頑張って取り組んでいる過程をよく見ながら“できたね”“よかったね”“頑張ったね”と共感することです。そうした言葉かけが「もっと数を数えたい!」「ひらがなが読めるようになりたい!」という学びの意欲を育てます。
数量の教え方は?
1・2歳代は、たとえばおふろの中で「1・2・3…」とママ・パパが数えて、数に親しむことからスタートしましょう。ただし「1とは何か?」「2とは何か?」ということはまだ理解できないので、あせらないで大丈夫。
「1とは何か?」「2とは何か?」という数の概念が理解できるようになる年齢は、3歳ごろが目安です。3歳ごろになったら「みかんが3個ね。1・2・3」と、実際に手を使いながら数えてみてください。子どもは手を使いながら数えることで、より理解を深めます。
また数の概念がわかってきたら、スーパーマーケットなどに行ったとき「〇〇を3個取ってきて、かごに入れて」と頼んでみるのもおすすめです。子どもはスーパーマーケットなどで本物を手にすると、ワクワク感が増し“学びたい!”という意欲がより高まります。
図形の教え方は?
図形に関心を示すには、パズルや型はめがおすすめ! 1歳代になったら、2~3ピースのパズルなどにチャレンジを! 2歳代は10ピースぐらい、3歳代は20~30ピースが目安です。新しいパズルや型はめを買うときは、子どもがとことん遊んで飽きてからにしましょう。ママ・パパからしたら「新しいパズルにどんどんチャレンジしたほうがよさそう」と思うかも知れませんが、やり込むことの楽しさに気づかせることのほうが大切。子どもは同じパズルを何回もやることで「昨日より、早くできるかな?」と挑戦したり、「いつもリスから作っているけれど、今日はウサギから作ってみよう」など、やり方を変えたりして新たな発見をします。
文字の教え方は?
文字に興味を示すのは3歳ごろからです。初めは文字を書いてもただの線に見えたり、鏡文字だったり、書き順を間違えたりもしますが、どんな文字でも否定せずに認めてあげて。そうしたかかわり方が、子どもの文字への興味を引き出します。
また部屋にあいうえお表を貼って、自然と文字に興味を持つような環境をつくるのもいいですね。あいうえお表を見ながら「まみちゃんの“ま”はどこかな?」と子どもの名前の文字を探すところから始めると、文字への興味が引き出しやすいでしょう。少し文字が読めるようになったら、お散歩しながら看板を見て文字探しをするなど、遊びを通して読める文字を増やすといいでしょう。
ママ・パパがお手本を見せながら数を数えたり、ひらがなを書いたりするときは、ゆっくりお手本を示すことがポイントなんだそう。子どもにとっては、大人の動きはとても速く、まるでDVDの早送りを見ているようなものなのだとか。速い動きで教えられても、まったく理解できないことを知っておきましょう。またお手本を示すときは、言葉で同時に説明しないことも大切なんだそうです。子どもは耳と目を同時に使うことは難しいので、お手本を見せたいときは、見せることだけに集中させるといいとか。何事も子ども目線で考えるとよさそうです。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/神成美輝先生
子育てアドバイザー、保育士、幼稚園教諭2種。モンテッソーリ教育を実践している保育園で保育士、園長として勤務し、2012年モンテッソーリ教師の資格を取得。2人の男の子のママでもあります。著書に『モンテッソーリ流“自分でできる子”の育て方』『才能がぐんぐん伸びる男の子の育て方』(ともに日本実業出版社)など。