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【専門家が発信】女性=手料理=愛情 という概念は世界では幻? 日本の女性はがんばりすぎ

娘が私にたくさんの幸福
gpointstudio/gettyimages

近年、女性の社会進出が当たり前になり、働くママも増え続ける中、社会全体で“働き方改革”を進める動きもありますが、まだまだ家事や育児の多くを女性が担っているという現状は否めません。
そんな中で女性たちを苦しめるのが「〇〇しなきゃ」という価値観。
そこで今回は、1児のママでありながら社会学を専門として子育て世帯の調査をする、明治大学商学部教授・藤田結子先生に話を聞きました。

日本人の価値観が世界のスタンダードではない!?

――藤田先生の著書によると、日本は「〇〇するべき」に縛られていて、大変な思いをしているママが多いのかな…という印象を受けました。

藤田先生 私の研究で世界の家事事情を調査していると、現在日本の母親は家事や育児をすごくていねいにやっているということがわかりました。
年々家事時間は減ってきてはいるものの、食事作りや掃除など何でもていねいにやっていて、もっと手を抜いていいのにって感じます。

――世界的には家事に対する姿勢はどのようなものなのでしょうか?

藤田先生 料理の話でいうと、日本では料理が得意なことをアピールする女性が多いですが、インドの裕福な女性は料理ができないことをアピールするという文化もあります。これは「料理するのは使用人だから」という考え方からなんですが、それがいいか悪いかではなく、「料理ができないといけない」というのは、スタンダードではないんだということを知ってもらいたいです。
アメリカでは、ベビーフードを利用する人は多くいますし、夕食も冷凍食品をレンジでチンするだけという家庭も多くあります。

――確かに、アジアを見ても外食生活が主流の国もありますよね。

藤田先生 “女性=手料理=愛情”といった価値観も、日本では違和感を持たない人も多いかもしれませんが、世界のいつでもどこでも当たり前ではありません。
本当に料理が好きでやっているならOKですが、“手料理=愛情”という概念にとらわれて無理してやっているなら、それは本質ではないからやらなくていいことだと思うんです。

――手料理じゃないから愛情がないというわけですもんね。

藤田先生 洗濯物に関しても、たたむ時間を捻出(ねんしゅつ)するのが大変なときは干しっぱなしでもいいんですよ。
ある住宅メーカーの人に資料を見せてもらったらことがありますが、お部屋に洗濯物を干しっぱなしでその中で食事している家庭もたくさんありました。

夫と家事を分担して、「何で洗濯物たたんでないの!」とかけんかになるよりよっぽどいいと思いませんか?

――「できるときにやればいい」って思うと気持ちに余裕ができますもんね。

藤田先生 今の子育て世代は、一時期主流だった専業主婦に育てられた世代ですから、想像上の“ちゃんとしている”理想があるのかもしれません。

もし全部きちっとやりたいなら、全部一人でする必要はなく、家事代行サービス、食事の宅配などのさまざまなサービスを利用して、もっと人にやってもらうのがいいですよ。

――家事の外注はしたいと思いつつも見えない壁のようなものが存在しているように感じます。

藤田先生 日本人はほかの先進国に比べても、人にやってもらうことに罪悪感を抱く人が多いのですが、今は時代が変わってきています。
“専業主婦だったお母さん”がやっていたことを自分でするのは無理に近いですよ。
欧米のキャリア女性はよく家事の外注サービスを使っています。

たとえ今の自分の収入のほとんどを家事の外注に使ったとしても、今仕事を辞めずにいれば子育てが落ち着いたころには、キャリアを継続してきたことでもっと稼げるようになっているでしょうし、長い目で見れば必要経費だと思います。

――少しずつですが、日本でも家事を外注する文化も広まりつつあるので、ゆくゆくはこれがスタンダードになってほしいです。

藤田先生 「〇〇しなきゃ」という固定概念にとらわれないためにも、“どうしたらできるか”ではなく“どうしたらやらなくていいか”を考えてみてください。

しない選択をしたり、家事を外注したりすることで、時間に余裕ができて子どもやパートナーと向き合う時間が増えたら、それは家族にとってプラスになるのではないでしょうか。

やったほうがいいけど、やらなくていいこともたくさんある

――先生は実際に「〇〇するべき」にとらわれていると感じたご経験はないのでしょうか?

藤田先生 今はないですね。でも、もし本を読んだり、研究をしたりしていなかったら、そういうふうに感じていたと思います。

出産直後には病院でいろいろな指導があって、子どもが小さいころはそこで言われたとおりに離乳食も手作りの和風だしから作ったりしていました。
そのときは必死でやっていましたが、後から考えたら「あれ? そこまで必死になってしなくてよかったな」って。

――確かに母親学級や乳幼児相談などで指導されることは理想的なものが多いという声もあります。

藤田先生 健康面でいえば、できるならもちろんやったほうがいいですよ。
でも、健康にいいからって毎日必ずジョギングしたりヨガしたりするわけでもないし、みんなほどほどにやってますよね。

やったほうがいいけどやらなくても子どもはちゃんと育つってことはたくさんあるので、そんなことで追い詰められる必要はないと思っています。

――それぞれのライフスタイルに合った取捨選択をすることが大切ですね。

藤田先生 そもそも、「自分はちゃんと家事育児ができていない」なんて悩むのはママだけ。そんなふうに悩んでいるパパは非常に少ないと思います。

時々、忙しすぎて体調が悪くても病院に行けなくてほうっておいたら倒れてしまったママの話とか聞きますが、そんなことになったら元も子もないじゃないですか。
よっぽど体に悪いものを食べ続けたりしなければ、ちょっとお部屋が散らかっていても大丈夫。
家族のためにも、まずは自分をねぎらってくださいね。(取材・文/大月真衣子、ひよこクラブ編集部)

もし、「〇〇するべき」という考えに苦しんでいるママがいたら、「みんながやっているから」ではなく、「自分にとって、家族にとって本当に必要なことは何か」ということをもう一度考えてみてはいかがでしょうか。


■監修/藤田結子先生
(明治大学商学部教授)

東京都生まれ。慶応義塾大学を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。16年10月から現職。専門は社会学。調査現場に長期間、参加して観察やインタビューを行う研究法を用いて、日本や海外の文化、メディア、若者、ジェンダーなどの研究をしている。著書に「ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常」(毎日新聞出版)などがある。

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