腰痛は「気象の変化」が原因かも?!
雨の季節は腰が痛くなる。よく聞く話ですよね。天候によって出てくるような症状のことを気象病といいます。気象病は気温、湿度、気圧などが関係し、腰などの関節の痛みは気圧が下がり、湿度が上がったときに感じやすくなる傾向があるそうです。
今回は主に腰に焦点を当て、痛みを和らげるツボを鍼灸マッサージ師の山田光敏さんに紹介してもらいました。
山田 光敏(やまだ みつとし)
鍼灸マッサージ師
東京ボディセラピストサロン院長。
産後の骨盤ケアを提唱し、アメリカやアジア6か国で公演活動を行う。
『産後骨盤ダイエット』『ベビードレナージュ』など50冊以上の本を執筆している。
日本解剖学会、日本人間工学会などの正会員。
内耳には気圧センサーがある
気象データを見ていると、気圧は「夏は低め」で「冬は高め」になる傾向があります。
気象庁の月別データを見ると、今年の1月の平均気圧が1013.4hPaに対し、6月は22日までの平均気圧は1004.8hPaしかありませんでした。
湿度はどうかというと1月は51%に対して6月は78%。
このように梅雨の時期は気圧の低下と湿度の上昇が同時に起きている時期なのです。 実はこれが間接が痛みを感じややすい原因でもあります。
まず人の体の中で気圧を感じ取るところから説明します。
耳の奥にある鼓膜、さらにその奥に内耳と呼ばれる部分があります。この内耳が気圧の変化などを感じ取って脳に伝達しています。内耳が、気圧の変化に敏感になりすぎると、交感神経が刺戟され痛みを感じやすくなるのです。私は年に数回、気圧による神経痛の治験をおこなうのですが、痛いところを治療する前に、耳の上あたりを軽くマッサージをしてから、痛みを感じる場所のマッサージをすると効果的に痛みが解消することがわかりました。内耳が敏感な人は内耳が緊張しているとも言えます。そういう人は耳の上あたりが緊張を起こしている場合が多いのです。
耳の上をマッサージする
先ほど、内耳が敏感だと耳の上あたりが緊張を起こす、と書きましたが、この耳の上周辺はいろんなツボが集まっています。そのツボを利用して、さまざまな症状が改善する場合があります。ツボの刺激方法は中指の腹で軽く円を描くようにゆっくりとマッサージをするのですが、「これでも効果があるの?」と感じる程度の軽さで十分です。
椅子に座り、夕方前とおやすみ前の一日2回、1カ所につき30秒ほどおこないましょう。
◯内耳の緊張を緩和するためのツボを使う
頷懕(がんえん)
こめかみから指1本ほど上に上がったところにある少し凹んだところにあります。
一般には偏頭痛やめまいがある時に使われています。
◯痛みに関する敏感な状況を緩和させる
頭の後ろにある出っ張り(大後頭隆起)の中央のすぐ上の凹んだ場所から外側に指3本離れたところにあります。
頷懕(がんえん)と同様、頭痛やめまいに使いますが、ストレスを緩和するなどの効果もあります。
◯交感神経の緊張を緩和する
率谷(そっこく)
耳たぶの真上から指3本上、そこから指1本前の少し凹んだところにあります。
吐き気や頭痛の特効穴として知られていますが、神経がたかぶっている時にも効果を発揮
します。
腰の痛みを緩和するツボ
腰痛に使われるツボはたくさんありますが、全てが気象病の腰痛に効果があるわけではありません。気象病の腰痛は、腰回りの動きが悪く感じるような痛み、冷えを感じるような痛み、そして鈍い痛みに分けられます。多くの方は1つだけでなく複合的に痛みを感じているので、今回紹介する3種類のツボをセットでおこなうことがおすすめです。
親指の腹を使い、痛みを感じない程度にじっくりとマッサージするようにしてください。時間帯やマッサージの時間は耳の上のマッサージと同様です。
環跳(かんちょう)
立ったときにできるお尻のえくぼの場所です。立った状態でマッサージしましょう。
腰の痛みだけでなく、股関節や腰といった体の硬さを伴うような腰痛の時に効果を期待できます。
志室(ししつ)
ウエストラインの高さで背骨から指4本外側の凹んだところにあります。ここも立った状態でマッサージしましょう。
体がだるく腰に冷えを感じるような腰痛の特効穴で、夜にトイレで目が覚めてしまう時にも効果を期待できます。
俠谿(きょうけい)
足の人差し指の付け根の親指側にあります。椅子に座り、足を太ももに乗せてマッサージをしましょう。
腰に感じる鈍い痛みや重い感じを解消する時に効果を期待できるツボです。
生活リズムなども気をつけるとより効果的です
この時期は雨が多いことから体を動かす時間が短くなる傾向がみられますが、これも腰痛の原因となります。運動不足が血液循環を悪くし凝りから痛みが生じることがあるからです。適度に運動をして、早めの就寝。そしてバランスの取れた食事は、全ての症状改善の基本です。私のような治療院の門を叩くのも良いですが、その前に、生活を見直し、今回紹介したツボマッサージをおこなうだけで、症状の緩和ができるケースもあります。