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【小児科医リレーエッセイ 19】ステイホームでのビタミンⅮ不足に注意!骨が弱くなる病気や感染症を親子で予防しよう

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母の手と朝の太陽の上で眠る赤ちゃん
Srisakorn/gettyimages

「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の先生方から子育てに向き合っているお母さんお父さんへのメッセージをお届けしている連載です。今回は、東京都・クリニックばんびぃにの院長時田章史先生です。「新型コロナウイルス感染予防のためのステイホームで、外遊びなどが減っていることでのビタミンⅮ不足が心配」と時田先生は言います。

ビタミンⅮにはウイルスや細菌から体を守る免疫機能を保つ効果があります

骨や歯を強くし、感染症予防にも役立つ「ビタミンD」はとくに成長期の子どもには欠かせない栄養素です。太陽の紫外線(UV)を浴びれば自分で作ることができるほか、食事でとることも可能です。新型コロナウイルス対策で家にこもりがちの生活が続く今、親子でビタミンD不足に陥っている人もいるのではないかと心配しています。
ビタミンDは腸管で、骨や歯の材料となるカルシウムやリンの吸収を促す以外にも、ウイルスや細菌から体を守る免疫機能を保つ効果もあるのです。

ビタミンD不足が原因の「くる病」が、10年間で10倍以上増えています

成長期にビタミンDが不足すると、骨がやわらかくなる「くる病」の原因になります。発症すると、歩き始める1歳過ぎからO脚などが見られるようになり、血液中のカルシウム濃度が低下してけいれんを起こすこともあります。東京大学の研究チームが公的医療保険データを分析したところ、くる病で治療を受けた15歳以下の子どもの割合は2005年の10万人当たり1.1人から、14年には12.3人と10年間で10倍以上に増えたと報告しています。

ビタミンD欠乏性くる病の主な要因としては日光浴不足が挙げられます。ビタミンDはUVB(紫外線B波)で必要量の80~90%が皮膚で作られます。しかし、とくに若い女性はしみなどを恐れ、少しの外出でも日焼け止めを塗るなどUVを避けすぎる傾向があります。さらに過度のUVは皮膚がんのリスクがあるとして、1998年に母子健康手帳から日光浴をすすめる記述が消えたことを受け、親子そろってビタミンD不足になっている例もあるのです。

日光浴がたりない場合は、食事やサプリでビタミンDの摂取を

海外では、さまざまな食品にビタミンⅮが添加されていますが、日本ではまだ一般的ではありません。諸事情でしっかりUVカットをしなければならない成人の方は、食事はもちろん、サプリメントを利用して補充することをおすすめします。
赤ちゃんから大人まで、日光浴や食事で1日に補いたいビタミンD量は5~10㎍(マイクログラム)です。夏の晴れた日中なら、顔と両手の甲に数分ほど日光を当てればOKです。新型コロナウイルス対策で外に出にくい今は、換気の際に開けた窓から顔や手を出すといいでしょう。
名古屋や横浜など全国11カ所ごとに、日焼けをすることなく、必要なビタミンDを作る時間を載せている国立環境研究所・地球環境研究センターのウェブサイトが参考になります。
ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報|地球環境研究センター
梅雨や猛暑、冬場で外出が減るなど日光浴がたりない場合は、ビタミンDを多く含む魚やきのこ類などを食べることも大事です。乳幼児では離乳食をとり始めるころから、紅鮭やさんまなどを食べさせましょう。しらす干しは湯通しして塩を抜いてから、干ししいたけはそのまますりおろせば、おかゆに入れたりスープのだしにしたりと幅広く使えるのでおすすめです。

母乳育児の場合、ビタミンD不足に注意が必要です

離乳まで赤ちゃんを母乳だけで育てている場合は、とくに注意が必要です。多くの栄養素が加えられた育児用ミルクに対し、母乳にはビタミンDがあまり含まれていないからです。
順天堂大学の研究グループは東京と静岡県の生後0~6カ月の乳児49人について血液中のビタミンD濃度を測定して発表。母乳だけで育っている28人の75%がビタミンD不足だったことを報告しています。
なぜ、母乳中にはビタミンDがあまり多く含まれていないのでしょうか?
太古の昔より人は強い日ざしを十分に浴び、肌をあまり隠すことなく生活していたわけですから、母乳にビタミンDが含まれる必要がなかったからと考えられます。

ビタミンDの液体サプリメントの摂取の指導が始まっています

現在人は肌を隠し、さらには皮膚にUVクリームを塗るようになりました。離乳食がなかなか進まないお子さんや、アレルギーによる食事制限などで必要な量を補えない場合は、ビタミンDサプリメントを利用するのも一つの方法です。子ども用にはドラッグストアなどでは、液体サプリメントが販売されています。

国産で赤ちゃんから飲ませることができる液体サプリメントは「BabyDⓇ」と「BabyDⓇ200」の2つです。
一般用の「BabyDⓇ」に比べ価格が同じで2.5倍の量が入っている「BabyDⓇ200」は医療機関専売品で、薬局・医療機関で販売されています。
現在プライマリケアの現場では、下記のように指導し始めています。
【1】ほぼ母乳栄養中心の乳児には1歳までは1日400単位(「BabyDⓇ200」として1日2滴)を摂取してください
【2】日本製の人工乳にはビタミンDが400単位/Lで添加されているので、人工乳摂取量に応じてビタミンDが1日400単位になるように「BabyDⓇ200」を1日1~2滴を1歳まで摂取してください。
【3】紫外線の強い海や山で日焼けをする可能性の高い時を除いて、日焼け止めを用いないようにしてください。

一方で、ビタミンDのとり過ぎは頭痛や吐きけ、食欲不振などを引き起こすことが知られていますが、万が一、「BabyDⓇ」1びんを1度に飲んでしまっても中毒にはなりません。

新型コロナウイルスとビタミンDについては現在さまざまな報告がなされていますが、ビタミンD欠乏が新型コロナウイルス感染症の重症化と相関していたとする報告がある一方で、それを否定する報告もあり今のところ統一した見解は得られていません。
しかし、インフルエンザウイルスにはある一定の効果がいわれています。古くから欧米では冬の風邪に備えて夏にたっぷりと日光浴をして体のビタミンD濃度を上げていくことが習慣になっています。最近ではうつや精神神経疾患の予防にも効果があるといわれてます。
「ビタミンDは一生にわたって大切な栄養素」ですので、適切な日光浴と栄養摂取を親子で心がけましょう。

文・図版提供/時田章史先生(クリニックばんびぃに・院長)

Profile
クリニックばんびぃに・院長。順天堂大学医学部卒。1991年~1993年オーストラリアGarvan医学研究所留学、順天堂大学医学部小児科講師などを経て2015年より現職。日本骨代謝学会評議員、東京小児科医会理事。NPO法人VPDの会理事として、小児の感染症対策、予防接種の啓発に取り組む。現在東京産婦人科医会と4つのV(VitaminK&D、HTLV-1、HPV)対策のため活動中。

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