保育士がママと座談会、一番つらい産褥期に夫に伝えたかったこと8
フリーランス保育士で2児の母の相原です。出産と同時にはじまる育児と体の変化に翻弄される産褥期。夫婦の関係がギクシャクしがちな時期でもあります。その原因を探るべく、0歳の赤ちゃんを育てている3人の妻で話し、産褥期に夫に言いたかったことをまとめてみました!
相原 里紗
保育士・のあそびっこプロジェクト 主宰
早稲田大学国際教養学部卒。(株)オールアバウトを経て国家試験で保育士に。親子×のあそび×地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」他、親子向けイベントを多数企画・運営している。1歳、3歳の男子育児に奮闘中。
産褥期は夫婦の危機?心も身体も精一杯の親1ヶ月目
2人だった家族に赤ちゃんが加わって3人になって、それはそれは幸せな生活を送るはずだった出産後。
ところがいざそうなってみると、夫婦喧嘩が絶えない…そんな話をよく聞きます。
それはもしかしたら、産褥期の不安定さが原因かも!
「産褥期」とは産後6週間、子宮・骨盤・骨盤低筋群が回復する時期のこと。
「床上げ3週間」ともいうように、初めの3週間はできるだけ何もせず特に安静に、そのあとも無理をせずに過ごすように勧められる期間です。
身体がボロボロなのはもちろん、授乳・妊娠時からのホルモンバランスの変化により心も不安定。不安がつのったり、些細なことでイライラする時期でもあるのです。
参考:日経DUAL 宋美玄「産後」はいつまで体を休めるべきなの?
参考: 産後のメンタルヘルスのギモンに産婦人科医がアンサー
心身ともに不安定で、さらにはじめての育児でてんやわんやの妻。
父になるのがはじめてで、何をどうしたらいいか心もとない夫。
夫婦のコミュニケーションがうまくいかないのは、当然といえば当然でもあります。
産褥期、夫に言いたかったこと8
今回は、0歳(2カ月、6カ月、11カ月)の赤ちゃんのいる3人の妻が集まって、産褥期に夫に伝えたかったことをリストにしました。
言語化してみると、子どもが産まれてからの生活や夫との関係の変化への戸惑いなどから、一見トゲトゲした言葉になって出てきます。裏を返せば、子育てスタートの産褥期に夫婦で埋めなければならないギャップの側面もあります。
ただ、この時期心身ボロボロの妻は夫と話し合うパワー無し。男性陣に歩み寄ってもらえたら嬉しい…!
(1)いつもと変わらない生活してるんじゃなーい!
お金は稼がないと生活がまわらないし、育休でも取らない限り妻が産褥期だからといって早く帰れる会社ばかりでないことも百も承知なんですが、朝普通に仕事に出かけ、一人でお昼ご飯を食べて、普通に仕事をやりきったら帰ってくる…。今まで妻自身もできていた「普通」が突然「自由」に見えるんです。飲み会や限りない残業は、せめて産褥期が終わってからでお願いします。
(2)指示待ちしないで自分で動いて!
確かに赤ちゃんと長い時間一緒にいるし、子ども用品のレイアウトはお世話のしやすさで変化することもあるのですが、産褥期の疲れた脳は指示を出すのが結構辛いんです。お世話してくれるのは嬉しいけど「お手伝い」ではなくて、どんどん主体的に動いてほしい!この時期に頑張っておくと、父としてのスキルもぐっと上がります。
(3)一人でリラックスしてるとかうらやましすぎる…
「寝かしつけが終わってリビングに降りたら、帰ってきた夫がテレビ見ながらビールを飲んで『お疲れ!』と一言。それにブチ切れちゃったんだよね。」「わかるわかるー!」…
仕事から疲れて帰ってきて一息入れるって普通のことだと頭では理解しつつ、赤ちゃんと一緒だとお昼ご飯さえゆっくり食べれない現実と比べてしまうのです。できれば、妻の分も飲み物とおやつを準備して待っていてくれたらとっても励まされます。
(4)自分のご飯くらい自分で準備してー!(私のご飯も準備してー!)
体力を回復させる産褥期、食事の準備は妻以外の人が担当です。「何食べればいい?」なんて受け身の反応はもちろんNG。生まれた瞬間から、夫ではなく赤ちゃんのお世話が最優先事項になるのです。それまで夫の世話をしていたタイプの妻でも、子どもが生まれた途端にそんな余裕はなくなります。夫は家族というチームを運営するパートナーに昇格!だから、買ってきてもいいので自分のご飯は自分で考えて準備して。できれば妻の分も、産褥期が終わっても末長くよろしくお願いします。
(5)育休、取ってくれたら良かったのに
平成30年度の男性育児休業取得率は6.16%、そしてそのうちの56.9%は5日未満と、世界と比較するとびっくりするくらい低水準な上に日数も短いのが現状です。ただ、じわじわと取得率は上がり、周囲にも育休を取っている人もちらほら聞くようになってきました。
産む前は納得していたはずなのに、いざ子育てがはじまってみると、体もつらいし、平日赤ちゃんに向き合うのは自分だけで、思ったよりも大変。そんな中「なんで育休を検討してくれなかったんだろう…」という思いがもやもや出てきます。子どもが産まれてからでも遅くない!育休取得を考えてみてくれたら、救われた気持ちになります。
参考:厚生労働省 男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について
(6)私の気持ちに気づいてほしい。察してー!!
産褥期は感情を言葉にできるほど落ち着いていません。なぜだかわからないけど涙が出て、ときには怒りはじめてしまうのです。男性が「察するのが苦手」だというのはいろんなところで聞きますが、この不安でしんどい気持ちを持っていることを頭の片隅に入れて、不器用だったとしても夫なりの方法でフォローしてもらえたらとっても嬉しいんです。
(7)一人になれないつらさ、命を守るプレッシャーが実は積もってる…
産褥期の心身の辛さに上乗せして、24時間赤ちゃんと一緒にいて完全に一人の時間を持てないことはかなりの疲労感です。特に退院後は赤ちゃんの隣で命を守り続けているのは自分だけ。今までにないプレッシャーで、知らず知らずのうちにずっと張りつめています。厄介なのは、産褥期はそれが当たり前なのでストレスの原因だと気づきにくいこと。
たまにそっと赤ちゃんを抱っこして、妻が完全に自由になれる1時間を作ってもらえると、結構解消に向かいます。ぜひご一考を!
(8)耳栓してる?なぜ起きないんだ!
夜中に響く赤ちゃんの泣き声で起きてあたふたしてるのに隣で爆睡する夫、という構図は全国津々浦々の家庭で起こっています。この音量になぜ起きないのか、不思議すぎる…
最新の研究では、男性の脳は女性の脳よりも赤ちゃんの泣き声に気づきにくいということがわかっています。一方で、育児経験を積み重ねることで脳が活性化され、気づくようになる可能性もあるとのこと!
部屋を別にする家庭もあるといいますが、夜中の孤独感は想像を絶します。産褥期の妻の「大丈夫」はあまり信用せずに、休前日は頑張って起きて夜中のオムツ替えを担当するなど、夫も夜中の格闘に参加してくれたら本当に心強いです。
妻も夫もはじめてだらけ。知っておくことが何よりの準備に
一人目が一番しんどい、というのが今回集まった3人の共通認識です。二人目以降がそれほどではないのは、子どものいる生活が当たり前になっているのに加えて、産褥期にどうなるかのイメージができているから。わかっていれば心構え、準備をしておくこともできるのです。
この時期、心身の大きな変化と子育てへの戸惑いがあるから妻はちょっぴり横暴です。夫も父になる練習中で「なにがダメなの!?」がたくさんあると思います。産褥期はぐっと我慢して、その「なに」をうまく見つけて対処して切り抜けてください。
最後に、妻は頑張ってくれている夫に感謝すること!余裕もなくて忘れがちですが(自戒を込めて)「ありがとう」がたくさん溢れる家族への第一歩はこの時期にはじまっていますよ。
幸せな出産の後に立ちはだかる産褥期のリアル。夫婦のコミュニケーションがうまくいきませんが、ホルモンと体調による一時的なもの。めげずに歩み寄って産褥期を乗り切って、その先にある子育て生活へ良いスタートを切りましょう!