【医師監修】子どもが転んで頭を打った! 赤ちゃんの転落・転倒事故が起きたときの応急処置と事故予防対策
子どもの安全を守るのは、ママ・パパの役割。ちょっとした油断が大きなケガや命を失うことにつながってしまうことがあります。
ここでは赤ちゃんのよくある事故・ケガの中で、「転倒・転落」がどんなケースで起こるか、万が一起こった時の応急処置の方法を覚えておくといいでしょう。
また赤ちゃんが転ばないように、事前に生活環境を整えたり、事故防止策を立てておくことが大切です。
転倒・転落は体のバランスが悪い乳幼児に多い事故です
寝返りしてベッドやソファから転落する、不安定なおすわりで頭を床やテーブルの角にぶつける、つかまり立ちして支えから手が離れて転倒する、歩き始めてからは床や道路で転んだり、公園の遊具から落ちるなど、高いところからの転落が増えます。
ベビーカーやショッピングカート、階段からの転落も月齢を問わず多くなっています。
体のわりに頭が大きい乳幼児は、バランスが悪く、体もしっかりしていないために、よく転んだり落ちたりします。
おすわりやはいはい、つかまり立ちを始めたら、床は整理整頓し、つまずいたり、すべるようなものを置かない、家具の角を事故防止のグッズでガードするなどして事故を未然に防ぎましょう。
また、おふろ場ではすべり止めのマットを使用する、階段には柵をする、ソファやいすに上がらせないようにする、公園の遊具は大人がそばについて遊ばせる、ベランダには踏み台になるものを置かないなどの予防が大切です。
内出血を起こしたり関節や骨に損傷を負うことも
転落・転倒をすると、軽いすり傷や切り傷ですむこともありますが、内出血、脱臼、打撲、骨折などのケガをすることがあり、注意が必要です。
●内出血
家具などに体をぶつけたときや、転んで手足を打ったときなどに、皮膚の下の血管が破れて出血し、血がたまることがあります。
手足の軽い内出血は心配ありませんが、ベビーカーや自転車から転落したり、公園の遊具などから落ちて頭を打って頭蓋内出血を起こすと危険です。ママ・パパは赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。
●脱臼
関節の骨がずれた状態です。肩やひじ、指の関節に多く見られ、ソファや公園の遊具などから落ちて肩やひざを強く打ったり、転倒などで手をついたときに起こることがあります。
脱臼すると、ひどく痛がる、腕や脚がブラブラしている、いつもどおり手足が動かせない、関節の動きが大きく変化するなどの症状が起こります。
●打撲
頭や手足を打ったとき、皮膚に傷がなくても皮下出血により腫れてコブができたり、皮膚の色が変わることがあります。
適切な処置をすればさほど心配はいりませんが、頭部、胸部、腹部、背中などの打撲は、意識がない、けいれんを起こすなど、救急車を呼ばなければならないほど重症なこともあります。
●骨折
転んだり、何かにぶつかったり、高いところから落ちたりしたときに打ちどころが悪いと骨折してしまうことがあります。
赤ちゃん・子どもが転倒・転落したときの症状
・内出血
・脱臼
・打撲
・骨折
・すり傷
・切り傷
転倒・転落 起きやすい月齢・年齢と時期
生後0ヶ月~
通年(春・夏・秋・冬)
赤ちゃん・子どもの転落・転倒が起こりやすいケース
赤ちゃんや小さい子どもの転倒・転落事故が、どんなケースで起こるか解説します。
ソファや椅子などの家具から転落
いすやテーブル、ソファなどの家具に上がって遊んでいるうちに誤って転落することも。赤ちゃんをソファに寝かせていて、寝返りして落ちることもよくあります。
浴室で滑ったり、体がぬれたまま走って転ぶ
泡がついて滑りやすい浴室は、勢いよく転んで頭を打ちやすい場所です。おふろ上がりに体をよくふかずに走って、廊下などで滑ることもあります。
遊具にぶつかる、遊具から落ちる
公園のブランコやすべり台から落ちたり、砂場のへりなどから落ちて転んだりします。大きな子どもとぶつかって転倒することもよくあります。公園内だからといって目を離さないように。
ベビーカーからすり抜けて落ちる
散歩中に、ベビーカーのベルトをすり抜けて立ち上がり、地面に転落する事故が多くあります。また安全ベルトをしなかったために、赤ちゃんが前に滑り落ちることもあります。
スーパーに備えつけてあるカートから落ちる事故も多発しています。
見た目が大丈夫でも内出血や骨折をしていることも
こぶや腫れはすぐに冷やし安静にします。見た目ではわからなくても、頭や内臓が損傷して内出血を起こしたり、骨折していることもあるので数日間は注意が必要です。
顔色や痛み、腫れの様子など異常に気づいたらすぐに受診します。
事故直後にけいれん、嘔吐、意識消失などの症状があるときは、頭蓋骨骨折や頭蓋内出血の疑いがあります。すぐに救急車を呼びましょう。
転倒・転落事故で119番・すぐに救急車を呼ぶ場合の判断基準
【1】意識がない
【2】けいれんや嘔吐が続く
【3】目の焦点が定まらず、ボーッとして反応が鈍い
【4】目のまわりや耳の後ろに出血斑がある
【5】鼻や耳から透明の液体が出ている
【6】手足が変な角度に曲がっている
できるだけ速やかに病院へ 受診・治療が必要な場合
【1】顔色が青ざめ、腫れがひどくなる
【2】胸を打ったあと、せき込んだり、息苦しそう
【3】血痰・血尿が出る
【4】痛みが激しくて、呼吸がしっかりできない
【5】嘔吐が2回以上あった
NG!落ちた・転んだ・体を打ったときにやってはいけないこと
子どもや赤ちゃんが転倒・転落をしたときに、やってはいけないことを覚えておきましょう。
【×】頭を打ったとき「泣けば大丈夫」と思う
頭を打ったときに「泣けば大丈夫」というのは間違いです。小さい血管が破れていると、あとで症状が出てくることがあります。数日間は安静にして様子を見ましょう。
【×】こぶや腫れのある部位を温める
温めると血流がよくなり、かえって腫れがひどくなります。腫れている場所はおふろで温めないように注意しましょう。
転んで頭を打った!赤ちゃん・子どもが転倒・転落したときの応急処置
子どもや赤ちゃんが転倒・転落したときの、応急処置の方法を覚えておきましょう。
【1】打った部位を冷やします
ビニール袋に氷を入れて氷のうを作ります。患部にタオルをあてて、その上に氷のうを置いて冷やしましょう。保冷剤にタオルを巻いて冷やす方法もあります。または、ハンカチやガーゼを冷水に浸して絞り、患部にあてて冷やします。冷やす目安は20~30分です。それで腫れが引かなければ、それ以上冷やしても効果がありません。冷やしすぎに注意しましょう。
【2】骨折しているようなら固定します
手足を動かすと痛がる場合は骨折が疑われます。患部を挟み、上下2つの関節にわたるように添え木をあてて、バンダナや包帯などで縛って固定します。添え木の代用として、板、段ボール、丸めた新聞紙などが使えます。指の添え木には割箸が使えます。
頭を打ったときの応急処置は?
頭を打って意識がないときの応急処置は?
意識を失うと、舌のつけ根が落ち込んで空気の通り道(気道)をふさいでしまいます。
軽くおでこを押さえて頭を後方に傾け、指で下あごを軽く押し上げるようにして気道確保を行います。
頭を打って吐いた場合の応急処置は?
あお向けの姿勢では、吐いたものがのどに詰まりやすいため、誤嚥して窒息することがあります。吐いたものが口から出やすいように、そっと頭を横向きにして寝かせます。嘔吐が続くときは救急車を呼びます。
転倒・転落事故を防ぐ予防&対策をチェック!
□家の階段は上下にフェンスをつけ、滑り止めのシールを貼る
□敷居などの段差にはテープなどでスロープをつけて段差をなくす
□床に新聞紙や電気コードを放置しない
□ベランダには踏み台になるものを置かない。柵のすき間から落ちないように工夫する
□自転車に乗せるときは子ども用ヘルメットをかぶらせる。自転車に子どもを乗せたままその場を離れない
●イラスト/がみ
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/05/18
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