【5歳~】思考力がつくとうわさの絵本『ルビィのぼうけん』に迫る!
2020年度から小学校で必修化されるプログラミング教育ですが、すでに先行してプログラミング教育推進校で取り入れられている絵本があります。その名も『ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング』(翔泳社)。フィンランド・ヘルシンキ出身のプログラマー、リンダ・リウカスさんが生み出したこの絵本が、日本のプログラミング教育の現場でも使われているのはなぜでしょうか? その秘密を著者に伺いました。
プログラムの本なのに…宝石を探す物語!
フィンランド・ヘルシンキ出身のプログラマー、リンダ・リウカスさんが生み出した絵本『ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング』(翔泳社)。「絵本」が「プログラミング教育」にどうして役立つのか、この絵本の秘密を大きく3つに分けて紹介します。
<秘密1>3時間で1万ドルの制作資金を調達! 出版前から話題に
この絵本は、出版前からとても大きな期待を寄せられていました。クラウドファンディング「Kickstarter」で資金を募ると、なんとわずか3時間で目標金額の1万ドルを達成したのです。リンダさんは絵本制作に集中するため、それまで勤めていた会社を退職。2015年、絵本が出版されるとたちまち世界中でベストセラーとなりました。日本でも2016年に翻訳出版されて、絵本部門で売り上げ1位になるなど話題に。日本のプログラミング教育推進校で活用されるのに、時間はかかりませんでした。
<秘密2>プログラミングの本なのに、コードの書き方は載っていない
『ルビィのぼうけん』は、ルビィという女の子が宝石を探す冒険に出かけるという物語の絵本。そこにはソースコードの書き方などは載っていません。つまりこの本を読んだだけでプログラミングができるようになるわけではないのです。では何を伝えているのかというと、プログラミング的思考の基本的な考え方です。ルビィは冒険の途中、さまざまな問題に直面します。ルビィが大きな問題を小さな問題に分解したり、物事の順番やパターンを整理したりする過程から、その考え方を学べるようになっているのです。著者のリンダさん自身、子どもたちにとって未知のことを物語という手段で伝えることに、こだわりがあるようです。
<秘密3>アクティビティー(練習問題)が豊富にあって楽しく学べる
『ルビィのぼうけん』は大きく2つのパートに分けられています。前半が物語。後半がアクティビティー(練習問題)です。シーケンス(順番に並んだ命令)、ループ、場合分けなどのプログラミングでも使われる基本的な考え方を、フローチャートを作ったりダンスしたりしながら、親子で楽しく学べます。それが1つや2つではなく、22もあります。アクティビティーはプログラミング教育の推進校の授業でも活用されています。
『ルビィのぼうけん』シリーズは、その後続編も出版され、現在第3弾まで発売されています。第1弾のテーマがプログラミング、第2弾のテーマがコンピューター、そして第3弾のテーマがインターネットです。どれも子どもたちにとって未知のテーマですが、文字だけで説明したら難しいことも、絵本というわかりやすい手段で伝えてくれています。2018年12月にリンダさんが来日した際には、リンダさんをゲストに迎えて小学校の教員向けカンファレンスも開催されました。そこではプログラミング教育の推進校の先生たちが、プログラミング教育の現場の様子を紹介。どの学校でも、まずこの絵本を子どもたちに読ませて、プログラミングがどういうものなのかということを教えているようです。「プログラミング教育ってどういうこと学ぶの?」「そもそもプログラミング自体がどんなものなのかよくわからない」というママ・パパも、一度この絵本を読んでみるといいかもしれませんね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
プロフィール/リンダ・リウカスさん
フィンランド・ヘルシンキ出身のプログラマー、作家、イラストレーター。世界中の人々にプログラミングの基礎を学んでもらうために、さまざまな活動を展開。著書『ルビィのぼうけん』シリーズは世界20ケ国以上で翻訳されるベストセラーに。
(翔泳社/1944円)
教育大国フィンランド発! 親子で楽しくプログラミングに触れられる絵本
(翔泳社/1944円)
主人公のルビィがコンピューターの中を冒険するストーリー
(翔泳社/1944円)
楽しいけどちょっと危険なインターネット探検の旅を楽しめる1冊