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【小児科医監修】ゼーゼーと苦しそうな赤ちゃんのせき。原因はヒトメタニューモウイルス

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赤ちゃん
reewungjune/gettyimages

 赤ちゃんがせき込んで、夜も眠れない…1才の赤ちゃんがクリニックにやってきました。ひどいせきを引き起こす病気とは…?
赤ちゃんやママ・パパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、思い出深いできごとをつづります。
今回は40度近い高熱と激しいせきを訴えて、クリニックを訪れた1歳の男の子のお話です。[小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより#6]

原因はヒトメタニューモウイルス

お母さんにだっこされた1歳の男の子が来院しました。40度近い高熱と、夜から朝にかけて、本当にせきが激しくなり、ときにはせき込んで吐くこともあるといいます。

―睡眠はとれていますか?
「いえ、眠れていません。寝たと思ってもせき込んで起きるんです」 とお母さん。心配そうです。
―ウイルスの検査をしてもいいですか?
そう言って、細い綿棒を男の子の鼻から入れました。お母さんの表情のほうが痛そうです。
しばらくして、検査の結果が出ました。
―お母さん、原因は、ヒトメタニューモウイルスでした。
「え?、それは何ですか?保育園でそんな名前を聞いてはいたんですが」
―RSウイルスは知っていますか?
「はい、ゼーゼーいって、せきが強くて、熱も高くなる病気ですよね?
―そのRSウイルスと似てると思っていいでしょう。

ウイルスに効く薬はない

近年、ウイルスの検査が進歩して、私たちのような町の小児科でも、見つけられるウイルスが増えてきました。せきが出るような呼吸器系のものでは、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス。下痢をするような消化器系のものでは、ロタウイルス、ノロウイルスなどです。
しかし、インフルエンザや水痘(みずぼうそう)など、いくつかの例外を除いて、ウイルスに効く薬はありません。ウイルスが見つかっても、直接ウイルスをやっつける特効薬があるわけではないのです。
なぜ検査をするかというと、1つめは熱が続いていても、細菌を殺す抗生物質などを使わなくていいのか、を判断するため。2つめは、せきが強くなるウイルスがわかれば、夜のゼーゼーにそなえての薬を処方しておいたほうがいいとわかるので、検査をします。
そして病気が長引いているときには、診断名がはっきりしたほうが、お母さん・お父さんが安心するという目的もあります。保育所などで病気が流行すると、ちょっとせきが出ると「検査してもらってきなさい」といわれたりするようですが、本人にとって必要なければ負担になるだけなので、お断りしています。

ウイルス性の気管支炎とぜんそくは違う

さて、冒頭の男の子です。
―このヒトメタニューモウイルスが病気を起こすと、気管支という息の通り道が狭くなって、せきが強くなるんです。(これを気管支炎といいます)
「夜、息をするだけでもゼーゼーいっていました」
―気管支が狭いということはぜんそくと同じような状態です。しかしこの病気では、ひどい子になるともっと先の、管が本当に細いところが狭くなって息ができなくなるんです(細気管支炎といいます)。
「この子はぜんそくになるんでしょうか?」ますます心配そうなお母さん。
―ぜんそくはね、体質だとかいろいろな要素が原因になって気管支が狭くなります。でも、ウイルスのせいで気管支が狭くなるのは、そのウイルスが来たときだけなので、長い目で見ると心配ないと思いますよ。中には風邪のたびにゼーゼーいう子もいますが、年齢とともにいわなくなる子も多いものです。
「今夜は大丈夫でしょうか?」
―できるだけラクになるように、お薬を考えます。でもあまり劇的に効く薬はありません。必要なら熱を下げる薬も使ってかまいませんよ。

そういって、処方せんを出しました。しかし、RSウイルスもそうですが、治療にすすめられている薬というはあまりないのです。同時に、ひょっとしてせきがあまりにひどくてご家族が怖くなったときに、市内の救急病院に行くことができるように、紹介状も持たせておきました。

次の日、再度男の子とお母さんが来院されました。
「念のために、診てもらいに来ました。昨日の夜は、救急病院には行っていません」
―そうですか。せきの様子、熱の様子はどうですか?
「あまり変わっていないです。でも、説明を聞いて、すぐ治る方法はないとわかりました。とにかくしっかりと様子を見ていることが大切だとわかったら、私も余裕をもつことができたからか、息子が前よりはつらくない様子に見えます」
症状がある子どもはまだつらそうですが、お母さんは、昨日よりも力強く見えました。子どもは病気を繰り返して大きくなりますが、お母さん・お父さんもそんな様子を見ながら、少しずつ強くなっていくのかもしれません。

監修/吉永陽一郎先生

初回公開日 2019/06/19

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