【医師監修】赤ちゃんの下痢 原因、病院へ行く前に確認すること、受診の目安やホームケア
生後0ヶ月~3歳ごろまでの赤ちゃん・子どもが「下痢をした」とき、ママ・パパが何をすればいいか、を受診の前後に分けてまとめました。
また、その症状の程度によって、夜間や休日でも受診したほうがいいのか、診療時間まで待って受診すればいいのか、などの判断の目安を示しました。
下痢をした原因と気をつけること
赤ちゃんは消化機能が未熟なため、離乳食や食事、水分を多めにとっただけでも一時的に軟便になることがあります。
うんちが多少緩めで回数が多くても、食欲があり、機嫌もよく、体重が順調に増えているなら、水分を十分に与えながら様子を見てもいいでしょう。
下痢以外の症状や下痢の回数、色にも注意
下痢の原因は細菌やウイルス感染の場合もあるので、発熱や嘔吐などほかの症状が出たり、顔色が悪い、元気がないなど全身症状が悪いときは受診します。
下痢の回数や色にも注意が必要です。水のような便が1日10回以上出たり、血便、白や灰色の便のときは早めに受診を。
考えられる主な病気
下痢をしたとき まず確認すること
赤ちゃんが下痢をしたとき、まず下記の項目をチェックしてください。
1.体温を測る
ウイルスや細菌が原因の下痢の場合は、発熱が一つの目安になります。わきのしたの汗をふいて体温を測り、発熱していないかチェックしましょう。
2.吐く様子があるときは状況や頻度を確認
下痢だけでなく嘔吐を伴うこともあります。吐く様子がある場合は、「授乳のあとに噴水のように吐く」「遊んでいて突然吐いた」など、どのような状況で、どのくらいの頻度で吐くのか観察します。
3.水分がとれるか与えてみる
下痢のときは、水分が多く失われます。とくに一日の下痢の回数が多い場合は、脱水が心配です。普段飲んでいるものを与えてみて、水分補給できるかどうかを確認します。
4.下痢の回数とうんちの形状を確認
1日何回くらいの下痢か、水のようなうんちなのか、少しやわらかい程度なのかなど、下痢の回数と状態を確認します。白いうんち、血が混じっているなど、下痢便の特徴もよく観察しましょう。
0~3ヶ月の赤ちゃんが下痢をしたときの受診タイミングをチェック
低月齢の赤ちゃんは脱水症状になりやすいので下痢の回数や量が多いときには注意しましょう。感染症の場合は、重症化しやすいので早めの受診が必要です。
元気がなく、ぐったりしている場合
【時間外でも受診】
□下痢の量が多い
□水分がとれない
□唇や口の中が乾いている
□6時間以上おしっこが出ない
□嘔吐がある
元気がある場合
【時間内に受診】
□おっぱい、ミルクが飲める
生後4ヶ月以上の赤ちゃんが下痢をしたときの受診タイミングをチェック
下痢の回数や量が少なく、水分がとれているなら、急いで受診しなくても大丈夫です。脱水症状の兆候があったり、白や赤、黒っぽいうんちが出た場合は、早めに受診します。
元気がなく、ぐったりしている場合
【時間外でも受診】
□眠れないでウトウトしている
□水分を受けつけない
□唇や口の中が乾いている
□おしっこの回数がいつもよりひどく少ない
□嘔吐や強い腹痛を伴う
元気がある場合
【時間内に受診】
□38度以上の熱がある
□血便が出た
□白っぽいうんちが出た
□1回の下痢の量が少なく、回数が多い
□1回の下痢の量が多く、回数が少ない
【ホームケアでOK】
□水分がとれている
下痢をしたとき 受診前にチェック!先生に伝えたいこと
□機嫌や食欲、発熱、嘔吐などほかの症状があるか
□おしっこの回数
□普段と違うものを食べたか
□抗菌薬の服用の有無
□下痢の回数や量と、うんちの形状
うんちを先生に見せましょう
うんちの状態を見るのは、診断に必要なことです。下痢のうんちがついたもの(おむつなど)を持参するか、デジタルカメラや携帯電話などで写真を撮って先生に見せましょう。
下痢をしたとき 受診前のホームケア
赤ちゃんが下痢をしたとき、小児科を受診前のホームケアの方法をご紹介します。
少量の水分を何度も与えます
下痢で水分が失われるので、水分補給をこまめにしましょう。嘔吐を伴う場合は一度にたくさん飲ませると吐いてしまうので、飲めるもの(柑橘類の果汁は避けます)を少量ずつ何度も与えましょう。
おしりを洗って清潔に保ちます
おしりがかぶれやすいので、できれば下痢のたびにシャワーや座浴などできれいに洗って清潔を保ちます。回数が多いときは、お湯で絞ったガーゼでやさしくふいてあげましょう。
離乳食や食事はうんちの様子を見ながら与えます
下痢のときは水分補給を優先します。ただ、元気で食欲もあるようなら、いつもより少なめにして離乳食や食事を与えてもかまいません。嘔吐がある場合は、水分補給のみから始めます。
下痢をしたとき 様子を見るときや、受診のあとのホームケア
赤ちゃんが下痢をしたとき、自宅で様子を見るときや、小児科を受診したあとのホームケの方法についてご紹介いたします。
【水分補給】飲める水分を少しずつ何度も与えます
脱水症状を防ぐために、水分補給が大切です。柑橘類の果汁以外で飲めるものならなんでも構いませんが、電解質や塩分、糖分を補えるイオン飲料や経口補水液(薬局などで買える「OS‐1」など)でもいいでしょう。
【おしりのケア】おしりをきれいに洗って清潔を保ちます
下痢のうんちは、肌の刺激となります。おむつをしている場合は、下痢をしたらすぐに交換し、座浴かシャワーで洗ったり、お湯で絞ったガーゼで清潔にふいておむつかぶれを予防します。ワセリンなどで皮膚を保護してもいいでしょう。
【離乳食・食事】離乳食や食事を与えるときは様子を見ながら
離乳食を始めて間もない赤ちゃんは、2~3日離乳食の量を少なめにして様子を見ます。離乳食が進んでいたり、卒業している場合は、食欲に応じて少しずつ与えます。食欲があっても与えすぎないようにしましょう。
【離乳食・食事のメニュー】食べやすく消化がいいものを与えます
おかゆやうどんなどの炭水化物や野菜スープなどを与えます。腸の粘膜が傷ついていると、乳糖を分解できないことがあるので、乳糖を含む牛乳やヨーグルトなどは控えます。
下痢をしたとき 下痢のときにやってはいけないこと
赤ちゃんが下痢をしたときに、以下のことを自己判断してはいけません。
【×】ヨーグルトなどの乳製品を与える
乳製品は腸内で発酵しやすく、下痢を促す心配があります。消化が悪いなども含め、下痢が治まり、症状が落ち着いたことを確認してから食べさせます。
【×】離乳食を1段階戻して与えたり、お休みにする
下痢のときには離乳食を1段階戻したり中断すると、かえって治りが悪くなることがあります。現在では嘔吐がなくて食欲があれば、普段の食事と同じにするように指導されています。
【×】医師の指示なくミルクを薄めて与える
場合によっては医師の指示でミルクを薄めて飲ませることもありますが、自己判断で薄めて飲ませるのは危険です。栄養不足となり、かえって治りが悪くなることもあります。
【×】おむつをこまめに替えない
下痢便は肌への刺激が強く、頻繁に下痢をするとおむつかぶれを起こすことがあります。なるべく刺激を取り除くために、おむつは下痢をするたびに交換しましょう。
●イラスト/仲川かな・小西優子
※表記している、月齢・年齢、季節、症状の様子などはあくまで一般的な目安です。
※この情報は、2019年4月のものです。
初回公開日 2019/4/29
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