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親子ともに、コロナ禍の呪縛を解いて! 行き詰まったときは専門医に相談を【専門医】

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子育てを心配する母親
●写真はイメージです
yamasan/gettyimages

長引く、コロナ生活で大人も子どももメンタル不調を感じやすくなっています。またコロナ禍においてマスク生活がすっかり定着し、マスクが不要な場所でも「はずせない」という大人や子どももいます。国立成育医療研究センター副院長で、こころの診療部統括部長を務める小枝達也先生は「コロナ禍の呪縛から心を解放する時期に来ている」と言います。

「子どもの心の診療ネットワーク事業」で災害後の子どもの心のケアを実施

国立成育医療研究センターでは、2008年度に、厚生労働省のモデル事業として「子どもの心の診療拠点病院機構推進事業」をスタート。地域における子どもの心の診療の中核となる拠点病院の整備とネットワーク作りに着手しました。

「このモデル事業が始まった背景は、発達障害、不登校、虐待など子どもの心の問題が増えたためです。
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、災害時の子どもの心のケアが急務となり、モデル事業から本格的な事業に切り替わりました。名称も“子どもの心の診療ネットワーク事業”に変わりました。

コロナ禍において、心のバランスを崩す子どもたちが増えています。国立成育医療研究センターが、2021年12月に二つの調査を実施したところ小学5~6年生の9~13%、中学生の13~22%に中等度以上の抑うつ症状が見られました(回答数/郵送調査 子ども2418人、保護者2451人。ウェブ調査 子ども487人、保護者3282人)。

コロナ禍は、災害時のように一気に強い恐怖感やストレスが襲うわけではありませんが、先行きが見えず、ずっと続く窮屈な生活が、子どもの心に与える影響は計りしれません」(小枝先生)

家族との外食中でも、マスクをはずさない子も

2022年11月、文科省は給食の時間は適切な感染対策をとれば会話は可能、と通知を出しましたが、いまだに黙食を続けている小学校は多いようです。

「給食の黙食だけではなく、感染リスクがない場所でも、マスクをはずせない子は多いです。

たとえば親子で外食に行って、親子だけの席なのに、マスクをはずさないで食事をする子もいます。マスクを少しずらして一口食べて、すぐにマスクをするということを繰り返すそうです。

子どもたちは本当に真面目で、大人の言うことを守ります。
でも、さすがにそろそろそうしたコロナの呪縛から解放してあげてほしいと思います。
感染リスクのない場所でマスクをはずさない子には“ママやパパと、おうちではマスクをつけないで話しているでしょ? だからここ(外食先)でも、ママやパパとなら、マスクをはずしても大丈夫だよ”と、なぜマスクが必要ないかをていねいに、わかりやすく説明してあげてください。
小さい子ほど、大人の言うことは素直に聞いてくれます。子どもに、マスクをつけなくてもいい場面を教えてあげられるのはママやパパです」(小枝先生)

親のメンタル不調は、長期化すれば子どもの発育・発達に影響が

小枝先生は、乳幼児健診でもママたちから新型コロナの流行で、生活が窮屈になったという話を聞くことがあるそうです。

「ママたちからよく聞くのは“ママ友だちと気軽に会って、子育ての悩みや大変さを話せなくなった”ということです。育児サークルに入って楽しく活動していたのに、コロナ禍になってサークル活動が休止になり、息抜きの場がなくなったというママもいます。こういう積み重ねがメンタルの不調を招くこともあります。

ママやパパのメンタルの不調は、子育てに影響します。気力がなくなり、子どものお世話ができず、笑顔で子どもと向き合えなくなることもあります。長期化すれば、子どもの発育、発達にも影響を及ぼしかねません。
朝食を食べずに登園、登校する子がいますが、なかにはママやパパがメンタル不調で、朝、起きられず、朝食の準備ができないということもあるのです」(小枝先生)

メンタルの不調を感じたら、医療機関で相談を

小枝先生によると、親や子どもに次のようなサインがあるときは注意が必要といいます。子どもの場合は、以前と比べて“イライラすることが多くなったように見える”など、親が感じた印象で構いません。
●何事に対しても興味が持てなくなった
●楽しさを感じない
●寂しさや孤独を感じる
●イライラすることが多くなった

「“おかしいな”と思ったら、子どもの場合はかかりつけの小児科で相談してみましょう。小児科の中には、臨床心理士がいる医療機関もあるので、そうしたところだとベストです。
ママやパパの場合は、メンタルクリニックなどを受診しましょう。“メンタルクリニックは受診しづらい”と思うときは、子ども同様に臨床心理士がいる小児科でもいいです。

国立成育医療研究センターの“こころの診療部”も、子どもの発達の遅れや育てにくいという悩みで受診する人もいます。しかしママから話を聞いていると、子どもの悩みだけでなく、“パパが育児に協力してくれない”など夫婦の問題などが根底にあることもあり、カウンセリングを受けているうちに、問題解決の糸口が見つかっていきます」(小枝先生)

お話・監修/小枝達也先生

取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

コロナ禍、摂食障害やうつ、不登校など子どもたちの心の問題が増えています。小枝先生によると「子どもたちの心を支えるには、ママやパパの心が健康でなくてはいけません。メンタルの不調を感じたときは、気持ちがわかってくれる人に話を聞いてもらったり、専門医に相談してほしい」と言います。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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