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「安心感の輪」が子どもの非認知能力の発達に重要な理由

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bernardbodo/gettyimages

「子どもにはどんどんチャレンジしてもらいたい。でも激しい遊びでけがをしたりしないか心配」「子どものことが心配で先回りして何でもしてしまう。これでちゃんと自立できるかな?」。親子の距離感をどの程度に保っておけばいいのか、よくわからないという人も多いでしょう。そこで紹介したいのが、「安心感の輪」です。自立心や粘り強さ、共感や思いやりなど、数値で測れない「非認知的な能力」(非認知的な心)を伸ばすためにも知っておきたい重要なこの概念。いったいどのようなものなのか。発達心理学・感情心理学が専門の東京大学大学院教育学研究科、遠藤利彦先生にたまひよONLINEが話を聞きました。

関連:非認知能力の発達に欠かせないアタッチメントとは?

非認知能力を伸ばすことにつながる 「安心感の輪」とは?

子どもが特定の人(ママやパパ、保育園の先生など)に「くっつく」ことを通じて、不安などの感情を受け止めてもらい、自分の感情が調節されることをアタッチメントといいます。アタッチメントが適切に行われていると、子どもは安心して探索や冒険に出かけることができます。しかし、どこまでも遠くへ行くわけではありません。子どもたちは、一定範囲の中で探検や冒険をしています。その範囲を表したものが「安心感の輪」です。

安心感の輪には、「基地」と「避難所」がある

子どもたちの冒険の出発点は、「安心の基地」です。そこは自分の肩や背中を押して元気よく探索や冒険に送り出してくれるところ。具体的には、ママやパパ、保育園の先生など、自分に自信を持たせてくれる存在が基地になります。順調に目的を達成すると、子どもはまたその基地に戻ってきます。
しかし、冒険の途中に、けがをしたり、怖い思いをしたりすることもあります。そこで駆け込むのが、「安全な避難所」です。それもママやパパ、保育園の先生などです。そこは、子どもが自分の気持ちを受け止めてもらえる場所です。実は子どもが「基地」から安心して冒険に出られるのは、このいつでも受け入れてくれる「避難所」があるからです。
「安心の基地」と「安全な避難所」がなければ、子どもは怖くてどこにも行けません。つまり戻ってくる場所があるから、子どもは自立していけるのです。

安心感の輪はだんだん大きくなる

安心感の輪は、最初はとても小さく、子どもは近場にしか行けません。そしてすぐに帰ってきます。しかし年齢を重ねるにつれて、だんだんと遠くまで行けるようになります。それは安心感の輪が大きくなっているからです。子どもは怖い思いをするたびに安全な避難所に戻り、安心感を得て、また安心の基地から新たな冒険に出発します。その繰り返しでだんだんと大きくなる。つまり「安心感の輪」は避難所と基地がセットで回り続けて、大きくなっているのです。成人して独り立ちしても、その輪は回り続けています。めったに戻ることはありませんが、「いつでも戻れる」という場所があることで、日々さまざまなことにチャレンジできるのです。

安心感の輪を大きくするためにママやパパができること

ママやパパがしたほうがいいことは、子どもにくっつくことではありません。くっついていたら、いつまでも安心感の輪は大きくなりません。基地として、避難所として、どっしりとその場を動かない。その代わり何かあったらしっかりと抱きしめ、なぐさめ、安心感を与えてあげることが大事です。安心感を得たら、子どもはまた離れていきます。ママやパパができることは、冒険に出る子どもの背中を「遊んでおいで」と押してあげること、そして応援することです。
「安心感の輪」の中で子どもが自発的に、好奇心をもってさまざまな遊びを経験する中から、「非認知的な心」が育ちます。また、そのときには頭の中をフル回転させているので、地頭の力も高まります。幼児期に培われたものが、その後の認知能力を獲得する勉強の土台になるので、一人でどんどんチャレンジしたり、友だちとたくさん遊んだりすることはとても大切です。それを可能にするのが基地や避難所です。そこから出発したり、そこに戻ってきたりすることを繰り返しながら、子どもは少しずつ自立していくのです。

関連:将来、活躍できる!好奇心旺盛な“マニア脳”の育て方

最近は、先回り教育で、子どもに認知能力を先に獲得させようとする人も増えていますが、遠藤先生いわく、「土台がしっかりしていないところに重たい教育は載せられない」。まずは多様な遊びから、「非認知的な心」をはぐくみ、土台づくりをすることが大切です。幼児期をすぎると、この土台づくりは難しくなってしまいます。子どもが「やらされる」ではなく、自発的に遊べるように基地から、避難所から見守りたいですね。
(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)


監修/遠藤利彦先生
東京大学大学院教育学研究科・教授(発達心理学・感情心理学)。子どもの発達メカニズムや育児環境を研究する発達保育実践政策学センター(Cedep)のセンター長も務めている。

参考文献/『赤ちゃんの発達とアタッチメント――乳児保育で大切にしたいこと』(遠藤利彦著・ひとなる書房)、『言葉・非認知的な心・学ぶ力』(小椋たみ子、遠藤利彦、乙部貴幸著・中央法規出版)

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