国立小学校のお受験は、家庭学習だけで合格できる!?
小学校受験はまだまだ少数派ですが、近年、増加傾向にあるようです。私立小学校は、幼児教室に通うのが主流となっていますが、国公立の小学校受験は、家庭学習だけで合格する子どももいるのだとか。本当に、幼児教室に通わずに合格できるでしょうか? 先輩ママたちの体験談と小学校受験に詳しい石井至さんに話を聞いてみました。
国立小学校は、家庭学習だけで受験するのは無謀?
口コミサイト「ウィメンズパーク」にこんなお悩みが寄せられました。
「都内国立附属小学校を受験させようとしています。倍率もそれなりにある有名校です。模試や幼児教室には一切参加していません。家庭学習のみのぶっつけ本番で、選抜試験に合格することはできるのでしょうか?」
国立小学校受験は、幼児教室へ行かなくても合格できる子どももいるようですが、ホントのところは……? 実際に受験を経験したママたちのコメントを集めてみました。
我が家も塾なし受験ですが、かなりきついです
「実は我が家は都内ではありませんが、首都圏政令市の私学にお教室なしで合格しました。準備を始めたのは年長の夏休みから。夏休み中から毎日、4、5時間親子で対策しました。受験に向けて動きだしたのは遅かったですが、受験対策用のプリントは3歳からやっていました。それでも、かなりきつかったです」
塾なしで合格した子もいます
「塾でしっかりと教えこまれた子より、自然体で、子どもらしい子が合格する学校もあります。実際に知り合いで、国立に塾無しで合格された方もいましたよ」
抽選の突破が大変
「私の周りで国立に合格している子は、きっちり年少や年中から対策をされてきた方ですね。ただ、とにかく抽選を突破するのが大変です」
家庭学習だけの場合は、親が出題傾向をしっかりリサーチ!
「家庭学習だけで受験を乗り切ることは可能。ただし合格するには親のリサーチ力は必須」というのは、小学校受験に詳しい石井至さん。
家庭学習だけで、受験を乗り切るためのポイントをうかがいました。
「私立小学校で教室に通わずに合格する人はごく少数で、私立小学校受験には幼児教室に通うのがほとんどとなっています。国立小学校は、家庭学習だけでも合格するお子さんはたくさんいます。ただ、筑波大学附属小学校など試験の内容が高度な学校は、国立小学校であっても幼児教室で対策しないと、なかなか合格するのは難しいでしょう。
家庭学習だけで合格するためのポイントは、過去の問題の出題傾向を保護者がしっかりとリサーチしていることです。一部の子どもを除いて、子どもは初めて取り組む問題を上手に答えることはできません。練習し、慣れることでできるようになります。
つまり、試験会場で初めてやる状況にならないように、ご家庭で事前に準備をすることが大切ということです。家庭では集団テストの練習はできませんので、もしお子さんがすごくシャイでほかの子どもがいると調子がでないというような時は、模擬試験を何回か受けることをおすすめします。
一部の国立小学校は、家庭でスマホ・テレビなどのゲームをするお子さんや、テレビをよく見るお子さんを敬遠する傾向があります。小さい頃から、テレビは見せない(あるいは、限定的に見せる)、ゲームには触れさせないなどの子育ての工夫が必要です。
また、入学試験は、先生のお話を正確に聞き取り、それを行動にうつせるかにつきますので、言語能力、とりわけ聞き取り能力がもっとも必要な能力になります。言語能力を養う端的な方法は、絵本の読み聞かせです。小さい頃から絵本の読み聞かせをすることが非常に大切です。そして、規則正しい生活、自立(着衣脱衣など、自分のことは自分でする)も必須です」(石井至さん)
「小学校受験は、親のリサーチ力とサポートが問われる受験のようですね。ペーパーテストの勉強や集団テストの練習だけでなく、スマホやテレビなど習慣や、普段の生活習慣も重要なようです。受験を検討中のかたは参考にしてみてください。」 (文・酒井範子)
石井至さん
アンテナ・プレスクール校長。外資系金融機関勤務等を経て、石井兄弟社を設立。息子の小学校受験を通じてお受験塾業界の前近代性に気づき、ビジネスとして参入。運営する幼児教室「アンテナ・プレスクール」は、名門校への高い合格率を誇る。著書に『改訂版 慶應幼稚舎 横浜初等部 早実 合格する願書の書き方 』『慶應幼稚舎と慶應横浜初等部』(朝日新書)『慶応幼稚舎』(幻冬舎新書)などがある。
■文中のコメントは、『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです