投資初心者ママ・パパの疑問をほったらかし投資家に聞く
連載14回目。今回は、番外編。子育て中のママパパの「投資のここがわからない!」の声に、先輩投資家がずばり回答いたします。
将来のお金が不安。投資も気になるけど、子育てが忙しくて手が回らない……という新米ママ・パパに伝えたいのが、手間をかけずにできる、ほったらかしインデックス投資。
ブログで投資経験を綴り、著書も出版、インデックス投資家のバイブル的存在として知られる投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、超カンタンガイドしてくれます。「新米ママ・パパむけインデックス投資講座。教えて!ほったらかし投資家・水瀬さん」第14回。
子育て中のママ・パパの半数が投資に関心あり
こんにちは!水瀬ケンイチです。この連載では約半年かけて、毎月定額を積み立てるだけ、子育てが忙しくても、家計に無理のない範囲でできるインデックス投資について、解説してきました。
ただ、こちらからの一方的な説明だけでは、皆さんの「ここがもう少し詳しく知りたい!」という声にお答えできないのが歯痒い……。なんとか、もう少し皆さんのかゆいところに手を届ける術はないだろうか……。悩んでいたところひらめいたのが、文明の利器、ネットアンケートです!
アンケートで皆さんの疑問、質問をお聞きし、それについて解説する。これなら、もう少し踏み込んで、皆さんのお力になれそうです。うーん、我ながらナイスアイデア!!
というわけで、編集部の協力のもと、昨年12月に全国の子育て中のママパパへのアンケートを実施。今後数回は、ここに寄せられた質問をベースに、Q&A方式で解説していきたいと思います。
ちなみに、アンケートでは子育て中のママ・パパ(5歳以下のお子さんを育てている25〜44歳の既婚男女1041人)は、投資にとても高い関心を持っていることが判明。
なんと、全体の51.8%が「投資に関心あり」。48.1%が「学習したい」と回答するなど、約半数ものママパパが投資に興味を持っていました。
ほったらかしでできる、インデックス投資を啓蒙したい者としては、これは嬉しい結果です。
さっそく、ママパパたちのお悩みにお答えしていきましょう!今回は、「投資全体に関する質問」を取り上げます。
調査概要:インターネットリサーチ。「あなたご自身に関するアンケート」2019年12月実施。全国5歳以下の子どもがいる25〜44歳既婚男女1041人による回答。
Q1:損すると思うと不安……リスクが高い商品の見分け方は?
とても多かった質問がコチラ。「リスクがこわい」というものです。
「リスクのある商品の選別はどうすればいい?」(44歳・パパ)
「必ずしもプラスになるわけではないので、マイナスになる確率を知りたいのですが」(28歳・ママ)
素晴らしいですね。ちゃんとリスクを考えて商品を選ぼうとしていらっしゃいます。そう。ただなんでも買えばいいってもんじゃないと、この連載でもお話してきました。
投資といってもいろいろありますが、ここでは、投資信託について回答しますね。
A1
投資信託は、各商品に必ず「目論見書」というものがあり、これを見ると、その商品がどのくらいのリスクがあるのか、推し量ることができます。
「目論見書って、読むのが難しそう……」と心配しなくても大丈夫。ここでチェックしたいのは「他の代表的な資産クラスとの騰落率の比較」という、縦棒グラフの部分です。グラフの名称は商品によって多少異なるかもしれませんが、だいたい「〜の比較」と書かれた縦棒グラフを探せばOKです。
ここを見ると、その商品が、最大でどのくらいマイナスになるか、あるいはプラスになるか、グラフの大きさと数字で把握することができます。他のカテゴリーの商品と、リスクの大きさと数字を比較できるので、「他と比べてリスクが小さい。これなら許容範囲かな」「意外とリスクが大きい。やめとこうか」など、判断する目安になります。
ただ、あくまで参考情報なので、運用実績を保障するものではありません。大きな経済ショックが起きた時などは、想定リスクを大きく超えることも考えられます。だいたい、このぐらいのリスク、リターンの範囲で運用しますよ、という目安ということでご理解を。
Q2:どのくらい儲かるのか、実力を知りたい!
続いても、商品に関する質問。
「100%上がるとは思っていないけど、少しでもいい商品に積み立てしたい。リターンがいい商品って、何を見ればいいの?」(27歳・ママ)
「リスクも気になるが、果たしてどのくらい増えるものなのか?」(33歳・パパ)
いい質問です!たとえば、「全世界株式型の投資信託」といってもいくつもあり、それぞれ実力は違うわけですから、成績が気になって当然です。
A2
これを知るには、「モーニングスター」というサイトが便利です。ここでは、あらゆる投資信託の商品の実力をレーティングしており、それぞれの商品の過去の実績を見せてくれます。
1年、3年など、期間を区切り、リターンがよかった順にランキング形式で見られます。気になる商品の実力が、果たして全体で何位なのかを調べたり、成績がいい商品をチェックしたりするのに便利です。
ただし、ほったらかし投資家としてはリターンよりもリスクを重視してほしいのが本音。高いリターンのある商品は、高いリスクも伴います。リターンに目がくらみ、自分が許容できるリスクの範囲を外すことのないよう気をつけてくださいね。
Q3:情報がありすぎて、どう勉強すればいいか分かりません
最後も、とても多かった質問です。
「いろいろな情報があるので、どれを基準にしたらいいかわからない」(36歳・パパ)
「知識の習得方法がわからない」(31歳・ママ)
「どうすれば投資スキルを磨けるのか?」(41歳・パパ)
A3
知識をつけたくても、情報が多すぎて踏み出せない……。情報があふれるこのご時世、ごもっともです。ネットで連載をしている者が言うのもなんですが、最初はまず、書籍を1冊読んでみることをおすすめします。
最低限知っておくべき用語、投資で気を付けることなどを体系的に学べる書籍を読めば、基本的な考え方は理解できるはず。
もちろん、全部理解しなくてもいいんです。自分なりに納得できる部分が見つかったら、そこを基準にネットを見ていけば、欲しい情報の取捨選択ができると思います。
私が初心者さん向けにおすすめしたいのは、この3冊です。全部読む必要はなく、どれか1冊で大丈夫です。書店さんでパラパラッと見て、読みやすいと感じるものを選んでみてください。
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』文響社(山崎元・大橋弘祐著)
『税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』ダイヤモンド社(竹川美奈子著)
『お金は寝かせて増やしなさい』フォレスト出版(水瀬ケンイチ著)
基本的な知識なく、やりながら覚えよう……と、安易に始めるのは危険です。いきなりリスクの高い投資に手を出して、大きく損してしまったら落ち込み、「二度と投資はやらない!」となってしまいますから……。
この連載でお伝えしている「ほったらかしでできるインデックス投資」は、投資の中では平均的なリターンを目指す、とても標準的なものです。まずはこの投資を学ぶことによって、投資で平均点をとるにはどうすればいいかが分かるので、個人的には最初に勉強するテーマとして、とてもおすすめです。
インデックス投資を学び、実践してみて、もっとリスクをとってもいいと思ったら、株など他の投資を勉強してみる。やっぱりこわいと思ったら、国債など債券中心の運用を学んでみる。そんな風に、広げていくのがいいのではないかなと思います。
大切なのは、正体を知ること
はい!それでは今回の質問コーナーはここまでとなります。
投資全般に対する質問では、やはり「損したくない」とリスクを気にするものが目立ちました。
リスクと聞くと、なんだか全財産を失うようなこわいイメージがありますが、実は正体のないお化けととても似ています。
こわいこわいと思っていても、実際は「なんだ、風の音か」と拍子抜けすることもあるように、投資信託もリスクの正体を知ることが大切です。「最大10%ぐらいまでの損失はありうる」など、リスクを数字で見ることで、正体不明の不安は消えるはず。そして、お化けと違って投資信託は、自分の判断でリスクをコントロールしていくことができます。
むやみにこわがってチャンスを逃さないためにも、やはり知識は大切です。
次回は、「ネット口座の開設」に関する質問にお答えします!
お楽しみに!
(監修・水瀬ケンイチ イラスト・おぐらなおみ 取材・文 大上ミカ)
水瀬ケンイチ
1973年生まれ。IT企業に勤める会社員であり、個人投資家。2005年より、ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」で自身の投資経験を綴り、インデックス投資家のバイブル的存在として認知される。著書に「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版)など
参考文献:水瀬ケンイチ著書
お金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版)
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド(朝日新書)
お金は寝かせて増やしなさい
投資は元本保証がありません。資産運用はあくまでもご自身の責任で行ってください。本連載の内容を実践したことによって被る損害については、いかなる理由があろうとも、監修者、運営社、執筆者ともその責任は負いません。