【医師監修】指を切った、物が刺さったなど切り傷・擦り傷の事故 小さい子どもがケガをしたときの応急処置&予防対策
子どもの安全を守るのは、ママ・パパの役割。ちょっとした油断が大きなケガや命を失うことにつながってしまうことがあります。
ここでは赤ちゃんのよくある事故・ケガの中で、切り傷・擦り傷がどんなケースで起こるか、万が一起こった時の応急処置の方法を覚えておくといいでしょう。
また赤ちゃんがケガをしないように、事前に生活環境を整えたり、事故防止策を立てておくことが大切です。
包丁やはさみなどをいたずらして傷を負うことも
小さな子どもはまだ体のバランスをとるのが下手なので、すぐに転倒して切り傷やすり傷をつくります。
家の中では、なるべく靴下をはかせない、床の段差をなくす、ラグなどすべりやすいものは敷かない、クッションや座ぶとんなどつまずきやすいものは置かない、テーブルの角にはクッション性のある安全グッズをつけるなどの予防をしましょう。
包丁やはさみ、カッターなどでいたずらをして切ってしまうこともあります。
これらの危険なものは、使ったらすぐにしまい、子どもの手が届かない場所に保管しておきましょう。
傷口を消毒しない治療法が主流に
以前は「消毒して乾かして、かさぶたをつくって治す」治療法が中心でしたが、現在は「消毒せずに傷から出る滲出液で治す」治療法が主流です。
消毒薬は細菌を殺しますが、同時に傷を治そうとしている細胞をも傷めてしまい、結果として傷の治りを遅くしてしまうこともあるためです。
切り傷・すり傷 主な症状
・出血
切り傷・すり傷 起きやすい月齢・年齢・季節
生後6ヶ月~
通年(春・夏・秋・冬)
切り傷・すり傷が起こりやすいケース
赤ちゃんの切り傷・すり傷のケガを起こりやすいケースをご紹介します。事故防止の参考にしてください。
転んですりむく
1歳を過ぎると、家の中や、道路、公園などで歩いているときに何かにつまずいてバランスをくずして、ひざ、手、おでこなどにすり傷をつくることが増えます。
包丁やはさみなどの刃物で切る
包丁やはさみ、カッターでいたずらしたり、大人のまねをして使おうとして、手を切ってしまうことがあります。危険なものは子どもの手の届かない場所にきちんと保管して、事故を防止しましょう。
家具などにぶつける
テーブルなどの角に頭をぶつけて、頭やおでこを切ってしまうこともあります。家具の角にはクッション性のある事故防止グッズをつけるなどしておきましょう。
ねこや犬など動物にひっかかれる
ペットを触って、ひっかかれたりかまれたりすることがあります。ねこや犬などの動物のひっかき傷やかみ傷は感染症の原因になることがあるので、必ず受診します。
破傷風を防ぐために予防接種を受けましょう
破傷風は傷口から感染して筋肉の硬直や呼吸まひを起こす病気です。予防にはDPT-IPV(4種混合ワクチン)を受けることが有効です。
DPT-IPVは生後3ヶ月~1歳までに3回、3回目の接種後1年~1年半後に追加接種を行います。
とくに追加接種は忘れやすいので注意してください。受けもれている場合はかかりつけ医に相談しましょう。
ケガをしたときは傷口を清潔にする前に圧迫止血します
けがをしたら、子どもの様子をよく観察します。
意識があるか、どこをけがしているか、出血の程度はどのくらいかを確認します。
傷口は洗わずに、清潔な布で覆い、手のひらで圧迫して止血します(圧迫止血)。
すぐに止まれば、傷口のケアをして様子を見ていいでしょう。
大量に出血したり、意識がなかったり、けいれんを起こしているときは、すぐに救急車を呼びます。
切り傷・擦り傷の事故で119番・すぐに救急車を呼ぶ場合の判断基準
【1】傷が深い、または範囲が広くて出血が止まらない(出血量が多い)
【2】意識がない
【3】けいれんしている
切り傷・擦り傷の事故できるだけ速やかに病院行く場合
【1】止血したが傷が深い、または範囲が広い
【2】耳、口の中の奥半分やのどの奥から出血している
【3】傷口に異物が入っている
【4】動物にかまれたり、ひっかかれたりした
【5】古いくぎなどを刺した
NG!切った・刺さったときにやってはいけないこと
赤ちゃんや小さい子どもの切り傷ができたときにやってはいけないことを覚えておきましょう。
【×】ヨモギやドクダミを塗るなどの民間療法を試す
ヨモギなどの民間療法は効果がわからない上に、傷口に異物や細菌を付着させ、感染の原因になることがあります。
【×】刺さっているとがったものを抜いてしまう
刃物など患部に刺さっているものを抜くと、大量出血を引き起こすことがあります。そのままにして、すぐに救急車を呼びます。
【×】止血前に傷口を洗う
出血がひどいとき、傷口を水で洗うと出血量が増加します。まず止血して、止まってから水で洗い流します。
赤ちゃんが切った・刺さったときの応急処置
指を切ったり、刺さったり、子どもの事故のとき、応急処置の方法を覚えておきましょう。
【1】傷口を圧迫止血をします
患部に清潔なガーゼやハンカチをあて、手のひらでぎゅっと押さえて圧迫します。出血の様子を見るときも、あてている布を患部からはずさないようにします。血液がにじんできたら、上から新しい布をのせます。
20~30分圧迫止血しても止まらない場合
手足の場合、圧迫止血を行いながら、患部よりも心臓に近い位置の動脈部分を帯状の布で縛って止血します。15~20分たったら、縛っている布を一度緩めて、血を通わせます。
【2】患部を心臓より高い位置に上げます
出血している部位を心臓よりも高い位置に上げると、血が止まりやすくなります。患部が手なら上げさせます。
寝かせている場合は、クッションなどで患部の高さを調節し、圧迫止血を行いましょう。
口の中の止血は?
口の前半分から出血している場合は、顔を前に傾けて血を吐き出させ、清潔なガーゼなどで圧迫止血をします。奥半分から出血しているときは、すぐに受診します。
とげが刺さったときは?
とげが刺さったときは、市販の消毒薬で消毒した毛抜きで、抜いたあと患部を消毒します。とげが抜きにくい場合や、鉛筆の芯、鉄くぎなどが刺さった場合は、ママ・パパが抜かずにすぐに病院へ行きます。
今日からできる予防&対策をチェック!
□フォークや歯ブラシなど、長いもの、とがったものを持って歩かせない
□はさみ、包丁、カッターなど、触ると危険なものは手の届かない場所に保管する
□テーブルや机の角にはクッションカバーをつける
□車のドアや窓の開閉を子どもにさせない
□転びやすいので敷物を部屋の一部分だけに敷かない(敷物を敷く場合は部屋全体に)
□滑るので、室内では靴下をはかせない
□動物と遊ばせるときは、必ず大人が付き添う
●イラスト/がみ
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/05/19
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